追跡

山光海闇

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闇の目

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リョウガの合格を知ったこずえは横浜に向かった、行き先はリョウガのマンションだ。


こずえは電車の中でリョウガにメールする…
〝 今日、会える?大事な話があるの 〟

こずえからのメールをリョウガが受け取ったのは特捜課だった。




神奈川県警察本部 特捜課

特捜でリョウガが警察官採用試験合格を報告してるとこずえからメールが来た。

リョウガ
「梶山さん、こずえからメールです…大事な話があるから会おうって」

梶山
「…また何か企んでるのか?」

リョウガ襲撃事件の時に梶山が尾行してたのはバレてる…なら、リョウガが警察と繋がってる事もこずえは考えるはずだ、なのに会うと言う事は何らかの目的があるはず…

矢野口
「しかし、追っているのは同じ組織…会う価値はあるのでは」

リョウガ
「あたしもそう思います…ただ、もう演技はしないあたしはこずえを疑ってる事、はっきり言います」

梶山
「だが、こずえもリョウガ君も組織に狙われてる危険がある…」

矢野口
「そうですね、2人が屋外で会うのは危険ですね」

リョウガ
「返信はなんてしたら良いですか?」

矢野口
「お任せしますが、屋内で会って下さい」

リョウガは〝あきらを死なせたあんたには絶対償わせる、だけど大事な話が本当にあるなら聞くわ〟とメールの返信をすると直ぐ折り返しが来た。

〝 30分位であなたのマンションに着きます 〟

リョウガ
「家に来る見たいです」

矢野口
「巡査部長、送って行ってそのままマンションを警戒して下さい」

梶山
「私も行きます」

リョウガの護衛に梶山が心配とこずえへの好奇心で着いて行く。


マンションの近くでリョウガを降ろし2人は車の中で警戒する。

その様子を監視カメラで見ていたカルロはいつもと違う動きに直接見張ろうと部屋を出てリョウガのマンションに向かった…
カルロは目立たないように出入口を見張りながら覆面パトカーを警戒する。

暫くするとマンションの前にタクシーが止まりこずえが降りて来た、こずえは辺りを見回し覆面パトカーを見付けると軽く会釈する、梶山は軽く手を上げて応える…
一連の動きを見たカルロは顔も知らないこずえと言う女はコイツだと確信する。


リョウガはこずえをフィギュアと人形に囲まれたリビングに通して話し出す。

リョウガ
「もう分かってると思うけど、あんたと馴れ合う気は無い」

こずえ
「そう…」

「だから、大事な話だけ聞くわ」

「ドラッグマンを捕まえたいんでしよ、それで刑事になる…合格おめでとう」

今日、知らされた合格をこずえが知ってる事に驚くリョウガ。

「何で知ってるの?」

「ネットに合格者が発表されるのよ」

例によって梶山はリョウガに盗聴器を持たせ車で会話を聞いている。

こずえ
「私達が会う時は前から盗聴されてた? 下に警部が居たけど、今も聞いてるんでしょ」

「あんたは要注意人物だからね」

「まぁ、聞いてる方が都合良いわね…まずドラッグマンは横浜に居ない」

「それはあたし達だって予想はしてる」

「そして私は今、新宿で組織を探ってる…横浜に居ないドラッグマンが新宿に居る可能性は高い」

「そんな事わからないでしょ」

「少なくとも横浜じゃ無い…だから新宿と横浜の情報を共有したいの」

車で話を聞いている梶山がリョウガに電話をする。

リョウガ
「梶山さんから電話よ」

そう言うとスマホをテーブルに置いてスピーカー通話にした。

リョウガ
「今、スピーカーでこずえも聞いてます」

: 話は聞いていた、多分OKだ細かい事はまた後で電話する …

そう言って電話を切ると直ぐ矢野口に電話で相談した、その結果あくまでも非公式で証拠を残さない形での情報交換協力となった。

これは警察が犯罪組織内に作るエスと言うスパイと同じような状態だが、こずえの交渉は成立した。


リョウガ
「話しは終わりね…お帰りはあちら」

ドアを指差してこずえの帰宅を促す。

こずえ
「ハイハイ、頑張ってね新米デカさん」

小馬鹿にしたようなセリフを吐いてリョウガの部屋を出て行くこずえ。

カルロは覆面パトカーの2人に気付かれない様にこずえが乗り込んだタクシーを自転車で尾行する、スピードは出ないが街中では機動性に優れているぶん尾行はしやすい、万が一高速に乗るようなら素早くタクシーを捕まえるしかないが、そうはならずこずえは関内駅前でタクシーを降りた。

