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どつき漫才

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 室内は想像していたよりは広かった。2段ベッドで必要以上に面積を使ってないというのもあるのだろうけれど、何より必要最低限のモノしかないことが最大の理由だろう。

 机と椅子以外に用意されているものはないらしい。それに加えて、採光用の窓がとにかく大きくとられているというのも、圧迫感を感じない理由の1つなのだろう。

 ……あれ? この角度でこの位置に窓とベッドがあるってことはつまり、、朝日を強制的に浴びることになるってこと? アンデッドは浄化されちゃうじゃん! ……はい今笑うところですよー?

 ちなみに、向かって右側のベッド上下段ともに荷物と人とで占拠されている。つまり、私とアンリとで左側のベッドを共有するわけで。これは寝ぼけたフリをしてあの乳袋を揉むしか!!

「なんか邪念を感じるんだけど?」

「失礼な! 私は昔から純粋な子だって言われて育ってきたんだよ? 無邪気そのものだよ!」

「自分の心にも純粋すぎて手が嫌らしい動きをしているけど?」

「ちなみに私は背後から揉みしだくシチュエーションがすごく好き! もちろん揉む側でね!」

「これからは絶対に背後を取られないようにしないと……」

「戦闘の基本だね!」

「つまり私は常在戦場を強いられるということかな?」

「良い修行になるんじゃない? むしろ私に感謝してほしいまであるね!」

「なら感謝の正拳突きをご馳走しよう」

「拒否権は?」

「あるはずもなし」

 まさか感謝(物理)とはね。

 まるで精神統一でもするかのように深呼吸を……いや、きっとあれは気をためているんだ! 呼気として取り入れた自然の気を丹田で練って拳から放つ気なんだ!

「……さすがに素人相手にそんな危ないことはしないよ……」

「できないって言わないんだ……」

 ホント、なんでアンリはこんなところにいるんだろう。さっきの婚約者の話といい、今の読心術といい、どう考えたって学生レベルじゃないよ……。

 いやまぁ、私は素人だからアンリがどのレベルにいるのかなんてわからないんだけどさ。

「ではっ」

 いやちょっと心の準備が。

「ぐふっ!!?」

 早いし速い! あと痛い! 痛みが抜けない! 重い! あ、吐きそう……。

「安心して、みねうちだよ」

「「「いや、思いっきり振りぬいてたよね!?」」」

 図らずも3人でハモってしまった。これは意外と相性がいいってやつなのではなかろうか。

 ……まぁ、未だに右の方、つまりはルームメイトの顔どころか体も直視できていないんだけどね。コミュ障の業は深いのよ、うん。

 時に羞恥心は女の子への愛欲をも上回るということなのさ! あ、断じて性欲ではないですよ? いやマジで。

 ……それにしても痛みがずっとひかないんだけど……これ内臓破裂とかしてないよね……?
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