15 / 21
話其の拾伍/桃鬼同舟での到着
しおりを挟む
鬼達と桃太郎達を乗せた舟が鬼ヶ島の船着き場に着く。
島に居た鬼達が数人程、集まって来る。
「あれ?どうしたんだ!?随分と早いじゃないか」
集まって来た鬼の一人が言った。
「誰か菊どんと桜ちゃんを呼んで来てくれないか」
一番体の大きな鬼が舟から降りて言った。
「俺が行って来る」
集まって来た鬼の一人がそう言って、その場を離れる。
そして、次々と舟から鬼が降り、桃太郎達も舟から降りた。
飛んで来た雉も桃太郎の所へ降りて来る。
「誰を連れて来たんだ?」
集まって来ていた鬼の一人が訊いた。
「顔を見てくれよ。何年か前に行方不明になった菊どんの子供に間違いない」
舟から降りて来た鬼の一人が応えた。
「本当に菊どんにそっくりじゃ。俺達、鬼の男の子は父親と女の子は母親と生き写しになるからなぁ」
「菊どんの子供に間違いないな」
集まって来ていた鬼達が桃太郎の顔を見ては、思い思いに言う。
桃太郎はどうしたらいいのか判らずに戸惑うばかり。
そんな桃太郎の様子を見て、一番体の大きな鬼が桃太郎に声を掛ける。
「今、お前の両親を呼びに行ってるから」
「両親って言われても」
桃太郎は更に戸惑うだけだった。
「そうだよな。お前にとっては。でも、親の方からしたら大変な喜びになるから、会ってやっては貰えないだろうか?」
一番体の大きな鬼が桃太郎に伺った。
「それは構いませんが、俺は鬼の皆さんにお願いしたい事があってやって来たんだけど」
桃太郎が一番体の大きな鬼の伺いに応えると共に、自らの用件を訴えた。
「解ってるって。後でちゃんと長の所へは連れて行く。菊どんの子供を無下に追い返す訳にはいかないからな」
一番体の大きな鬼が桃太郎に応えた。
「その菊どんって方が俺の父親なのでしょうか?」
今度は桃太郎が一番体の大きな鬼に訊いた。
「そうだ。菊どんは動物達を守る隊の隊長だ。だから、お前の友達とは顔見知りかもしれないな」
一番体の大きな鬼が応えた。
「そうなんだ」
そう言って、桃太郎は動物達の顔を見回す。
「あの鬼がそうなのかな!?」
猿が思い出す様に呟いた。
犬と雉も声には出さなかったが、思い出している様だ。
「そう言えば、言い忘れていたけど、俺は人間を懲らしめる隊の隊長をしている岩だ」
一番体の大きな鬼が桃太郎達に向かって自己紹介をした。
「岩さんですか」
桃太郎が確認をした。
「いや、鬼の世界で男には"さん"ではなく"どん"を付ける。だから岩どんと呼んでくれ」
岩どんは桃太郎にそう求めた。
「判りました」
桃太郎が応えた。
周囲の鬼達は桃太郎と岩どんのやり取りを見聞きしながら、思い思いにおしゃべりをしている。
もうすぐ桃太郎の父親だという菊どんが、此処へとやって来るらしい。
桃太郎は少なからずの期待もあったが、それ以上に大きな不安に包まれてもいた。
島に居た鬼達が数人程、集まって来る。
「あれ?どうしたんだ!?随分と早いじゃないか」
集まって来た鬼の一人が言った。
「誰か菊どんと桜ちゃんを呼んで来てくれないか」
一番体の大きな鬼が舟から降りて言った。
「俺が行って来る」
集まって来た鬼の一人がそう言って、その場を離れる。
そして、次々と舟から鬼が降り、桃太郎達も舟から降りた。
飛んで来た雉も桃太郎の所へ降りて来る。
「誰を連れて来たんだ?」
集まって来ていた鬼の一人が訊いた。
「顔を見てくれよ。何年か前に行方不明になった菊どんの子供に間違いない」
舟から降りて来た鬼の一人が応えた。
「本当に菊どんにそっくりじゃ。俺達、鬼の男の子は父親と女の子は母親と生き写しになるからなぁ」
「菊どんの子供に間違いないな」
集まって来ていた鬼達が桃太郎の顔を見ては、思い思いに言う。
桃太郎はどうしたらいいのか判らずに戸惑うばかり。
そんな桃太郎の様子を見て、一番体の大きな鬼が桃太郎に声を掛ける。
「今、お前の両親を呼びに行ってるから」
「両親って言われても」
桃太郎は更に戸惑うだけだった。
「そうだよな。お前にとっては。でも、親の方からしたら大変な喜びになるから、会ってやっては貰えないだろうか?」
一番体の大きな鬼が桃太郎に伺った。
「それは構いませんが、俺は鬼の皆さんにお願いしたい事があってやって来たんだけど」
桃太郎が一番体の大きな鬼の伺いに応えると共に、自らの用件を訴えた。
「解ってるって。後でちゃんと長の所へは連れて行く。菊どんの子供を無下に追い返す訳にはいかないからな」
一番体の大きな鬼が桃太郎に応えた。
「その菊どんって方が俺の父親なのでしょうか?」
今度は桃太郎が一番体の大きな鬼に訊いた。
「そうだ。菊どんは動物達を守る隊の隊長だ。だから、お前の友達とは顔見知りかもしれないな」
一番体の大きな鬼が応えた。
「そうなんだ」
そう言って、桃太郎は動物達の顔を見回す。
「あの鬼がそうなのかな!?」
猿が思い出す様に呟いた。
犬と雉も声には出さなかったが、思い出している様だ。
「そう言えば、言い忘れていたけど、俺は人間を懲らしめる隊の隊長をしている岩だ」
一番体の大きな鬼が桃太郎達に向かって自己紹介をした。
「岩さんですか」
桃太郎が確認をした。
「いや、鬼の世界で男には"さん"ではなく"どん"を付ける。だから岩どんと呼んでくれ」
岩どんは桃太郎にそう求めた。
「判りました」
桃太郎が応えた。
周囲の鬼達は桃太郎と岩どんのやり取りを見聞きしながら、思い思いにおしゃべりをしている。
もうすぐ桃太郎の父親だという菊どんが、此処へとやって来るらしい。
桃太郎は少なからずの期待もあったが、それ以上に大きな不安に包まれてもいた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる