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第二話 ゲームの世界
しおりを挟む地下室で目を覚ました俺は記憶を失っていた。
そこで見つけたパソコンのゲームをスタートさせてみると、画面の中のメイドさんが俺に話しかけてくるのだが……。
「いったい俺はなんで記憶を失ってるんだろう」
「ああ……はいはい。そういう設定ってことですね。わかりました。あわせます」
「いや設定とかじゃねーし! あわせるとかいいから!」
「じゃあそーゆープレイですね」
「プレイでもねーよ!」
「そんな事より、ご主人さまがここにいることがおかしいのですよ」
「は?」
「ここはわたくしたちの世界。つまりゲームの世界の中なのですから」
「えっ? ゲームの世界? なんで?」
「きっとトラックに轢かれたとか、電車にはねられたとか、通り魔に刺されたとか、そんな感じが原因じゃないですかね?」
「そんな理由!?」
「異世界転勤ですね」
「転生だろっ!」
「え? 異世界転職?」
「いやジョブチェンジとかありそうだけども、それもちがうから!」
俺はメイドさんから、衝撃的な事実とボケをかまされさらに混乱した。
「いまご主人さまのいらっしゃる場所はセーブポイントです。私がパソコンから呼びかけていますがこれはリモート。わたくしは別の場所にいるのです」
「そうだったのか……いやっそんなことより、ここがゲームの世界なら、俺が元の世界に戻る方法を知らないかい?」
「知りませんよ、そんな都合がいいこと。ご主人さまは、わがままですねえ……それかバカですね」
「いや! ワガママでもねーしバカでもねーよ!」
「あっ! そうだ」
「こんどはなに?」
「わたくしはご主人さまを元の世界に戻す方法は存じ上げませんが、きっとあのかたなら… …天空の塔に住む大賢者。この世界の全てを知るあの方ならきっと方法を教えてくれるはずです」
。
「おー、いい展開じゃないの。そうゆーのを待ってたよ」
「そうですねえ……まずは外に出て、わたくしと合流いたしましょう」
「わかった。でも、どこへ行けばいいの? 俺、ここがどこかも知らないんだぜ?」
「大丈夫です。問題ありません」
。
あっ、なんかきいたことあるセリフだ……と俺は思った。
「外に出ると、とても高い建物が見えるはずです。一番高い建物なのですぐわかります。そこを目指してください。
わたくしはそこでお待ちしております」
「わかった」
「それなら道を知らなくても多少頭が悪くてもなんとかなるでしょう」
「少しひっかかる言い方だが……でもさあ、メイドさんがこっちへ来てくれた方が早くない?」
「わたくしはそちらの場所を知りませんので。申し訳ありません」
「ならしかたがないね。それにしてもこれで俺は冒険の第一歩を踏み出すことになるのか……なんかテンションあがるなあ」
「その前にロッカーから役に立ちそうなものを集めて身につけてください。初期装備的なものが隠されてるはずです」
「わかった。ということは、やっぱり外は危険なんだね」
「はい。外には魔物やら悪質なキャッチセールスがうようよしていますのでなんの装備もないとすぐに殺されるか高額な商品を契約させられてしまいます」
「なに? そのファンタジーとリアルが混在した設定……」
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