電車の中は尾行がバレる可能性が高い、同じ車両だと目視と窓の反射などで後ろも見られるし基本的にはみんな動かないので怪しいヤツは目立ってしまう…カルロは隣の車両から慎重にこずえを監視する…

新大久保で降りるこずえを尾行して自宅の住所を特定するとカルロは渋谷のラブホに帰る。


ラブホに入ると地下室にボスが待ってると受付で言われ地下室に向かった。
階段を降りて薄暗い廊下を渡りドアをノックする。

「どうぞ」

「……」

カルロは無言でソファーに座ってボスの話を待つ…

ボス
「なぜ、女を調べてるのかな?」

カルロは、相手が校長の時はウソや誤魔化しなどを使っていたがボスには本音を語るしか無いと感じている。

カルロ
「校長の暗殺はある意味完璧だった…俺はあれがミスだと思ってない、校長の暗殺を阻止して校長を死なせる原因を作ったあの女…
森高こずえを殺さない事には、校長に誘われたこの世界で生きるには…俺が息苦しいから…理由はそんなところです」

「そうですか、足が付かなければ結構…ただ、ついでにその女の目的を探ってくれるかな」

殺す相手の目的を知りたいと言うボスをカルロは不思議に思ったが要求を受け入れて仮住まいのラブホテルの最上階に向かった。

地下室に1人残ったボス。

… 森高こずえ、まさかな …

こずえの名前を呟くと、過去を振り返り遠くを見る様な表情をしていた。






リョウガの合格を知ったこずえは横浜に向かった、行き先はリョウガのマンションだ。



こずえは電車の中でリョウガにメールする…

〝 今日、会えない?大事な話があるの 〟


こずえからのメールをリョウガが受け取ったのは特捜課だった。





神奈川県警察本部 特捜課


特捜でリョウガが警察官採用試験合格を報告してるとこずえからメールが来た。


リョウガ

「梶山さん、こずえからメールです…大事な話があるから会おうって」


梶山

「…また何か企んでるな?」


リョウガ襲撃事件の時に梶山が尾行してたのはバレてる…なら、リョウガが警察と繋がってる事もこずえは考えるはずだ、なのに会うと言う事は何らかの目的があるはず…


矢野口

「しかし、こずえさんが何処に居るかは、把握しておきたいですね…いろいろ聞きたい事もありますし」


リョウガ

「あたしもそう思います…ただ、もう演技はしないあたしはこずえを疑ってる事、はっきり言います」


梶山

「だが、こずえもリョウガ君も組織に狙われてる危険がある…」


矢野口

「そうですね、表向き事件は解決してますが2人が屋外で会うのは危険です」


リョウガ

「返信はなんてしたら良いですか?」


矢野口

「お任せしますが、屋内で会って下さい」


リョウガは〝あきらを死なせたあんたには絶対償わせる、だけど大事な話が本当にあるなら聞くわ〟とメールの返信をすると直ぐ折り返しが来た。


〝 30分位であなたのマンションに着きます 〟


リョウガ

「家に来る見たいです」


矢野口

「巡査部長、送って行ってそのままマンションを警戒して下さい」


梶山

「私も行きます」


リョウガの護衛に梶山が心配とこずえへの好奇心で着いて行く。



マンションの近くでリョウガを降ろし2人は車の中で警戒する。


その様子を監視カメラで見ていたカルロはいつもと違う動きに直接見張ろうと部屋を出てリョウガのマンションに向かった…

カルロは目立たないように出入口を見張りながら覆面パトカーを警戒する。


暫くするとマンションの前にタクシーが止まりこずえが降りて来た、こずえは辺りを見回し覆面パトカーを見付けると軽く会釈する、梶山は軽く手を上げて応える…

一連の動きを見たカルロは顔も知らないこずえと言う女はコイツだと確信する。



リョウガはこずえをフィギュアと人形に囲まれたリビングに通して話し出す。


リョウガ

「もう分かってると思うけど、あんたと馴れ合う気は無い」


こずえ

「そう…」


「だから、大事な話だけ聞く…」


「ドラッグマンを捕まえたいんでしよ、それで刑事になる…合格おめでとう」


今日、知らされた合格をこずえが知ってる事に驚くリョウガ。


「何で知ってるの?」


「ネットに合格者が発表されるのよ」


例によって梶山はリョウガに盗聴器を持たせ車で会話を聞いている。


こずえ

「私達が会う時は前から盗聴されてた? 下に警部が居たけど、今も聞いてるんでしょ」


「あんたは要注意人物だからね」


「まぁ、聞いてる方が都合良いわね…まずドラッグマンは横浜に居ないと思う」


「それはあたし達だって予想はしてるけど…」


「そして私は今、新宿で組織を探ってる…横浜に居ないドラッグマンが新宿に居る可能性は高い」


