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1章
Episode.1
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「屋上なんて初めて来たかも…」
季節は夏。
午後の熱い西日が照り付ける中、俺はやっと決心することができた。
今日はどの部活も午後練がなく学校を独り占めした気分だ。
眼からあふれ出るものが顔の傷に沁みる。
こんなシーンは漫画でしか見たことがなかったから見様見真似で靴をそろえて柵の外に身を乗り出した。
(さよなら。俺のあっけなかった15年間。)
飛び立とうとしたその時だった。
「お兄さん。何してんの?w」
後ろから俺の児とあざ笑うような声が聞こえた。
声の正体を一目見ようと後ろを振り返ったとたん、手が滑り俺は地面に落ちて…いったわけではなく後ろから俺より小柄な女の子が俺の上を飛んで目の前に来た。
そしてそのまま手を握られた後女の子は俺を砲丸投げの砲丸のように飛ばし、俺は屋上に戻された。
俺の身代わりとなった女の子は下に落ちていった。
慌てて下を覗いてみたがそこには誰もいない。
また後ろで声がした。
「あー。それうちの残像だから気にしなくていいよーw」
やっぱりさっきと同じで最後は変に笑っていた。
次こそしっかり後ろを振り返るとそこにはセーラ服を着ている女の子が立っていた。
やはりさっき見た女の子と一緒で俺より小柄、雑に束ねた髪、生気を感じない目じりがつっている眼。
どこの部分も不思議に思うがやっぱり一番目に入るのは溶けている黒い天使の輪のようなものが頭の上に浮いていることだ。
どう見ても「天使」だった。
「ねぇ、どーして飛び降りようとしていたわけ?w」
名前を聞けるようなタイミングを作らないその喋り方は見た目と裏腹で「悪魔」と呼ぶのにふさわしかった。
「あれれぇ?w 喋んないの、君。」
「…君こそ何?僕の最期を邪魔して何が楽しいの?いい加減その笑いやめろよ!」
俺は女の子相手に怒鳴り散らかしてしまった。
「無理だね。これがあーしだから。」
少しの沈黙の後、また女の子がしゃべりだした。
「あーしはイヴ。中二病のあんたらが大好きな堕天使ちゃんでーすw」
「…俺は木坂直哉。中三。」
「えーっ!あんた中三なの!?ごめんねぇ、あーし勘違いしてたわw」
「っていうか、イヴは何でここに来たんだよ。あれか、死んだ奴の魂奪っていくとかそういう感じか?」
「ううん。暇つぶし。」
「暇つぶしで何で来るんだよ!」
「あんた、あーしの生前の姿によく似てたから。ほっとけなかったって言うか。」
「イヴって優しいんだな。」
「馬鹿言うんじゃないよ。あーしがこんなことしてるのは天使の名残、つまり天使の善意の考え方がやってることなんだよ。これが本性だなんて…馬鹿馬鹿しくて腹がちぎれるわw」
その時俺は確信した。
イヴは善の本心なんて1mmもないことを。
「あんたさ自殺なんてやめといた方がいいよーw みんな死んだら「楽になれるー」とか「天国行けるー」とか言ってるけどまったくもって嘘。あーしが身にしみて感じたからこれだけは言えるわ。」
「その話もっと深く教えてよ。」
俺は追及してみたかった。
首に残る締め付けられた後、首つり用の縄の形に似た髪型、そして堕天使という事実。
イヴはおそらく自殺している。
これは勘だがなんとなくそんな感じがした。
「あーしは何年か前に首つりで死んだ。両親は共働きだったし、妹もいたけど他界していたから家には一人だった。クレカも使いすぎなければ自由に使っていいって言われていたからネットショッピングなんてしょっちゅうだったんだよね。その流れでロープ買って、もやい結びのやり方調べて、いざ吊ってみたらこれまた痛くてさぁw」
