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近郊の森11
しおりを挟むフリッツの目的は私。
二人をこの場に置いて速やかにこの場から立ち去ればいいだけ。
クレイグが私を生かしていた事から考えても、殺すつもりはないだろう。と、思う事にしている。
だって殺す気ならとうに死んでいる筈だもの。
あんな相手に私達三人が束になっても敵わないんだから。
身体能力を最大限上げて全力で逃げる。
ダッシュ!
唖然としているエイミーの表情がちらりと見えたけど。ごめんね。
機会があったらいくらでも言い訳するから許して。
とにかく二人をこれ以上巻き込んじゃいけない!
距離を取るんだ!
身体能力向上最大は確か・・もって2分程。
でもそれで十分!
森の悪路だけど、それでも1キロは離れる事ができるはず。
効果は切れても半分の速度で走り続ける事はできるし。
場合によっては森を回り込んで向こうの街に避難してもいいと思う。
色々予定は変わってしまったけど臨機応変だ!
とにかくフリッツから逃げないといけない。
2分経過した。
身体能力を上げた効果が切れたのを感じながら周囲の気配を探る。
・・・驚いた。
200メートル背後に追跡してくる気配がある。
私のスキルじゃ誰かまでは分からないけど。フリッツに決まっている。
追跡の速度は全く衰えていない。寧ろ身体能力向上が切れた私の速度では逃げる事ができない。
ええ?
フリッツには身体能力向上のスキルは無かった。近いスキルも無かった。
素の能力でこんなに早く走れるの?
人間業じゃない。それは分かっていたけど異常でしょ?
森の悪路は全く関係ない。木をなぎ倒しているんじゃないかという位真っすぐに向かっている。
うそでしょ・・。
このままじゃいずれ追いつかれる。
他に何か方法を考えないと。
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