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1章
Episode.2
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「じゃあ…」
数日後。
「おい、直哉ぁ。最近かまってくれないじゃん。」
「…」
「お前舐めてんのかぁ!」
双葉の右ストレートが俺の左ほほに当たった。
かすかに血の味がする。
今のでおそらく口の中が切れてしまったのだろう。
でも俺はいつもみたいにびくびくせずじっと双葉を睨みつけた。
お前を絶対地獄の底まで追いやってやる。
そんな思いを込めて睨み続けた。
しばらくたって動じない俺に飽きたのか双葉は何も言わずその場を去った。
次に日からいじめは今まで以上にエスカレートした。
机の上に油性のマジックで落書きしたり、上履きの中に大量の画びょうが入っていたり、休み時間にトイレに呼び出され下着だけで動画を取らされ何かあればSNSに投稿すると脅された。
だが俺の精神がやつれることはなかった。
放課後、俺はまたあの屋上にやってきた。
イヴに出会ってなければ落ちるはずだった場所を見つけ、柵越しに身を乗り出して真下を見つめた。
そのとたん誰かに頭を鷲掴みにされそのまま頭を押し込まれた。
「よぉ、お前死にに来たのかぁ?」
声からわかる。
双葉の野郎だった。
「だったら俺が殺してやんよ。」
柵の部分に首を押し付けられ息をするのも困難だったが、声にならないような声で双葉に話しかけた。
「お、まえ。なん、でこんなこ、とするん、だよ…」
「…お前やっぱ覚えてねえのか。」
「なんだよ。」
「お前ならわかってんだろ。彼氏様よぉ。」
「…まさか!お前あの時のことまだ根に持ってんのかよ!つーか悪いのは全部お前じゃねーのかよ!!」
俺には思い当たる節があった。
さっきから俺をいじめている奴、双葉晴貴は俺らが小学生の時からの付き合いだ。
それに俺は今じゃこんな根暗だが昔は陽キャといってもおかしくないほど性格が明るかった。
もちろん女子からも人気があった(らしい)。
俺はまったくもって何も感じなかったが。
だが双葉は今と変わらなかった。
少しでも相手に腹が立つことがあれば過度ないじめを集団で行い、最終的にばれてしまったら親の金で解決しようとするやつだった。
いじめられていた子が学校に訴えても、自殺をしても、外に情報が出ないように早めにわいろを渡し事を全部収束させていた。
なんでこんなことを知っているのかというと俺はその光景の一部始終を見てしまったことがあるからだ。
(こんなとこを見ていたのがばれたら次はぼくがいじめられる…!)
子供の足りない頭でもそんなことすぐに察しがついた。
これは3年生の時の話だった。
それ以降、俺はいじめられるのが怖くてずっとびくびくしながら生活し、あっという間に6年生になった。
そして事件が起こった。
卒業式の数日前、俺はとある女の子に告白された。
嶺桜。
少し内気だが優しくてふんわりとした愛嬌がある子だった。
告白の返事はもちろんyes。
晴れて付き合うことになったがその幸せは次の日に一瞬で崩れた。
朝、学校につくとなんだかうちのクラスの周りに人だかりができていた。
その人だかりをよけてクラスの中に入るとそこは地獄絵図だった。
桜が倒れそこに集まり手当をする女子たち。
頭に血が上り自我を保てていない双葉。
それを抑える男子。
はっきり覚えていないが双葉は握りこぶしを作っていてその手に赤いものがうっすらついていたような気がした。
その後救急車がやってきて桜は運ばれた。
一命はとりとめたものの彼女は脳震盪になっていたらしく昨日とその前の日、計2日間の記憶が無くなっていて俺と恋人になった記憶なんてなかったのだ。
そしてあいつはそれをいいことに桜に「双葉と桜が付き合っている。昨日告白されたから桜の記憶には残っていない。」というていで話を進めようとしたが桜ははっきり、
「ふざけないで!私、今日の記憶は残っているんだから!あなたが私のことを殴ってきたんでしょ?…そもそも双葉君のことなんて初めから好きじゃないわ!私が好きなのは…木坂君だもん。」
こう言ったそうだ。
それにかっとなり双葉は次のいじめのターゲットを俺にしたそうだ。
全て悪いのは双葉だっていうのに俺はびくびくしてこの3年間ずっといじめられ続けてきた。
今になって俺は終始腹が立った。
だから俺は双葉のことをイヴの呪いで殺してやろうと思った。
でもそれでは双葉とやっていることは同じ。
人脈が増えたって俺と同じような奴だったら戦力にならない。
だから俺は…
「じゃあ俺、3番目にする。」
「フフッw」
「なんで笑うんだよ。」
「あんたはそんなもの選ばなくたってもう十分に勝てるんじゃないの?」
「じゃあ、なんでそんな質問したんだよ。」
「あんた自身に決心させるためだよ。そもそも堕天の分際で人間に能力なんて上げられんわw」
「…嘘つきめ。」
「どうぞ、ご勝手にっw」
「は?お前がたぶらかしたんだろ!直哉よぉ!」
…違う。
「何黙っちゃってんの?」
…違う違う。
「もしもーし。木坂君?w」
…全部悪いのは、
「お前だろうがよ!!双葉晴貴!お前のいじめ癖も、暴力的なのも、桜のこと殴ったのも、桜が脳震盪起こしたのも、全部、…全部全部お前のせいだろ!!」
