仮想空間のブレイド・ガール

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第一話 目覚めてみたら

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「おきて……おきてください……」

 どこからか俺を呼ぶ誰かの声。

 目を覚ますとそこはどこかの地下室だった。

 だが、なぜこんなところにいるのかまったく覚えがない。

 一番の問題は、自分が誰なのか、何をしていたのか、なにも思い出せないことだった。

 疑問が頭の中に渦巻いていく。

「目が覚めましたか? ご主人さま」


 呼びかけてきたのは部屋の隅にあるパソコンからだった。
 見るとなにかのゲーム画面になっていて、「スタート」の文字が点滅していた。

「起きたなら早くゲームを再開してください。わたくしが活動できません」

「あっすみません」

言われるがままスタートボタンを押すと、ゲームが始まり、メイド服をドレスアップしたような服装の美少女が現れた。

「おかえりなさいませ、ご主人様」

 メイドさん定番のセリフを言ったので、やはりメイドさんなのかと思っていると、彼女がニッコリと笑いかけてくる。
 何故か刀を持っているが、それはそれでいい感じだった。

「何をみつめてるんですか? キモいです」

「ひどいなっ!」


 どういうシステムかわからないが、どうやら俺のことを認識して話しかけてくるようだった。
 ちょっと無礼だが……


「なにを驚いていらっしゃるんですか?

「あっ、ごめんなさい。
もしかして、会話ができるの?

「なにをいまさら、ご主人さま、故障ですか? 頭が」

「おい!」

 会話できることには驚いたが、メイドさんの口の悪さにも驚いた。

「さきほどから、わたくしをからかっていらっしゃるのですか?」

「いやそうじゃないんだけどさ……ところで、君、俺の事知ってるのかい?」

「当然です。 ご主人様ですし……それに私のキャラ設定は全てご主人様がしてくださいました」

「キャラ設定?」

「俺が?」

 今更なぜそのような事をお聞きになるのですか?」

 実は俺、なにも覚えてなくって……

「やはり故障しているのですか? 頭が」

「おいっ!」

 口の悪いのはともかく、どうやら彼女は、俺がキャラメイクしたものらしい。

 その彼女がクールな瞳でじっと俺を見つめるので若干緊張する。

 どおりで、いつもと様子が違うと思いました。

 恐らく記憶喪失というものだと思います。

 関係あるのか不明ですが、現在この世界も正常にプレイできる状況ではないようです。

 なにか重大な事が起きているのかもしれません」

「思ったんだが……おれはなにか世界的陰謀にまきこまれているのかもしれない……」

「ごあんしんください」

「えっ!」

「ご主人様はそれほど重要人物ではございませんので」」

「おい!」
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