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魔王軍侵略編

勇者リリス

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 泰斗が元の世界へ帰ってから五日が経った。
 あいつは今頃何をしているのだろうか?と、木の椅子に座り魔法の研究をしながらふと考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。
 リリスはすぐに「はい!どうぞ」と言うと、扉が開いた。
「失礼します!」
 其れは、この城にいる若い兵士であった。
「リリス様。女王様がお呼びです」
 エリーシアが?一体何の用なのだろうか?
「分かった、すぐに行くと伝えて」
「はい!では、失礼します」
 兵士は元気な返事をすると、静かに扉を閉めた。
 其れを見届けると、リリスは机に出していた、魔法に関する本などをしまうと、ゆっくり立ち上がり、大きく体を伸ばした。
「さてと、行くか」
 リリスは、ここ三日間で作り上げた、魔法に対する耐性を組み込んだ白いローブを羽織り、自室を後にした。

 玉座の間に着くと、正面にエリーシアがいつものように座っており、その隣にはランスが、こちらもいつも通り立っていた。
 その前に膝をついて座っている、鎧を着た男がいた。そんな男をガン無視で、リリスはエリーシアに質問した。
「エリーシア、用があると聞いたのだけれど?」
「はい。実はーーー」
わたくしが説明させて頂きます」
 そう言ったのは、エリーシアの前に膝をついていた男であった。
 男はゆっくりと立ち上がり、リリスの方を見ると、話を始めた。
「私は、カーヤンと言う、国境警備隊に所属している者です。事件は昨日の事です。午後九時くらい、ある商人が国境付近、バラリオ洞窟から東に二~三百メートルの所で、亡くなっているのが発見されました。商人の死因は心臓を一刺し。周りに凶器は発見されず、争った形跡もないようなのです」
「そこで、リリス様にはこの事件の調査をお願いしたいのです。場所が場所なだけありまして・・・」
「もしかしたら、魔王軍が殺したと?」
「可能性があると言うだけです」
 確か可能性はある。泰斗が居ない今、抑えつける者が居らず、この同盟に反対する者がいたとすれば、可能性はある。
 逆に被害者に恨んでいる、こちらの国の者が、殺した可能性。もしくは・・・
「他所の国の者が殺した可能性」
「ええ。ただし、何も証拠が無い以上、何も手を打つことが出来ないのです。一応、その商人の周りの人間を調べてはいるのですが・・・」
「因みに、どうやって殺されたの?」
「刃物のようなもので、首を刺された事によるものとの報告です。とりあえず、リリス様にはこの事を魔界へ行って魔王様に伝えて欲しいのです」
「分かったわ。ではすぐに向かうわ」
「お願いします。くれぐれもお気を付けて」
「了解。んじゃ、行ってきます」
 リリスはそういうと、杖を取り出し呪文を唱えると、エリーシア達の前から消えた。
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