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精神分裂
しおりを挟む予想通り、明智軍が信忠殺害のため二条御新造にやって来て大軍で取り囲んだ。
御新造での攻防は、命をかえりみないで戦う斉藤利治と村井貞勝率いる織田勢が士気の違いから圧倒的な強さを見せ、二条御新造に雪崩れ込もうとする明智の先鋒を撃退した。
「相手は少数、立て続けに攻撃して疲れさせろ」
明智軍の波状攻撃に力尽き一人二人と倒れていく織田勢、だが斉藤利治は死ぬまで戦うつもりだ。
信忠を守っていると明智軍に思わせるために必死に戦う織田軍…そうすれば明智軍は信忠が二条御新造で死んだと思い捜索されずに済むはずと斉藤利治は考えていた…
「火の手で出口は塞がれてます、残りの兵もわずかに…」
斉藤利治は燃え盛る二条御新造で、死を受け入れる…
「これまでか…」
最後を悟った斉藤利治は、残り全ての火薬と武器を集め爆弾を造る。
千両箱に折れた刀や鉄屑などを入れ隙間に火薬を詰める。こうして特製の爆弾が二個出来上がった。
爆弾の上に敵兵の死体を乗せる…
斉藤は仁王立ちで自らの腹を小太刀で切り裂き、爆弾に乗せた死体の上に覆い被さる様にして自刃を遂げた。
二体の死体が燃え盛る炎の中で爆弾のタイマーの役目をする…
自らの遺体で爆弾の爆発を遅らせ、二条御新造が焼け落ち信忠の死体を探しに来た明智軍の兵を一人でも多く道連れにしようとしたのだ。
二条御新造は焼け落ち斉藤利治隊は全滅した。
【精神分裂】
明智軍 遺体捜索
信長の死体が見つからずに二条御新造へ信忠の首を取りに来た光秀は今度こそ死体を見つけたかった…
「早く見つけろ‼ 信忠の頭には報奨金を払うぞー!」
この言葉に家臣達が色めき立ち、我先にと、まだ火がくすぶる御新造の中にあるはずの無い信忠の死体を探し始める。
その時、斉藤利治が仕掛けた爆弾が爆発して刀や鉄屑を吹き飛ばす‼
ドッガァーン!
ドバァーン!
仕掛けられた刀や鉄屑が、死体を探す兵達に襲いかかった‼
… 爆発だと!?流石だな只では死なないと言う訳か、まだ仕掛けられてるかも知れないな…光秀様を安全な所に移そう …
秀満が光秀を安全な所に非難させようと光秀に目を向けると、信じられない驚愕を目にする!!何と、光秀の喉に爆発で吹き飛ばされた折れた刀が突き刺さっていた‼
「光秀様ぁ~~!!!!!」
喉仏から刺さった刀は頚椎を貫き光秀は絶命していた!
「バカなぁ~!!!うおぅ~~~!!!!!」
狂った様に叫ぶ秀満、光秀の死は秀満にとって受け入れがたい出来事だ、今回の謀叛も光秀を天下人にするのが秀満の目的だった、なのに光秀が死ぬ…そんな事は認められない、現実と理想のギャップに耐えかねた秀満の精神が崩壊する!
… 天下に手が届いたのに、光秀様が死んでは何の意味がある~!! …天下人は神だ!神は死なない、光秀様は死なない! …
光秀の死を嘆き悲しむ秀満が、光秀の言葉を思い出す〝私が死んだら明智家を継げ〟そして、この言葉を歪んで受けとめた!
… 私が明智家当主を継ぐ!?光秀様の代わりに?光秀様の代わり…そうかハッハハァ…ハッハッハ私が光秀様の代わり、そうか!?そうだ!!! 私が光秀様になれば良いのだ、死んだのは秀満…私は…明智光秀だぁ~!! …
現実を拒み精神に異常をきたした秀満は常軌を逸したの思い込みをする…
〝狂った秀満は光秀になった〟
爆発に驚いた重臣達が光秀の安否を確かめに駆けつけた。
「なんと言う事だ、光秀様が!!」
天下を取ったつもりの明智家重臣達が驚愕し落胆する中、平然と事を進めようとする光秀になった秀満…
「これより、この明智光秀が天下を平定する!」
秀満の発言に苛立つ重臣達…
明智家重臣 斎藤利三
「この一大事に何を言ってる!?」
明智家重臣 明智光忠
「光秀様が討たれたのだぞ!」
「討たれた?何を言っている私はこの通り無事だ」
!!!!!!
