5 / 21
話其の伍/余りにも衝撃的で意外な事実
しおりを挟む
桃太郎は意気揚々たる表情で鬼ヶ島へと向かっていた。
途中、一匹の犬が桃太郎の行く手を塞ぐ。
桃太郎は犬が餌を求めて桃太郎の前に現れたと思って、先ず、犬を撫でようと近付いた。
「お前、これから何処へ行くんだ?」
突然、何処からか話し掛けられた。
桃太郎は周りを見渡したが誰も視界に入らない。
「お前、俺が分からないのか?」
また何処からか話し掛けられた。
桃太郎は何が何だか分からずにいる。
「俺だよ、俺。目の前に居るだろ」
桃太郎は目の前に居た犬の顔を伺う。
「そうそう。俺だよ」
桃太郎はびっくりした。
犬が話し掛けてきていたのだ。
「お前、犬だよね」
今度は桃太郎が犬に話し掛ける。
「確かに俺は犬だか、それがどうかしたのか?」
「犬が人間の言葉を話すなんて事、聞いた事がないよ」
「俺は人間の言葉なんて話してないぞ。俺は鬼の言葉で話してるのだが」
「鬼の言葉?よく分からないけど、最初の質問に答えると、俺はこれから、その鬼を退治しに鬼ヶ島へ向かっている」
「なんだ、お前。鬼のくせに鬼を退治しようとしてるのか!?」
「鬼!?俺は人間だぞ」
「いや、お前は間違いなく鬼だぞ」
「俺が話してるのは人間の言葉のはずだけど」
「確かに、お前の言葉は人間の言葉だ。何故、鬼の言葉で話さないんだ?」
「俺は人間なんだから、人間の言葉を話すのは当然じゃないか」
「だったら、何故、俺が話す鬼の言葉をお前は解るんだ?」
「そんな事を言われても、俺に判る訳ないよ。それよりも俺には人間の言葉にしか聞こえない。そもそも鬼の言葉って何なの?」
「鬼と仲良くなった動物は鬼の言葉が話せる様になる。俺は人間の勝手な都合で人間に捨てられた犬だ。だから鬼の味方をすると決め、鬼と仲良くなった。そして鬼の言葉でお前とこうして話をしている」
「なるほど。君の事情は解った。しかし鬼は人間をいじめている。俺はそんな鬼を許せない」
「いや、それは違う」
「何が違うんだ?」
「人間が勝手な都合で自然を破壊するから、鬼はその理不尽に立ち向かっているだけだ」
「確かに人間にも悪い部分はあるだろう。だからと言って、いじめていい理由にはならないはずだ」
「だから、いじめてるんじゃない。理不尽に立ち向かっているんだ。それより先ず、お前は自分が鬼であるという事を認識する必要があるんじゃないのか?」
「俺は本当に鬼なのか?」
「お前は人間に育てられたのか?」
「そうだ。年老いた祖父と祖母が親代わりだった」
「だったら周囲の人間と比べて、おかしいと感じた事はないのか?」
「確かに俺は有り得ないくらいに成長が早かったらしいが」
「やっぱり、お前は鬼だ。人間は大人になるまで二十年程かかるが、鬼は七年くらいで大人になる」
「俺の年齢は五歳なんだけど」
「もう完全に鬼だね。お前は。人間の五歳がそんなにでかい訳がない。鬼の言葉を解った事も裏付けになる」
「そうだったのか。俺は鬼だったのか」
桃太郎にとっては余りにも衝撃的で意外な事実であった。
途中、一匹の犬が桃太郎の行く手を塞ぐ。
桃太郎は犬が餌を求めて桃太郎の前に現れたと思って、先ず、犬を撫でようと近付いた。
「お前、これから何処へ行くんだ?」
突然、何処からか話し掛けられた。
桃太郎は周りを見渡したが誰も視界に入らない。
「お前、俺が分からないのか?」
また何処からか話し掛けられた。
桃太郎は何が何だか分からずにいる。
「俺だよ、俺。目の前に居るだろ」
桃太郎は目の前に居た犬の顔を伺う。
「そうそう。俺だよ」
桃太郎はびっくりした。
犬が話し掛けてきていたのだ。
「お前、犬だよね」
今度は桃太郎が犬に話し掛ける。
「確かに俺は犬だか、それがどうかしたのか?」
「犬が人間の言葉を話すなんて事、聞いた事がないよ」
「俺は人間の言葉なんて話してないぞ。俺は鬼の言葉で話してるのだが」
「鬼の言葉?よく分からないけど、最初の質問に答えると、俺はこれから、その鬼を退治しに鬼ヶ島へ向かっている」
「なんだ、お前。鬼のくせに鬼を退治しようとしてるのか!?」
「鬼!?俺は人間だぞ」
「いや、お前は間違いなく鬼だぞ」
「俺が話してるのは人間の言葉のはずだけど」
「確かに、お前の言葉は人間の言葉だ。何故、鬼の言葉で話さないんだ?」
「俺は人間なんだから、人間の言葉を話すのは当然じゃないか」
「だったら、何故、俺が話す鬼の言葉をお前は解るんだ?」
「そんな事を言われても、俺に判る訳ないよ。それよりも俺には人間の言葉にしか聞こえない。そもそも鬼の言葉って何なの?」
「鬼と仲良くなった動物は鬼の言葉が話せる様になる。俺は人間の勝手な都合で人間に捨てられた犬だ。だから鬼の味方をすると決め、鬼と仲良くなった。そして鬼の言葉でお前とこうして話をしている」
「なるほど。君の事情は解った。しかし鬼は人間をいじめている。俺はそんな鬼を許せない」
「いや、それは違う」
「何が違うんだ?」
「人間が勝手な都合で自然を破壊するから、鬼はその理不尽に立ち向かっているだけだ」
「確かに人間にも悪い部分はあるだろう。だからと言って、いじめていい理由にはならないはずだ」
「だから、いじめてるんじゃない。理不尽に立ち向かっているんだ。それより先ず、お前は自分が鬼であるという事を認識する必要があるんじゃないのか?」
「俺は本当に鬼なのか?」
「お前は人間に育てられたのか?」
「そうだ。年老いた祖父と祖母が親代わりだった」
「だったら周囲の人間と比べて、おかしいと感じた事はないのか?」
「確かに俺は有り得ないくらいに成長が早かったらしいが」
「やっぱり、お前は鬼だ。人間は大人になるまで二十年程かかるが、鬼は七年くらいで大人になる」
「俺の年齢は五歳なんだけど」
「もう完全に鬼だね。お前は。人間の五歳がそんなにでかい訳がない。鬼の言葉を解った事も裏付けになる」
「そうだったのか。俺は鬼だったのか」
桃太郎にとっては余りにも衝撃的で意外な事実であった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる