全てを失った僕は生きていけるのだろうか?

ナギサ コウガ

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45.誰?

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 キュメネ邑から洞穴に戻る道中。今の所追跡はないみたいだ。
 アイナさんが背後で警戒して今の所追跡等は無いと判断してくれている。それ程までソリヤ家の異能はこのような状況にマッチしている異能だ。
 半径三百メートル範囲で生物の気配を探る事ができるんだって。”追跡”という異能は滅茶苦茶凄くないかい。それで狩猟の腕前も凄いのだ。なんかとんでもない。それ程ソリヤ家は凄い”家”なんだ。
 ソリヤ家の異能の説明をエリナさんにしようとしたらこっそりと耳打ちしてくれた。”啓示”の異能で既に知っていると。そもそもソリヤ家の異能は周辺でも有名なんだそうだ。ソリヤ家も異能を隠していないらしい。
 エリナさんはその他にもソリヤ家の特有異能の詳細を知っているみたい。そのような手段があるそうだ。それを使ってキュメネ邑で僕を襲ってきた異能者達を退けたんだって。エリナさんの異能もなんか凄いんですけど。
 なんか二人とも凄い異能ですねとエリナさんに言ったら、僕自身がそれ以上に凄いという事をもっと理解すべきたと窘められた。なんとなく理解できるようなできないような。僕は自分自身の異能ときちんと向き合わないといかんね。
 本当にやる事が置くなった。イキシ邑から追い出された時はすぐに死んでしまうか、生きていても暇を持て余すと思っていたんだ。それがこんなに忙しくなるなんて。
 それもエリナさんに会ってからだ。彼女に会ってから僕の運というか流れが変わってきた。ちょっとワクワクしてくる。
 生きているという気がするんだ。誰かの役に立てると感じられるのが嬉しい。
 そして今の隣にはそのエリナさんがいる。アイナさんが近くにいるからかフードはまだ目深に被っているのだけど僕を見つめているのが分かる。なにやら微笑んでいるようだ。なんだろ?

「随分と変わったわね」
「僕が?そうかな?ここ数日ちゃんと食べてないからかな?少し瘦せたとは思うけど」
「違うわよ。体つきじゃなくて。内面の事よ」
「内面?そんな事まで分かるの?」
「異能の事?分かる訳ないじゃない。ケイ君の考える事が分かる異能があるなら欲しいけど。でも今なら無くても分かるわよ。何か充実しているって顔しているから」
「充実?え?そうなの?そんなに顔に出ているの?」
「やっぱりそうなのね。何か前を向いている空気というのかしら。何か力に溢れている感じがするのよ。男前になった感じがするのよね」
「は?そ、そんな事は無いと思うけど。さっきもキュメネ邑の謎の敵に殺されかけたし。さっきまでへこんでいたんだよ」
「そうね。その時はそうだったわ。でもすぐに気持ちを入れなおしていたわ。そして明日はもっと良くなろうという目をしていたわよ。今もそうよ」
「あ~、それ!私もそう思うわ~。ケイくん目的ができたのね~。その凛々しい目が眩しいわ。暗闇の中で光輝く星のような瞳よ~」

 な、この二人は何言ってんだか。アイナさんまで穏やかな笑みをこぼしている。なにか恥ずかしいぞ。

「二人とも僕を褒め過ぎ。そりゃ確かに目的が出来たから明日の僕を期待するようになったかもしれないけど。その程度だよ」
「ほら、きちんと目的ができているじゃない。もう記憶が無い事も気にしていないでしょ」
「あはは。そうだったわね~。そういえばケイくんがライラ達に助けられる前の記憶が無い事私も忘れていたわ~」
「褒めても何もできませんよ。今回でも僕は何もかも足りない事が分かりましたし。やる事一杯で大変になってきたなと思っていたんですから」
「本当に前向きになって嬉しいわ~。私はケイくんを素敵にすることができなかったわ。リナさんのお陰ね」
「そ、そんな事は無いです。私は迷惑かける事が多いから。なるべく助けになるように考えているだけです」

