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21。潜伏場所選びは重要です
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(それにしてもーーみんな本当に大きいなぁ)
木箱に揺られながら、それを抱えている巨人さんを観察してみる。
箱に添えられた指一本一体が家の柱のよう、大きな口は開けば私なんか簡単に呑み込まれそう。
でもーー縮尺がオカシイだけで、どの部位も普通の人間と同じだ。
だから彼らは私から見て巨人というだけで、普通の人間ということだろう。
(とはいえやっぱりコレ、見つかったらアウトだね。研究対象確定だよ)
言うまでもなく潜伏場所は絶対に見つからない場所……というのは現実問題難しくても、少しでも見つかりにくい場所が望ましい。
ただこれは魔法をうまいこと使えばクリアできる問題でもある。
だからそれ以上に重要なのは快適に生活できる場所ということ。なんたって今後の拠点になる場所なんだし。
加えて長期滞在も視野に入れるなら、食料の確保が容易にできることも重要だ。
(無限収納に入れてた食料、ヴィヴィアンにほとんど食べさせちゃったからなぁ。そろそろ補充しないと厳しくなってきたし)
水は魔法で生み出せるけど、食料を出すことはできない。
調達するにも街で買い物は出来ないし、そもそもこの国のお金も持っていない。
となれば、このお城の中でなんとかしないといけないわけで。
(一番簡単なのはこのまま食料保管庫かな。けど寒いのはともかく、暗くて閉め切られた場所にずっと住むのはちょっとなぁ……)
魔法の研究のために実験室に籠もることもあったけど、どちらかといえば私はアウトドア派だ。
何よりそんな場所だと荷物の出し入れの時以外は人がいない。
自分が意外と孤独に耐えられない人間だということは、ここにきてから嫌というほど思い知った。
(自分が直接会話に混ざれるわけじゃなくても、程よく賑やかでみんながワイワイやってる場所がいいけど)
元の世界の王宮で考えて、賑やかな場所といえば騎士団や魔道士団の訓練所、メイドの休憩室、食堂と厨房。
食料の確保の容易さも考えれば、ほぼ一択。
(やっぱり厨房が良いよね!)
厨房なら食器や調理器具を仕舞うための戸棚もたくさんあるし、身を隠す場所だって多そうだし。
この木箱は港町で荷揚げされた異国の食材って話だった。
甘くて良い匂いもするし、たぶん果物だよね。
そんなに日持ちもしないだろうから、このまま待っていればそのうちどこかの厨房に引き取られるだろう。
「おい、その箱の中身はなんだ?」
そんなことを考えていると、上から野太い声が降ってきて驚いて飛び跳ねてしまった。
巨人さんが急に立ち止まったからも箱自体も揺れて、幸い何も気づかれなかったけど。
「ああ料理長! いいタイミングですね。これはさっき届いたばっかのパインですよ。熟れてて食べ頃だって聞いてます」
「ならうちの厨房で使わせてもらおう。そのまま運んでもらえるか?」
ーーお、おぉ?
キたんじゃないのこれ?!
初日に厨房に行けるってかなりツイてる!
「もちろんいいですよ。果物付きなんて、今日の騎士団の飯は当たりですね」
「遠征帰りで疲れてる奴らも多いからな。たまには甘いもんもいいだろう」
そんな二人の会話にワクワクしつつ、私は木箱とともに厨房へ運ばれていった。
木箱に揺られながら、それを抱えている巨人さんを観察してみる。
箱に添えられた指一本一体が家の柱のよう、大きな口は開けば私なんか簡単に呑み込まれそう。
でもーー縮尺がオカシイだけで、どの部位も普通の人間と同じだ。
だから彼らは私から見て巨人というだけで、普通の人間ということだろう。
(とはいえやっぱりコレ、見つかったらアウトだね。研究対象確定だよ)
言うまでもなく潜伏場所は絶対に見つからない場所……というのは現実問題難しくても、少しでも見つかりにくい場所が望ましい。
ただこれは魔法をうまいこと使えばクリアできる問題でもある。
だからそれ以上に重要なのは快適に生活できる場所ということ。なんたって今後の拠点になる場所なんだし。
加えて長期滞在も視野に入れるなら、食料の確保が容易にできることも重要だ。
(無限収納に入れてた食料、ヴィヴィアンにほとんど食べさせちゃったからなぁ。そろそろ補充しないと厳しくなってきたし)
水は魔法で生み出せるけど、食料を出すことはできない。
調達するにも街で買い物は出来ないし、そもそもこの国のお金も持っていない。
となれば、このお城の中でなんとかしないといけないわけで。
(一番簡単なのはこのまま食料保管庫かな。けど寒いのはともかく、暗くて閉め切られた場所にずっと住むのはちょっとなぁ……)
魔法の研究のために実験室に籠もることもあったけど、どちらかといえば私はアウトドア派だ。
何よりそんな場所だと荷物の出し入れの時以外は人がいない。
自分が意外と孤独に耐えられない人間だということは、ここにきてから嫌というほど思い知った。
(自分が直接会話に混ざれるわけじゃなくても、程よく賑やかでみんながワイワイやってる場所がいいけど)
元の世界の王宮で考えて、賑やかな場所といえば騎士団や魔道士団の訓練所、メイドの休憩室、食堂と厨房。
食料の確保の容易さも考えれば、ほぼ一択。
(やっぱり厨房が良いよね!)
厨房なら食器や調理器具を仕舞うための戸棚もたくさんあるし、身を隠す場所だって多そうだし。
この木箱は港町で荷揚げされた異国の食材って話だった。
甘くて良い匂いもするし、たぶん果物だよね。
そんなに日持ちもしないだろうから、このまま待っていればそのうちどこかの厨房に引き取られるだろう。
「おい、その箱の中身はなんだ?」
そんなことを考えていると、上から野太い声が降ってきて驚いて飛び跳ねてしまった。
巨人さんが急に立ち止まったからも箱自体も揺れて、幸い何も気づかれなかったけど。
「ああ料理長! いいタイミングですね。これはさっき届いたばっかのパインですよ。熟れてて食べ頃だって聞いてます」
「ならうちの厨房で使わせてもらおう。そのまま運んでもらえるか?」
ーーお、おぉ?
キたんじゃないのこれ?!
初日に厨房に行けるってかなりツイてる!
「もちろんいいですよ。果物付きなんて、今日の騎士団の飯は当たりですね」
「遠征帰りで疲れてる奴らも多いからな。たまには甘いもんもいいだろう」
そんな二人の会話にワクワクしつつ、私は木箱とともに厨房へ運ばれていった。
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