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やるき

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 おいおいおい、とするとアンリの乳を揉む輩が既に存在するってことか? それでなくても将来的に揉むことが確約されている幸運な輩がいるということか? オイオイオイ、そいつ殺すわ。

「思いがけないところで強くならなければならない理由ができてしまった。これがバタフライ効果?」

「なんだかやる気に満ち溢れていることはわかるんだけど……早く読心できるようにならないと」

 そう、殺る気である。私は今かつてないほどの殺る気に満ち溢れている!

「とりあえず部屋に向かわない? 他のルームメイトにも会ってみたいし」

「さっきはコミュニケーション障害とか言ってたのに……? そこまでやる気になったの?」

「そうだよ?」

 とりあえず他のルームメイトが私の敵か味方か、リア充か非リア充か見極めねば。そして同志の場合はアンリの婚約者という大罪人を殺す聖戦に協力してくれるかどうか。報酬にアンリの乳でもぶら下げれば誰でも食いつくか。

 いや待てよ? リア充のアンリはもしかして私の敵とみなされてしまうのでは……?

 ……おっぱいがあるから無罪! 男は死刑、慈悲はない。


 私たちの部屋までは、そう長いこと歩くことはなかった。とはいっても1分はかかったような気もするけど。

 そして幸いなことに、誰とも廊下ですれ違わなかった。これもアンリの乳袋のおかげかな?

「ところで、さっき持ってた書類って何なの?」

 緊張をほぐすためにアンリと会話をする。部屋の扉の前で。現実逃避だということはわかっているけれど、それとこれとは話が別なのだ。

「ああ、これね。所属クラスの案内。ルームメイトはみんな同じクラスみたい」

「へぇ。ちなみに、アンリの婚約者ってこの学校の生徒?」

「あー、まぁ一応ね」

 ふむ。いつか出会うこともあるだろう。そしてその時が聖戦の開戦日となるだろう。

「……あれ? 婚約者がいるってことは、アンリってもしかして貴族? でも平民の私とルームメイト……???」

「あー、それは後で説明するよ。とりあえず中に入っちゃわない?」

「あ、はい」

「だから私相手に緊張しないでよ……」

 いやこの緊張はアンリが貴族の可能性に気づいてしまったからでもあるんだけど……まぁあえて言う必要もないか。

 そんなこんなで私たちは、これから長い間過ごすことになる私たちの部屋への1歩目を踏み出したのだった。
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