斎藤利三
「秀満殿、血迷ったか…」
「ん!? そうか、秀満…確かに秀満の死は残念な事だが私が天下を納める事を一番望んでいるのは秀満だろう…その為にもこれからが肝心だ‼」
光秀の死のショックから錯乱した秀満を呆然と見つめる重臣達…
明智光忠
「本気で光秀様のつもりか…」
斎藤利三
「気が触れたか…」
光秀の死や秀満の錯乱に戸惑った重臣達だがそこは戦国の侍、徐々に落ち着きを取り戻し今後の展開を話し合う。
藤田行政
「事態は余りにも重大だが…今の明智家には、天下平定が大事…そうなると光秀様の死は隠蔽せねば…」
明智家の天下平定を第一に考え事態の収束を考える重臣達。
藤田行政
「どうだろう、秀満殿にはこのまま光秀様になって貰っては…」
斎藤利三
「秀満殿を、このまま光秀様として戦うと…」
明智光忠
「確かに、今となっては細かい事を考える前に明智家が天下の主に成るのが先決だ」
藤田行政
「…よし、先ずは京を平定するのが明智家の使命だ!」
明智軍は織田勢力の残党狩りをしながら京を抑え、信長の居城安土城制圧に向かった。
北近江 豊臣秀吉
北近江に潜伏する豊臣秀吉は参謀黒田孝高率いる豊臣軍を待っていた、そこで忍からの定例報告を受ける…
「確証はまだですが、明智光秀が死んでいるかも知れません」
「!!? 何だと‼」
「二条御新造を焼き討ちしてから姿を見せていません。 正確には焼け落ちた御新造に光秀が入ってから二度の大きな爆発がありました、その後から見かけないのです…」
「…その爆発で死んだと?」
「そうです…それと光秀を見かけなくなってからどうも、秀満が光秀の真似と言うか振りをしているのです…」
「光秀の振り……!? なるほど光秀の死を隠しているのか… わかった事実確認を優先して探れ」
… やった‼あのバカが、死んだか…しかし信長の強運、いや魔の力は一体何なんだ! 取りあえず口封じは済んだが…ここから先は、慎重に動かねば …
摂津衆の池田恒興に明智光秀の謀反を知らせ、討伐のため京に進軍して来る豊臣軍と合流する様伝令を出した秀吉に、栃木の中川清秀から謀反を察知した書状が届いた。
… この速さで謀反を嗅ぎ付けるとは、中川も日頃から忍を使ってるのか? …しかし、この書状は明らかに俺が織田と明智のどっちに付くか見極める為の物…中川はどちらに付くか思案中と言う訳か …
秀吉は中川に〝信長様は無事に非難去れた〟と明智軍に合流させない為に事実を知らせた。
明智光秀死亡で秀吉の目的口封じの必要は無くなった、今は単純に明智軍討伐に尽力すれば良かった秀吉だが… 黒田孝高と合流して秀吉の心の闇が激しく渦巻く…
「流石に早かったな」
参謀黒田孝高
「毛利との話は出来上がってましたから…」
「ははっ、そうだな…しかしそれもそうだが光秀が死んで急ぐ必要も無くなった…」
神妙な顔で秀吉に問う黒田孝高…
「むしろ急ぐべきでは…魔物達が阿弥陀寺に非難している事は、明智軍に悟られないように織田家の者にも警戒して秘密にしているはずですが、いずれ分かる…」
黒田孝高は信長の所在が明智軍にバレる前に殺すべきだと考えている…
「そうだな…その前に、まとめて闇に葬り光秀の仕業にすれば良いのだが…魔物の力が侮れん、未だに謎だ!? 孝高、お前ならどうする…」
「…阿弥陀寺の僧侶に化けた刺客を送る、もしくは僧侶達に金か脅しで魔物を殺させる…」
「悪くない…自分を匿ってる僧侶達には余り警戒して無いだろう…中でも特に警戒されない人物として小姓はどうだ?」
「…!? それは、うってつけですが…魔物の愛人をどうやって、こちらに引き込むか…」
「やはり、難しいか… わかった、僧侶に化けた刺客を送り込め」
黒田孝高が信長暗殺の準備に取り掛かるため部屋を出ると、秀吉は忍を呼び寄せて密書を手渡した。
森蘭丸Wikipedia
黒田孝高Wikipedia
本能寺の変Wikipedia参照
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