あの時やられたように俺も双葉に右ストレートをお見舞いした。
To be continued…
数日後。
「おい、直哉ぁ。最近かまってくれないじゃん。」
「…」
「お前舐めてんのかぁ!」
双葉の右ストレートが俺の左ほほに当たった。
かすかに血の味がする。
今のでおそらく口の中が切れてしまったのだろう。
でも俺はいつもみたいにびくびくせずじっと双葉を睨みつけた。
お前を絶対地獄の底まで追いやってやる。
そんな思いを込めて睨み続けた。
しばらくたって動じない俺に飽きたのか双葉は何も言わずその場を去った。
次に日からいじめは今まで以上にエスカレートした。
机の上に油性のマジックで落書きしたり、上履きの中に大量の画びょうが入っていたり、休み時間にトイレに呼び出され下着だけで動画を取らされ何かあればSNSに投稿すると脅された。
だが俺の精神がやつれることはなかった。
放課後、俺はまたあの屋上にやってきた。
イヴに出会ってなければ落ちるはずだった場所を見つけ、柵越しに身を乗り出して真下を見つめた。
そのとたん誰かに頭を鷲掴みにされそのまま頭を押し込まれた。
「よぉ、お前死にに来たのかぁ?」
声からわかる。
双葉の野郎だった。
「だったら俺が殺してやんよ。」
柵の部分に首を押し付けられ息をするのも困難だったが、声にならないような声で双葉に話しかけた。
「お、まえ。なん、でこんなこ、とするん、だよ…」
「…お前やっぱ覚えてねえのか。」
「なんだよ。」
「お前ならわかってんだろ。彼氏様よぉ。」
「…まさか!お前あの時のことまだ根に持ってんのかよ!つーか悪いのは全部お前じゃねーのかよ!!」
俺には思い当たる節があった。
さっきから俺をいじめている奴、双葉晴貴は俺らが小学生の時からの付き合いだ。
それに俺は今じゃこんな根暗だが昔は陽キャといってもおかしくないほど性格が明るかった。
もちろん女子からも人気があった(らしい)。
俺はまったくもって何も感じなかったが。
だが双葉は今と変わらなかった。
少しでも相手に腹が立つことがあれば過度ないじめを集団で行い、最終的にばれてしまったら親の金で解決しようとするやつだった。
いじめられていた子が学校に訴えても、自殺をしても、外に情報が出ないように早めにわいろを渡し事を全部収束させていた。
なんでこんなことを知っているのかというと俺はその光景の一部始終を見てしまったことがあるからだ。
(こんなとこを見ていたのがばれたら次はぼくがいじめられる…!)
子供の足りない頭でもそんなことすぐに察しがついた。
これは3年生の時の話だった。
それ以降、俺はいじめられるのが怖くてずっとびくびくしながら生活し、あっという間に6年生になった。
そして事件が起こった。
卒業式の数日前、俺はとある女の子に告白された。
嶺桜。
少し内気だが優しくてふんわりとした愛嬌がある子だった。
告白の返事はもちろんyes。
晴れて付き合うことになったがその幸せは次の日に一瞬で崩れた。
朝、学校につくとなんだかうちのクラスの周りに人だかりができていた。
その人だかりをよけてクラスの中に入るとそこは地獄絵図だった。
桜が倒れそこに集まり手当をする女子たち。
頭に血が上り自我を保てていない双葉。
それを抑える男子。
はっきり覚えていないが双葉は握りこぶしを作っていてその手に赤いものがうっすらついていたような気がした。
その後救急車がやってきて桜は運ばれた。
一命はとりとめたものの彼女は脳震盪になっていたらしく昨日とその前の日、計2日間の記憶が無くなっていて俺と恋人になった記憶なんてなかったのだ。
そしてあいつはそれをいいことに桜に「双葉と桜が付き合っている。昨日告白されたから桜の記憶には残っていない。」というていで話を進めようとしたが桜ははっきり、
「ふざけないで!私、今日の記憶は残っているんだから!あなたが私のことを殴ってきたんでしょ?…そもそも双葉君のことなんて初めから好きじゃないわ!私が好きなのは…木坂君だもん。」
こう言ったそうだ。
それにかっとなり双葉は次のいじめのターゲットを俺にしたそうだ。
全て悪いのは双葉だっていうのに俺はびくびくしてこの3年間ずっといじめられ続けてきた。
今になって俺は終始腹が立った。
だから俺は双葉のことをイヴの呪いで殺してやろうと思った。
でもそれでは双葉とやっていることは同じ。
人脈が増えたって俺と同じような奴だったら戦力にならない。
だから俺は…
「じゃあ俺、3番目にする。」
「フフッw」
「なんで笑うんだよ。」
「あんたはそんなもの選ばなくたってもう十分に勝てるんじゃないの?」
「じゃあ、なんでそんな質問したんだよ。」
「あんた自身に決心させるためだよ。そもそも堕天の分際で人間に能力なんて上げられんわw」
「…嘘つきめ。」
「どうぞ、ご勝手にっw」
「は?お前がたぶらかしたんだろ!直哉よぉ!」
…違う。
「何黙っちゃってんの?」
…違う違う。
「もしもーし。木坂君?w」
…全部悪いのは、
「お前だろうがよ!!双葉晴貴!お前のいじめ癖も、暴力的なのも、桜のこと殴ったのも、桜が脳震盪起こしたのも、全部、…全部全部お前のせいだろ!!」
あの時やられたように俺も双葉に右ストレートをお見舞いした。
To be continued…
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