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1章
11。オモチャ扱いですかそうですか
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ぽかん、と口を開けたまま、目の前の二人を見つめてしまう。
飼い主って?誰が、誰の?
まさか、私がこの二人の飼い主って事?!
色々とオカシなところが多すぎて、何からツッコんで良いのか分からない。
「あ、手洗えた?ならコレ使ってねー」
「拭けたら手当てしますので」
……どこから出てきたのそのタオル。
そっちの救急箱も一体どこに置いてあったの。
なんで色々準備万端なのよ、切る気満々だったって事じゃない。
二人を睨みつけるけど、全く気にした様子もなく。
あれよあれよという間にタオルで両手の水気を拭われ、何やら傷口に薬を塗ってガーゼで覆われ、綺麗にテープで留められた。
……手際のよろしい事で。
無駄に器用なのね。逆に腹立つわ。
ジト目で見上げると、キョトンとした顔で見返された。猫耳がピコピコ揺れる。
くっ、こんな時に可愛い仕草をするなんてーー誤魔化されないからね!
「あれ、眠い?ちょっと早いけど、もう寝ちゃう?」
「色々あって疲れているのでしょう。では僕らはこれで」
「ーーシレっと逃げようとするなぁーーーーー!!」
目が細くなっているのは睨んでいるからだ!
そこ勘違いしない!
「先に説明!説明してください!」
「あれ、寝ないの?」
「この状況で寝れません!」
「……森の中で寝てませんでしたか?」
「寝てない!」
……たぶん。
あれはそう、ちょっと疲れて目を瞑っていただけ!
その間にちょっと時間が進んじゃっていただけだし!
いやそれ寝てたろ、という声は華麗にスルーする。
「えー。今から説明とか面倒なんだけど……」
「まあどのみち、朝になったら説明するつもりでしたからね。早く聞きたいって言うならアンタの意思を尊重しますよ……面倒ですけど」
二人揃って面倒言うな!
「しゃーねーなぁ。どっから説明すればいいわけ?」
「……まず契約とか飼い主とかからお願いします」
この世界の設定とかも色々知りたいけど。まずはそこからだ。
「さっきの命名申請書を届け出る事で、飼い主とペットとしての契約が成立するんですよ」
……うん、そんな事だろうと思った。
ペット、という単語にも一応ツッコんだが、だって猫ですから、で終わらされた。
「まああれは公式に認めてもらうためだけの書類でさ。実際には名付けと血の交換が終わった時点で、契約は終わってんだけどねー」
「……血の交換ってまさか」
「うん、さっきのアレはそのため」
そう言って舌をペロリと出して見せるマゼンタ。
ううっ、思い出すから止めてほしい。
「ちなみに、僕達の分の血は先ほどの食事に混ぜておきました」
ーーはい?!
さっきのリゾットにそんなもの入れてたの?!
気づかずに全部食べちゃったじゃないのよ!
別に動物の血を食べる事自体は問題ない。血入りソーセージとかだって普通に売られているし。
でも、知ってる動物?の血となると話は別だ。
そんなものは口にしたくないし、正直もの凄く微妙な気分になる。
……ただ、そんなことより。今の話がアリなんだとしたら。
「それって、私の血も同じようにできたんじゃ……」
コップの中にでも一滴落として、水に混ぜて飲めば済みだったんじゃないのか。
「そうですね、体内にさえ入れば方法は何でもいいです。切った傷同士を擦り合わせても、おそらく可能でしたよ」
シアンがさらりと暴露する。
「ーー!じゃあ何で、わざわざあんな風に舐めたんですか!」
若干涙目になりながら抗議する。
めちゃくちゃ、めっちゃくちゃ恥ずかしかったんだからっ!!
「あー、それな?」
「それはですね……」
「「その方が、面白そうだったから?」」
思いっきりハモる。
雰囲気って大事だよねーと、意味不明な言葉まで聞こえた。
……え、なに。コイツらイジメっ子属性なの?
猫だから悪戯大好きとかそんな設定なの?!
わなわな震えていたら、
「おっ、すっげーいい反応!」
「楽しめそうなオモチャですね」
とさらに追撃を喰らった。
ーー信じらんないっ!!