「そんな事わからないでしょ」


「そう…だから新宿と横浜の情報を共有したいの」


すると梶山から電話が掛かって来て車まで来てくれと言われ、リョウガはこずえを連れて部屋を出た。


梶山は電話を切ると直ぐに矢野口に情報交換の相談をした。


梶山と佐藤が乗る車にリョウガとこずえがやって来ると梶山は会話を録音させない為にこずえの身体検査をリョウガにさせてスマホを預かってから車に乗せた。




こずえと警察の決して表には出さない密約の話が車内で始まる。


梶山

「最初にこの密約で顔を合わせての話は今日が最後になる…あくまでも水面下での情報交換だけだ」


こずえ

「それで構わないわ」


梶山

「ただ、リョウガ君は元々の友達だから会っても問題はないんだが…君達は狙われてる可能性が高い」


こずえ

「どうかしら?ドラッグマンの事件は解決してる、もちろん表向きだけど、ても警察は動かないから今さら私達を狙う事は無いんじゃない…」


頭の良いこずえが表向きの解決で組織から逃れられると本気で思う訳がない、となるとこの言動はまたリョウガを餌に組織を誘き寄せようとしてるのかと警戒する梶山。


梶山

「そう言ってまたリョウガ君を餌に組織を誘き出したいのか…」


こずえ

「前にも言ったけどそれは警察のミスでしょ」


梶山

「警察はリョウガ君の襲撃を知らなかった、しかし護衛をおろそかにしたのは確かにミスだ…だが君は襲撃を知ってるのに助けなかった、私はその事を責めてるんだ」


こずえ

「知らなかったって言ってるでしょ…言いがかりね」


梶山

「言いがかりだったらどんなに気が楽か…」


リョウガ

「梶山さん、もういんじゃないですか…情報交換をしても馴れ合うつもりは無いですから目には目をって事で」


こずえ

「どう言うことよ」


リョウガ

「どっちが餌になるか分かんないってこと…結果的にあたしの暗殺を阻止したあんたは狙われてるから」


梶山は好戦的なリョウガに面食らうが、警察官としての見解を述べる。


梶山

「リョウガ君、余り向きになるな…警察は2人とも守る、確かにミスもするが、それを糧にしてる無駄じゃない安心してくれ」


こずえ

「私は自分の身は自分で守れる」


梶山

「そうか…だが情報のやり取りで2人が会う時は警察が細心の注意を払っていると覚えといてくれ」


こずえ

「分かったわ…じゃぁ、交渉成立ね、今日はもう帰る」


梶山

「待ってくれ」


こずえ

「質問がある…なんで日本語学校にドラッグマンが居ると分かった」


こずえの目が冷たく光る…


こずえ

「決まってるでしょ… ドラッグマンの発信履歴であそこが一番怪しいじゃない、だからよ」


梶山

「それを私が信じると思うか?」


こずえ

「さぁね、好きにすれば」


こずえは車から出ると直ぐにタクシーを拾った。


こずえを見張っているカルロは、覆面パトカーの3人に気付かれない様にこずえが乗り込んだタクシーを自転車で尾行する、スピードは出ないが街中では機動性に優れているぶん尾行はしやすい、万が一高速に乗るようなら素早くタクシーを捕まえるしかないが、そうはならずこずえは関内駅前でタクシーを降りた。


電車の中は尾行がバレる可能性が高い、同じ車両だと目視と窓の反射などで後ろも見られるし基本的にはみんな動かないので怪しいヤツは目立ってしまう…カルロは隣の車両から慎重にこずえを監視する…


新大久保で降りるこずえを尾行して自宅の住所を特定すると渋谷のラブホに帰って行った。



ラブホに入ると地下室にボスが待ってると受付で言われ地下室に向かった。

階段を降りて薄暗い廊下を渡りドアをノックする。


「どうぞ」


「……」


カルロは無言でソファーに座ってボスの話を待つ…


ボス

「なぜ、横浜の建て直しより先に女を調べてるのかな?」


カルロ

「校長の暗殺はある意味完璧だった…俺はあれがミスだと思ってない、校長の暗殺を阻止して校長を死なせる原因を作ったあの女…

森高こずえを殺さない事には、校長に誘われたこの世界で生きるには…俺が息苦しいから…理由はそんなところです」


「そうか、足が付かなければ結構… ただ…ついでにその女の目的を探ってくれるかな」


殺す相手の目的を知りたいと言うボスをカルロは不思議に思ったが詮索はしないで要求を受け入れ、仮住まいのラブホテルの最上階に向かった。


地下室に1人残ったボスは過去に思いを巡らせる。


… 森高こずえ、まさかな …


こずえの名前を呟くと、過去を振り返り遠くを見る様な表情をしていた。









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