イヴのしゃべり方のせいでいたって普通の体験談かなんかを話しているように見えるが決して軽い内容ではない。
何なら全く笑えないがイヴは武勇伝のように笑い交じりで話してくる。
でも次からはさっきとはまるで別人のように俺に語りかかけてきた。
「んで、冥土に吹っ飛ばされて天国行けるのかななんて思っていたけど可能性はまったくもってゼロだった。待ってたのは暗闇の中。天国なんてどこですか?って感じ。」
「まぁ、あーしはコネで冥土から抜け出せたんですけどねぇwビジュだけはよかったからさっ!」
「でもアンタは絶対無理。だから自殺だなんて馬鹿な死に方やめときな。」
じゃあ俺はどうすればいいんだよ。
いじめに立ち向かえるほど勇気もないし、人脈もないし。
父さんや母さんにも心配かけたくない。
俺がこの苦痛から解放されるのはもうこれしか手段がないんだよ。
「…」
「はぁ…」
イヴがあきれたように重い溜息を吐いた。
「あのさぁ、あんたのこと知ってる他人の目線から見てみれば飛び降りて死ぬ方がねよっぽど迷惑かけんだよ!お前の人生は確かにそこで終わりかもしれない。でもその後の世界をお前の両親は、友達はあんたが死んじまったっていう深い傷を背負いながら生きていくんだよ!お前はさぁ、あーしと違って悲しんでくれる人がいるんだからその人たちのことを考えてやれよ……身勝手に自分の死を決めつけるんじゃねえよ!!」
最後の言葉を振り絞って出したイヴの目には涙がたまっていた。
「この話してあんたが死なないっていうならあーしがあんたに今から言う3つのうちのどれかをお前にやるよ。」
「どれかって…」
また俺の話を聞かずにイヴは選択肢を言い始めた。
気づけばイヴの目には涙なんてたまってなかった。
「1、いじめっ子たちを殺せる呪い。2、人脈を増やすことができる性格。3、いじめっ子たちを負かすことができる勇気。好きなのを選びな。木坂直哉。」
To be continued…
季節は夏。
午後の熱い西日が照り付ける中、俺はやっと決心することができた。
今日はどの部活も午後練がなく学校を独り占めした気分だ。
眼からあふれ出るものが顔の傷に沁みる。
こんなシーンは漫画でしか見たことがなかったから見様見真似で靴をそろえて柵の外に身を乗り出した。
(さよなら。俺のあっけなかった15年間。)
飛び立とうとしたその時だった。
「お兄さん。何してんの?w」
後ろから俺の児とあざ笑うような声が聞こえた。
声の正体を一目見ようと後ろを振り返ったとたん、手が滑り俺は地面に落ちて…いったわけではなく後ろから俺より小柄な女の子が俺の上を飛んで目の前に来た。
そしてそのまま手を握られた後女の子は俺を砲丸投げの砲丸のように飛ばし、俺は屋上に戻された。
俺の身代わりとなった女の子は下に落ちていった。
慌てて下を覗いてみたがそこには誰もいない。
また後ろで声がした。
「あー。それうちの残像だから気にしなくていいよーw」
やっぱりさっきと同じで最後は変に笑っていた。
次こそしっかり後ろを振り返るとそこにはセーラ服を着ている女の子が立っていた。
やはりさっき見た女の子と一緒で俺より小柄、雑に束ねた髪、生気を感じない目じりがつっている眼。
どこの部分も不思議に思うがやっぱり一番目に入るのは溶けている黒い天使の輪のようなものが頭の上に浮いていることだ。
どう見ても「天使」だった。
「ねぇ、どーして飛び降りようとしていたわけ?w」
名前を聞けるようなタイミングを作らないその喋り方は見た目と裏腹で「悪魔」と呼ぶのにふさわしかった。
「あれれぇ?w 喋んないの、君。」
「…君こそ何?僕の最期を邪魔して何が楽しいの?いい加減その笑いやめろよ!」
俺は女の子相手に怒鳴り散らかしてしまった。
