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魔王軍侵略編
魔王討伐 1
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「ま、魔王のところへですか?」
数秒の沈黙に誰よりも早く口を開いたのは、エリーシアであった。
「ああ。其れが一番、手取り早いと思って」
「ですが、泰斗様。魔王は、この世界で五本の指に入る程の強者。ルルシアという者とは違い、そう簡単にはいきませんよ」
「それでも俺は行くよ」
泰斗のその言葉は自信に満ち溢れていた。
「だったら、私も連れて行きなさい」
そう言ったのは、いつの間か扉の所に居たリリスであった。
「おいおい。勝手決めるなよ。それにーーー「大丈夫。怪我は特にはしてないから」
泰斗が話している最中に、リリスは言葉を遮ってきた。
「いや、そうじゃなくて。足手まといになるし」
「はあ!?アンタ!殴るよ?」
「出来れば、殴るのだけはやめてほしい」
「はぁー。まあ、足手まといにならにいように、私は私で守るから。だから、私も連れて行きなさい!」
泰斗は初めてだった。ここまで、恐怖心よりも正義感の方が強い人間を見たのは。
「分かったよ。・・・まあ、そう言う事だ。エリーシア、魔界への行き方を教えてくれ」
「分かりました」
エリーシアは其れを重く受け止め、承諾した。
「では、魔界への行き方を教えます。まず、行き方としては三つあります。一つ目は、バラリオ山脈を越える方法。二つ目は、バラリオ山脈を避けて、海を渡る方法。そして三つ目は、ドラゴンをテイムして、空を飛んで向かう方向です」
「一番早く着けるのは?」
「三つ目です。しかし、ドラゴンを捕まえるのが難しく、不可能に近いです」
「ねぇ、エリーシア。ふと思ったのだけど、もう一つ方法があるのではない?」
リリスは、何か思い出したようにエリーシアに問うた。
「もう一つとは?」
「バラリオ山脈の西側にある、いつも私が戦っている付近にあるあの洞窟は?見た感じ、あの洞窟は向こう側と繋がっていると思うのだけれど」
「リリス様が言われている洞窟は、バラリオ洞窟ですね。確かに。向こう側、つまり魔界と繋がっています。しかし、恐らく無理です。あの洞窟は今や、魔物達の巣窟。勇者様言えど、二人では不可能です」
エリーシアはそう言った。
バラリオ洞窟は、魔物達がこちらへ来る為に短期間で開けた、人工の洞窟。そこは今や魔物達が攻め込む為の簡易の拠点。そんな場所に向かうのは無謀なのだ。恐らくこの国の民ならば、行く事をやめるだろう。
しかし、泰斗は違った。
「よし!そのルートで行こう!」
全く話を聞いてはいなかった。
数秒の沈黙に誰よりも早く口を開いたのは、エリーシアであった。
「ああ。其れが一番、手取り早いと思って」
「ですが、泰斗様。魔王は、この世界で五本の指に入る程の強者。ルルシアという者とは違い、そう簡単にはいきませんよ」
「それでも俺は行くよ」
泰斗のその言葉は自信に満ち溢れていた。
「だったら、私も連れて行きなさい」
そう言ったのは、いつの間か扉の所に居たリリスであった。
「おいおい。勝手決めるなよ。それにーーー「大丈夫。怪我は特にはしてないから」
泰斗が話している最中に、リリスは言葉を遮ってきた。
「いや、そうじゃなくて。足手まといになるし」
「はあ!?アンタ!殴るよ?」
「出来れば、殴るのだけはやめてほしい」
「はぁー。まあ、足手まといにならにいように、私は私で守るから。だから、私も連れて行きなさい!」
泰斗は初めてだった。ここまで、恐怖心よりも正義感の方が強い人間を見たのは。
「分かったよ。・・・まあ、そう言う事だ。エリーシア、魔界への行き方を教えてくれ」
「分かりました」
エリーシアは其れを重く受け止め、承諾した。
「では、魔界への行き方を教えます。まず、行き方としては三つあります。一つ目は、バラリオ山脈を越える方法。二つ目は、バラリオ山脈を避けて、海を渡る方法。そして三つ目は、ドラゴンをテイムして、空を飛んで向かう方向です」
「一番早く着けるのは?」
「三つ目です。しかし、ドラゴンを捕まえるのが難しく、不可能に近いです」
「ねぇ、エリーシア。ふと思ったのだけど、もう一つ方法があるのではない?」
リリスは、何か思い出したようにエリーシアに問うた。
「もう一つとは?」
「バラリオ山脈の西側にある、いつも私が戦っている付近にあるあの洞窟は?見た感じ、あの洞窟は向こう側と繋がっていると思うのだけれど」
「リリス様が言われている洞窟は、バラリオ洞窟ですね。確かに。向こう側、つまり魔界と繋がっています。しかし、恐らく無理です。あの洞窟は今や、魔物達の巣窟。勇者様言えど、二人では不可能です」
エリーシアはそう言った。
バラリオ洞窟は、魔物達がこちらへ来る為に短期間で開けた、人工の洞窟。そこは今や魔物達が攻め込む為の簡易の拠点。そんな場所に向かうのは無謀なのだ。恐らくこの国の民ならば、行く事をやめるだろう。
しかし、泰斗は違った。
「よし!そのルートで行こう!」
全く話を聞いてはいなかった。
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