 エリナさんがハッとした表情が見える。良く見えないけど頬が赤く染まっているように見えるぞ。会って間もないのに二人は仲良くなったみたいだ。
 でもアイナさんにはエリナさんの本当を伝えていないんだよな。巫女という立場がある以上迂闊に正体を伝えられないんだよな。決してアイナさんを信じていないわけじゃない。
 エリナさんが言っていたんだ。相手の思考を読む異能がある事を。その異能持ちが万が一アイナさんにエリナさんの事を確認したら・・・エリナさんの存在がばれてしまう。
 だからエリナさんの正体を知っている人は極力少なくすると僕達は決めているんだ。

 過去の記憶が無い僕。
 過去を明かせないエリナさん。
 
 僕達の過去は簡単じゃない。
 アイナさんごめんなさい。
 どう謝罪しようかと言葉を探していたら。アイナさんが突然視線を変更する。視線の先は岩場に向かう川近辺だ。


「アイナさん?どうしました?」
「ケイくん。向こうに人がいるのよ。とても衰弱しているみたい。多分女性だと思うのよ~」

 僕に説明した後に先程のアイナさんがむけた視線の先をその指は指さしている。僕には全く見えないけど川周辺を見ているようだ。
 
「女性ですか?それはソニヤさんのようキュメネ邑から逃げて来たんですかね?」
「そこまでは分からないわ~。今の所キュメネ邑から追跡は無い様だから疲労している女性の様子を確認してみない?」
「僕は大丈夫です。ソニヤさんのような被害にあった女性なら助けないと」
「私も救うべきだと思います。ここまで追跡が無いのですから追手は無いと考えても大丈夫だと思いますし。助けましょう」


 皆で頷き合う。ソニヤさんの例もある。全員一致で正体不明の女性を助けに行くことになる。

「ホラ、あそこの河岸からちょっと離れたところに大きな色の違う岩があるでしょ?その下にうずくまっているのよ~」
「まだ見えないです。いつも思いますけどアイナさん凄いですよね」
「私も分からないです。岩は分かりましたけど」
「そうなの~?でも私はライラやロッタと較べたら全然よ~」

 うわあ~。マジか。
 相変わらず凄い能力だよ。僕もエリナさんと同じく白っぽい岩は見えるけど。話題の女性は・・・見えない。その岩ですらまだ結構離れているよ。二百メートル・・・かな。遠いよ。
 アイナさんは身軽に足元の悪い岩場を歩いているよ。さっきまでは土の感触だったのがごつごつした岩に変わっている。岩場が近づいてきた証拠だ。
 ライラさんもそうだったけど、この辺りは歩きやすいのだろうか?もしかして僕らがいる岩場って安全ではないのかもしれないな。
 そんな事を考えながら黙々と進んでいくアイナさんを追いかけていく。僕はエリナさんを助けながらだからなかなか追いつかない。人命優先だからアイナさんには早めに向かってもらっている。
 
「は、早いですね。ソリヤ家の異能持ちの方は野外を得意としていると聞いてたの。・・・で、でも聞くのと実際に見るのでは大違い。一人でも協力してもらえたら生存確率が全然違うのよ。ケイ君が知り会ってくれて良かったあ」

 エリナさんは息切れしながらも歩いてくれている。巫女であるエリナさんは野外活動は苦手のようだ。本人は否定するけど、まあ仕方ない。僕は持久力はありそうだけど野外活動得意じゃ無い感じがする。その点アイナさんには全く敵わない。
 アイナさんは既に岩場に到着している。本当に早い。屈んでいるから目当ての女性の面倒を見ているのだろう。僕らは急ぎ気味に歩いているんだけど結局おいて行かれた。しかもあちこち躓きながらだ。なんでスイスイ歩けるんだろ?
 小柄な体格のアイナさんのどこにパワーがあるのか?異能の力は凄い。
 僕等はなんとかアイナさんの向かう。
 