「無理だね。これがあーしだから。」
少しの沈黙の後、また女の子がしゃべりだした。
「あーしはイヴ。中二病のあんたらが大好きな堕天使ちゃんでーすw」
「…俺は木坂直哉。中三。」
「えーっ!あんた中三なの!?ごめんねぇ、あーし勘違いしてたわw」
「っていうか、イヴは何でここに来たんだよ。あれか、死んだ奴の魂奪っていくとかそういう感じか?」
「ううん。暇つぶし。」
「暇つぶしで何で来るんだよ!」
「あんた、あーしの生前の姿によく似てたから。ほっとけなかったって言うか。」
「イヴって優しいんだな。」
「馬鹿言うんじゃないよ。あーしがこんなことしてるのは天使の名残、つまり天使の善意の考え方がやってることなんだよ。これが本性だなんて…馬鹿馬鹿しくて腹がちぎれるわw」
その時俺は確信した。
イヴは善の本心なんて1mmもないことを。
「あんたさ自殺なんてやめといた方がいいよーw みんな死んだら「楽になれるー」とか「天国行けるー」とか言ってるけどまったくもって嘘。あーしが身にしみて感じたからこれだけは言えるわ。」
「その話もっと深く教えてよ。」
俺は追及してみたかった。
首に残る締め付けられた後、首つり用の縄の形に似た髪型、そして堕天使という事実。
イヴはおそらく自殺している。
これは勘だがなんとなくそんな感じがした。
「あーしは何年か前に首つりで死んだ。両親は共働きだったし、妹もいたけど他界していたから家には一人だった。クレカも使いすぎなければ自由に使っていいって言われていたからネットショッピングなんてしょっちゅうだったんだよね。その流れでロープ買って、もやい結びのやり方調べて、いざ吊ってみたらこれまた痛くてさぁw」
イヴのしゃべり方のせいでいたって普通の体験談かなんかを話しているように見えるが決して軽い内容ではない。
何なら全く笑えないがイヴは武勇伝のように笑い交じりで話してくる。
でも次からはさっきとはまるで別人のように俺に語りかかけてきた。
「んで、冥土に吹っ飛ばされて天国行けるのかななんて思っていたけど可能性はまったくもってゼロだった。待ってたのは暗闇の中。天国なんてどこですか?って感じ。」
「まぁ、あーしはコネで冥土から抜け出せたんですけどねぇwビジュだけはよかったからさっ!」
「でもアンタは絶対無理。だから自殺だなんて馬鹿な死に方やめときな。」
じゃあ俺はどうすればいいんだよ。
いじめに立ち向かえるほど勇気もないし、人脈もないし。
父さんや母さんにも心配かけたくない。
俺がこの苦痛から解放されるのはもうこれしか手段がないんだよ。
「…」
「はぁ…」
イヴがあきれたように重い溜息を吐いた。
「あのさぁ、あんたのこと知ってる他人の目線から見てみれば飛び降りて死ぬ方がねよっぽど迷惑かけんだよ!お前の人生は確かにそこで終わりかもしれない。でもその後の世界をお前の両親は、友達はあんたが死んじまったっていう深い傷を背負いながら生きていくんだよ!お前はさぁ、あーしと違って悲しんでくれる人がいるんだからその人たちのことを考えてやれよ……身勝手に自分の死を決めつけるんじゃねえよ!!」
最後の言葉を振り絞って出したイヴの目には涙がたまっていた。
「この話してあんたが死なないっていうならあーしがあんたに今から言う3つのうちのどれかをお前にやるよ。」
「どれかって…」
また俺の話を聞かずにイヴは選択肢を言い始めた。
気づけばイヴの目には涙なんてたまってなかった。
「1、いじめっ子たちを殺せる呪い。2、人脈を増やすことができる性格。3、いじめっ子たちを負かすことができる勇気。好きなのを選びな。木坂直哉。」
To be continued…
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