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20。お城に着きました

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「おお~! ここが王都かぁ~」


馬車に揺られて五日目。
とうとう目的地のヨルカナディアの王都に到着ですよ!

「分かってたけど、本当に何もかもがバカでっかいよねー……特にこのお城とか」


そう、お城である。
乗っていた馬車の行き先が王都というのは港町で聞きかじった通りだったのだが。

「いやはや……最終目的地が王城だったとは思わなかったよ」

王都に入ってからいくつかの店を経由したけど、どこで降りようか迷っているうちに結局最後まで乗ってしまい、ついた場所がお城の中。
どうやら積荷の一部は、お城の厨房で使う食材だったらしい。

ここに着いてから、荷馬車に半分ほど残っていた積荷がどんどん運び出されていく。もう少しすれば綺麗に空になりそうだ。
たぶんこの後はどこかで別の物を仕入れて、港町まで戻ることになるんだろう。
王都でも仕入れをするかもしれないし、なんなら途中で飛び降りたって大丈夫ではあるのだけどーー


「ーーまあ、元からお城に使えている魔法使いがいないかを探しに来たわけだし? 好都合っちゃ好都合なんだよね」

私がこの世界で普通に生活できるわけがないのは先刻承知。
なので、当初のプランではどこかに潜伏先を見つけつつお城に行く機会を伺うつもりだったんだけどーー。

「えーっと。もう潜伏先、お城ここでいいよね?」

普通だったら王城なんて一番警備が厳しいところだけど、透明化インヴィジブル気配遮断ステルスの重ね掛けでなんとかなるだろう。元の世界でもかくれんぼがてら陛下の宮や宝物庫にだって入り込めたくらいだし。
何よりこんな手のひらサイズの人間がいるなんて、この世界の人達は思ってもいないだろうからね。


「うん、いけるいける! 見つかったら逃げればいいだけだもんね!」

一度行った場所なら転移門ゲートを繋ぐこともできる。
ただしここで行ったことがあるのはコンテストになっていた森と馬車に乗った港町の二箇所だけ、しかもこの世界でどの距離まで転移門ゲートで繋げるかは未知数ではあるが……。


「ん~、こういうのは決めの問題だものね。女は度胸って言うし!」

そうと決まれば、まずは中に潜入潜入っと!

歩くのはやっぱりあぶないので、結局お城の中に運び込まれていく木箱の一つに浮遊魔法フロートを使ってあらかじめ飛び乗っておき、そのまま一緒に運んでもらうことにした。
これなら踏まれる心配もないし、移動も楽チンだ。

こうして私はお城に足を踏み入れた(?)のだった。
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