 やっと到着だ。
 既にアイナさんは女性を介抱してくれていたようだ。今は敷物の上に女性は横たわっている。アイナさんの様子から想像するに生きてはいるようだ。でも意識は戻っていないようだ。
 それにしてもちょっと変わった女性だ。
 長い金髪を後ろで結んでいる。肌は体調が悪いからだろう青白い。長いまつげ、すらりとした高い鼻。口元は苦しそうだ。
 何より服装が変わっている。濃紺の上着に下には白いシャツ。首元には珍しいデザインの紐のようなものを巻いている。
 一番驚いたのは素足を見せている所だ。濃紺のスカートは短く、そこからすらりとした長い生足が伸びている。足元の靴も光沢があり、これまた珍しいデザインだよ。
 なんと表現して良いのか分からないけどお洒落な美少女という印象だ。エリナさんも同様な印象を持ったみたい。


「随分と風変わりな服装をしている女性ですね?少なくても私はこのような服装の方とお会いした事はないです」
「ですよね」
「そうなのよ~。この服の生地も見た事ないわ。手触りがとてもよいのよね~。それといくつかのパーツに分かれているんだけど縫製が細かすぎるわ。これは驚きよ」
「確かに。やはり私も見た事がないです。本当に興味ありますわ。それに、この方女性にしては大きい人ですよね」
「そうそう、そうなのよ~。私の妹のライラも背が高いのだけどライラより背が高いわ~。手足も細くて長いのよ~。あと、出ている所も出ているし。とっても羨ましい体よ~」
「はっ・・。確かに。でもなぜこのような女性がこのような所で疲れ果てて倒れていたんでしょう」
「分からないわ~。私達だってキュメネ邑から岩場方向へ向かってなければこの周辺は通らないわ~。もしかしたら何から隠れようとしていたのかも」


 ・・・何か女性二人で盛り上がっている。・・・介抱しているんですよね。女性は大丈夫なんですよね?
 僕の視線に気づいたのかアイナさんが補足してくれた。

「今の所この女性は命の危険はなさそうよ~。でもね軽傷じゃないわ。ちゃんと診断して貰わないと断定できないのだけど足を骨折している可能性があるのよ。もしかしたら痛みで気絶したのかもしれないわ~」

 命の心配は無しか。それは一安心だ。でも妙な服装をしていて且つ、この周辺の女性ではなさそうだ。一応警戒はした方が良いのではと思うのだけど。
 僕はエリナさんを見て不安を伝えようとしたのだけど。エリナさんは僕の考えを理解してくれたのか小声で即答してくれる。

「大丈夫。異能無しよ。潜在的にも無いわ。仮に暴れられてもアイナさんなら問題無く押さえられるわ。多分、どこからか逃げて来たんだと思うのだけど。もしかしたら仲間も近くに逃げているかもしれないと思うの」
「ああ、確かに。そうなると可能であれば保護したほうがいいですね」
「うん。多分危険な女性では無いと思うわ」

 僕達は女性のうめき声を聞く。意識を取り戻しそうだ。彼女が気が付くのを待つ事にする。


 やがて女性の目はゆっくりと開く。碧い瞳が意識が戻ってきたのが分かる。
 しばらく瞬いた後に目を見開いて体を起こすけどアイナさんに押さえられる。暴れる女性にアイナさんが声を掛けるのだけどきこえていないのか?パニックになっているのか?暴れたままだ。
 
「落ち着いて、私達はあなたに何もしないわ。ここにいる理由を聞きたいだけなのよ」

 女性は暴れたままだ。でもアイナさんがガッチリ押さえているのでそれ程動けていない。何やら喚ているのだけど・・・どこの言葉だ?言葉の意味が分からない。
 エリナさん、アイナさんも言葉が分からないようで困っている。どこの言葉だ?
 
 この女性はどこから来たんだ?
 どこか遠い邑からやってきたのだろうか?

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