22 / 74
魔王軍侵略編
勇者リリス
しおりを挟む
泰斗が元の世界へ帰ってから五日が経った。
あいつは今頃何をしているのだろうか?と、木の椅子に座り魔法の研究をしながらふと考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。
リリスはすぐに「はい!どうぞ」と言うと、扉が開いた。
「失礼します!」
其れは、この城にいる若い兵士であった。
「リリス様。女王様がお呼びです」
エリーシアが?一体何の用なのだろうか?
「分かった、すぐに行くと伝えて」
「はい!では、失礼します」
兵士は元気な返事をすると、静かに扉を閉めた。
其れを見届けると、リリスは机に出していた、魔法に関する本などをしまうと、ゆっくり立ち上がり、大きく体を伸ばした。
「さてと、行くか」
リリスは、ここ三日間で作り上げた、魔法に対する耐性を組み込んだ白いローブを羽織り、自室を後にした。
玉座の間に着くと、正面にエリーシアがいつものように座っており、その隣にはランスが、こちらもいつも通り立っていた。
その前に膝をついて座っている、鎧を着た男がいた。そんな男をガン無視で、リリスはエリーシアに質問した。
「エリーシア、用があると聞いたのだけれど?」
「はい。実はーーー」
「私が説明させて頂きます」
そう言ったのは、エリーシアの前に膝をついていた男であった。
男はゆっくりと立ち上がり、リリスの方を見ると、話を始めた。
「私は、カーヤンと言う、国境警備隊に所属している者です。事件は昨日の事です。午後九時くらい、ある商人が国境付近、バラリオ洞窟から東に二~三百メートルの所で、亡くなっているのが発見されました。商人の死因は心臓を一刺し。周りに凶器は発見されず、争った形跡もないようなのです」
「そこで、リリス様にはこの事件の調査をお願いしたいのです。場所が場所なだけありまして・・・」
「もしかしたら、魔王軍が殺したと?」
「可能性があると言うだけです」
確か可能性はある。泰斗が居ない今、抑えつける者が居らず、この同盟に反対する者がいたとすれば、可能性はある。
逆に被害者に恨んでいる、こちらの国の者が、殺した可能性。もしくは・・・
「他所の国の者が殺した可能性」
「ええ。ただし、何も証拠が無い以上、何も手を打つことが出来ないのです。一応、その商人の周りの人間を調べてはいるのですが・・・」
「因みに、どうやって殺されたの?」
「刃物のようなもので、首を刺された事によるものとの報告です。とりあえず、リリス様にはこの事を魔界へ行って魔王様に伝えて欲しいのです」
「分かったわ。ではすぐに向かうわ」
「お願いします。くれぐれもお気を付けて」
「了解。んじゃ、行ってきます」
リリスはそういうと、杖を取り出し呪文を唱えると、エリーシア達の前から消えた。
あいつは今頃何をしているのだろうか?と、木の椅子に座り魔法の研究をしながらふと考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。
リリスはすぐに「はい!どうぞ」と言うと、扉が開いた。
「失礼します!」
其れは、この城にいる若い兵士であった。
「リリス様。女王様がお呼びです」
エリーシアが?一体何の用なのだろうか?
「分かった、すぐに行くと伝えて」
「はい!では、失礼します」
兵士は元気な返事をすると、静かに扉を閉めた。
其れを見届けると、リリスは机に出していた、魔法に関する本などをしまうと、ゆっくり立ち上がり、大きく体を伸ばした。
「さてと、行くか」
リリスは、ここ三日間で作り上げた、魔法に対する耐性を組み込んだ白いローブを羽織り、自室を後にした。
玉座の間に着くと、正面にエリーシアがいつものように座っており、その隣にはランスが、こちらもいつも通り立っていた。
その前に膝をついて座っている、鎧を着た男がいた。そんな男をガン無視で、リリスはエリーシアに質問した。
「エリーシア、用があると聞いたのだけれど?」
「はい。実はーーー」
「私が説明させて頂きます」
そう言ったのは、エリーシアの前に膝をついていた男であった。
男はゆっくりと立ち上がり、リリスの方を見ると、話を始めた。
「私は、カーヤンと言う、国境警備隊に所属している者です。事件は昨日の事です。午後九時くらい、ある商人が国境付近、バラリオ洞窟から東に二~三百メートルの所で、亡くなっているのが発見されました。商人の死因は心臓を一刺し。周りに凶器は発見されず、争った形跡もないようなのです」
「そこで、リリス様にはこの事件の調査をお願いしたいのです。場所が場所なだけありまして・・・」
「もしかしたら、魔王軍が殺したと?」
「可能性があると言うだけです」
確か可能性はある。泰斗が居ない今、抑えつける者が居らず、この同盟に反対する者がいたとすれば、可能性はある。
逆に被害者に恨んでいる、こちらの国の者が、殺した可能性。もしくは・・・
「他所の国の者が殺した可能性」
「ええ。ただし、何も証拠が無い以上、何も手を打つことが出来ないのです。一応、その商人の周りの人間を調べてはいるのですが・・・」
「因みに、どうやって殺されたの?」
「刃物のようなもので、首を刺された事によるものとの報告です。とりあえず、リリス様にはこの事を魔界へ行って魔王様に伝えて欲しいのです」
「分かったわ。ではすぐに向かうわ」
「お願いします。くれぐれもお気を付けて」
「了解。んじゃ、行ってきます」
リリスはそういうと、杖を取り出し呪文を唱えると、エリーシア達の前から消えた。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
俺の娘、チョロインじゃん!
ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ?
乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……?
男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?
アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね?
ざまぁされること必至じゃね?
でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん!
「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」
余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた!
え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ!
【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?
あれ?なんでこうなった?
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、正妃教育をしていたルミアナは、婚約者であった王子の堂々とした浮気の現場を見て、ここが前世でやった乙女ゲームの中であり、そして自分は悪役令嬢という立場にあることを思い出した。
…‥って、最終的に国外追放になるのはまぁいいとして、あの超屑王子が国王になったら、この国終わるよね?ならば、絶対に国外追放されないと!!
そう意気込み、彼女は国外追放後も生きていけるように色々とやって、ついに婚約破棄を迎える・・・・はずだった。
‥‥‥あれ?なんでこうなった?
卒業パーティーで魅了されている連中がいたから、助けてやった。えっ、どうやって?帝国真拳奥義を使ってな
しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーに呼ばれた俺はピンク頭に魅了された連中に気づく
しかも、魅了された連中は令嬢に向かって婚約破棄をするだの色々と暴言を吐いたのだ
おそらく本意ではないのだろうと思った俺はそいつらを助けることにしたのだ
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる