上 下
2 / 7

第二話 ゲームの世界

しおりを挟む


 地下室で目を覚ました俺は記憶を失っていた。

 そこで見つけたパソコンのゲームをスタートさせてみると、画面の中のメイドさんが俺に話しかけてくるのだが……。

「いったい俺はなんで記憶を失ってるんだろう」

「ああ……はいはい。そういう設定ってことですね。わかりました。あわせます」

「いや設定とかじゃねーし! あわせるとかいいから!」

「じゃあそーゆープレイですね」

「プレイでもねーよ!」

「そんな事より、ご主人さまがここにいることがおかしいのですよ」

「は?」

「ここはわたくしたちの世界。つまりゲームの世界の中なのですから」

「えっ? ゲームの世界? なんで?」

「きっとトラックに轢かれたとか、電車にはねられたとか、通り魔に刺されたとか、そんな感じが原因じゃないですかね?」

「そんな理由!?」

「異世界転勤ですね」

「転生だろっ!」

「え? 異世界転職?」
 
「いやジョブチェンジとかありそうだけども、それもちがうから!」

 俺はメイドさんから、衝撃的な事実とボケをかまされさらに混乱した。

「いまご主人さまのいらっしゃる場所はセーブポイントです。私がパソコンから呼びかけていますがこれはリモート。わたくしは別の場所にいるのです」

「そうだったのか……いやっそんなことより、ここがゲームの世界なら、俺が元の世界に戻る方法を知らないかい?」

「知りませんよ、そんな都合がいいこと。ご主人さまは、わがままですねえ……それかバカですね」

「いや! ワガママでもねーしバカでもねーよ!」

「あっ! そうだ」

「こんどはなに?」

「わたくしはご主人さまを元の世界に戻す方法は存じ上げませんが、きっとあのかたなら… …天空の塔に住む大賢者。この世界の全てを知るあの方ならきっと方法を教えてくれるはずです」


「おー、いい展開じゃないの。そうゆーのを待ってたよ」

「そうですねえ……まずは外に出て、わたくしと合流いたしましょう」

「わかった。でも、どこへ行けばいいの? 俺、ここがどこかも知らないんだぜ?」

「大丈夫です。問題ありません」

 あっ、なんかきいたことあるセリフだ……と俺は思った。

「外に出ると、とても高い建物が見えるはずです。一番高い建物なのですぐわかります。そこを目指してください。
 わたくしはそこでお待ちしております」

「わかった」

「それなら道を知らなくても多少頭が悪くてもなんとかなるでしょう」

「少しひっかかる言い方だが……でもさあ、メイドさんがこっちへ来てくれた方が早くない?」

「わたくしはそちらの場所を知りませんので。申し訳ありません」

「ならしかたがないね。それにしてもこれで俺は冒険の第一歩を踏み出すことになるのか……なんかテンションあがるなあ」

「その前にロッカーから役に立ちそうなものを集めて身につけてください。初期装備的なものが隠されてるはずです」

「わかった。ということは、やっぱり外は危険なんだね」

「はい。外には魔物やら悪質なキャッチセールスがうようよしていますのでなんの装備もないとすぐに殺されるか高額な商品を契約させられてしまいます」

「なに? そのファンタジーとリアルが混在した設定……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ワイルド・ソルジャー

アサシン工房
SF
時は199X年。世界各地で戦争が行われ、終戦を迎えようとしていた。 世界は荒廃し、辺りは無法者で溢れかえっていた。 主人公のマティアス・マッカーサーは、かつては裕福な家庭で育ったが、戦争に巻き込まれて両親と弟を失い、その後傭兵となって生きてきた。 旅の途中、人間離れした強さを持つ大柄な軍人ハンニバル・クルーガーにスカウトされ、マティアスは軍人として活動することになる。 ハンニバルと共に任務をこなしていくうちに、冷徹で利己主義だったマティアスは利害を超えた友情を覚えていく。 世紀末の荒廃したアメリカを舞台にしたバトルファンタジー。 他の小説サイトにも投稿しています。

『星屑の狭間で』(チャレンジ・ミッション編)

トーマス・ライカー
SF
 政・官・財・民・公・軍に拠って構成された複合巨大組織『運営推進委員会』が、超大規模なバーチャル体感サバイバル仮想空間・艦対戦ゲーム大会『サバイバル・スペースバトルシップ』を企画・企図し、準備して開催に及んだ。  そのゲーム大会の1部を『運営推進委員会』にて一席を占める、ネット配信メディア・カンパニー『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』として、順次に公開している。  アドル・エルクを含む20人は艦長として選ばれ、それぞれがスタッフ・クルーを男女の芸能人の中から選抜して、軽巡宙艦に搭乗して操り、ゲーム大会で奮闘する模様を撮影されて、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』の中で出演者のコメント付きで紹介されている。  『運営推進本部』は、1ヶ月に1〜2回の頻度でチャレンジ・ミッションを発表し、それへの参加を強く推奨している。  【『ディファイアント』共闘同盟】は基本方針として、総てのチャレンジ・ミッションには参加すると定めている。  本作はチャレンジ・ミッションに参加し、ミッションクリアを目指して奮闘する彼らを描く…スピンオフ・オムニバス・シリーズです。

INNER NAUTS(インナーノーツ) 〜精神と異界の航海者〜

SunYoh
SF
ーー22世紀半ばーー 魂の源とされる精神世界「インナースペース」……その次元から無尽蔵のエネルギーを得ることを可能にした代償に、さまざまな災害や心身への未知の脅威が発生していた。 「インナーノーツ」は、時空を超越する船<アマテラス>を駆り、脅威の解消に「インナースペース」へ挑む。 <第一章 「誘い」> 粗筋 余剰次元活動艇<アマテラス>の最終試験となった有人起動試験は、原因不明のトラブルに見舞われ、中断を余儀なくされたが、同じ頃、「インナーノーツ」が所属する研究機関で保護していた少女「亜夢」にもまた異変が起こっていた……5年もの間、眠り続けていた彼女の深層無意識の中で何かが目覚めようとしている。 「インナースペース」のエネルギーを解放する特異な能力を秘めた亜夢の目覚めは、即ち、「インナースペース」のみならず、物質世界である「現象界(この世)」にも甚大な被害をもたらす可能性がある。 ーー亜夢が目覚める前に、この脅威を解消するーー 「インナーノーツ」は、この使命を胸に<アマテラス>を駆り、未知なる世界「インナースペース」へと旅立つ! そこで彼らを待ち受けていたものとは…… ※この物語はフィクションです。実際の国や団体などとは関係ありません。 ※SFジャンルですが殆ど空想科学です。 ※セルフレイティングに関して、若干抵触する可能性がある表現が含まれます。 ※「小説家になろう」、「ノベルアップ+」でも連載中 ※スピリチュアル系の内容を含みますが、特定の宗教団体等とは一切関係無く、布教、勧誘等を目的とした作品ではありません。

もうダメだ。俺の人生詰んでいる。

静馬⭐︎GTR
SF
 『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。     (アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)

にゃがために猫はなく

ぴぴぷちゃ
SF
 我輩は宇宙1のハードボイルドにゃんこ、はぴだ。相棒のぴぴとぷうと一緒に、宇宙をまたにかけてハンター業に勤しんでいる。うむ、我輩の宇宙船、ミニぴぴぷちゃ号は今日も絶好調だな。ぴぴとぷうの戦闘用パワードスーツ、切り裂き王と噛み付き王の調子も良い様だ。さて、本日はどんな獲物を狩ろうかな。  小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

CREATED WORLD

猫手水晶
SF
 惑星アケラは、大気汚染や森林伐採により、いずれ人類が住み続けることができなくなってしまう事がわかった。  惑星アケラに住む人類は絶滅を免れる為に、安全に生活を送れる場所を探す事が必要となった。  宇宙に人間が住める惑星を探そうという提案もあったが、惑星アケラの周りに人が住めるような環境の星はなく、見つける前に人類が絶滅してしまうだろうという理由で、現実性に欠けるものだった。  「人間が住めるような場所を自分で作ろう」という提案もあったが、資材や重力の方向の問題により、それも現実性に欠ける。  そこで科学者は「自分達で世界を構築するのなら、世界をそのまま宇宙に作るのではなく、自分達で『宇宙』にあたる空間を新たに作り出し、その空間で人間が生活できるようにすれば良いのではないか。」と。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

YOCOHAMA-CITY

富田金太夫
SF
近未来ヨコハマ・シティを舞台にしたサイバーパンク小説です。

処理中です...