やっぱり、コイツら大っ嫌いだーーーーーー!!
飼い主って?誰が、誰の?
まさか、私がこの二人の飼い主って事?!
色々とオカシなところが多すぎて、何からツッコんで良いのか分からない。
「あ、手洗えた?ならコレ使ってねー」
「拭けたら手当てしますので」
……どこから出てきたのそのタオル。
そっちの救急箱も一体どこに置いてあったの。
なんで色々準備万端なのよ、切る気満々だったって事じゃない。
二人を睨みつけるけど、全く気にした様子もなく。
あれよあれよという間にタオルで両手の水気を拭われ、何やら傷口に薬を塗ってガーゼで覆われ、綺麗にテープで留められた。
……手際のよろしい事で。
無駄に器用なのね。逆に腹立つわ。
ジト目で見上げると、キョトンとした顔で見返された。猫耳がピコピコ揺れる。
くっ、こんな時に可愛い仕草をするなんてーー誤魔化されないからね!
「あれ、眠い?ちょっと早いけど、もう寝ちゃう?」
「色々あって疲れているのでしょう。では僕らはこれで」
「ーーシレっと逃げようとするなぁーーーーー!!」
目が細くなっているのは睨んでいるからだ!
そこ勘違いしない!
「先に説明!説明してください!」
「あれ、寝ないの?」
「この状況で寝れません!」
「……森の中で寝てませんでしたか?」
「寝てない!」
……たぶん。
あれはそう、ちょっと疲れて目を瞑っていただけ!
その間にちょっと時間が進んじゃっていただけだし!
いやそれ寝てたろ、という声は華麗にスルーする。
「えー。今から説明とか面倒なんだけど……」
「まあどのみち、朝になったら説明するつもりでしたからね。早く聞きたいって言うならアンタの意思を尊重しますよ……面倒ですけど」
二人揃って面倒言うな!
「しゃーねーなぁ。どっから説明すればいいわけ?」
「……まず契約とか飼い主とかからお願いします」
この世界の設定とかも色々知りたいけど。まずはそこからだ。
「さっきの命名申請書を届け出る事で、飼い主とペットとしての契約が成立するんですよ」
……うん、そんな事だろうと思った。
ペット、という単語にも一応ツッコんだが、だって猫ですから、で終わらされた。
「まああれは公式に認めてもらうためだけの書類でさ。実際には名付けと血の交換が終わった時点で、契約は終わってんだけどねー」
「……血の交換ってまさか」
「うん、さっきのアレはそのため」
そう言って舌をペロリと出して見せるマゼンタ。
ううっ、思い出すから止めてほしい。
「ちなみに、僕達の分の血は先ほどの食事に混ぜておきました」
ーーはい?!
さっきのリゾットにそんなもの入れてたの?!
気づかずに全部食べちゃったじゃないのよ!
別に動物の血を食べる事自体は問題ない。血入りソーセージとかだって普通に売られているし。
でも、知ってる動物?の血となると話は別だ。
そんなものは口にしたくないし、正直もの凄く微妙な気分になる。
……ただ、そんなことより。今の話がアリなんだとしたら。
「それって、私の血も同じようにできたんじゃ……」
コップの中にでも一滴落として、水に混ぜて飲めば済みだったんじゃないのか。
「そうですね、体内にさえ入れば方法は何でもいいです。切った傷同士を擦り合わせても、おそらく可能でしたよ」
シアンがさらりと暴露する。
「ーー!じゃあ何で、わざわざあんな風に舐めたんですか!」
若干涙目になりながら抗議する。
めちゃくちゃ、めっちゃくちゃ恥ずかしかったんだからっ!!
「あー、それな?」
「それはですね……」
「「その方が、面白そうだったから?」」
思いっきりハモる。
雰囲気って大事だよねーと、意味不明な言葉まで聞こえた。
……え、なに。コイツらイジメっ子属性なの?
猫だから悪戯大好きとかそんな設定なの?!
わなわな震えていたら、
「おっ、すっげーいい反応!」
「楽しめそうなオモチャですね」
とさらに追撃を喰らった。
ーー信じらんないっ!!
やっぱり、コイツら大っ嫌いだーーーーーー!!
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