5 / 9
ギフト
しおりを挟む
当然だが、学生寮は男女別だった。いくら軍では男女平等だとは言え、その辺りは身分差と同じ理由なのだろう。
「いやしかし、いくらなんでも遠くない? 10分は歩いたような……」
「士官学校だからね」
「制服がそんなにかわいくないのも?」
「士官学校だからね」
「アンリの乳袋が大きいのも?」
「それは神様の贈り物」
「神様の贈り物は神聖なので触るとご利益が」
「神罰の前に私刑が味わいたいのかな?」
「……」
とまぁ、こんな感じで軽口を言い合える程度には仲良くなった。
ちなみに、胸を触りたいというのは軽口なんかじゃない。まぎれもない私の本音だ。
「それにしても、大きいなぁ」
「ん? なにが?」
「胸……じゃなくて寮が。こんなに大きな建物が必要なほどに女子生徒がいるの? 士官学校なのに?」
高さはない。せいぜい2,3階建てといったところだろう。ただ、広さが途方もない。これが校舎だといわれても信じられるほどに大きい。
「まぁ、貴族の人も使うからね。一応みんな四人部屋なんだけど、平民の部屋と貴族の部屋では倍じゃきかないくらいの広さらしいよ」
「それってメイドとかを入れるために?」
よく言うもんね。お嬢様は着替えも一人では満足にこなせないって。入浴なんてもってのほかって。
「ところで大浴場はあるの? すごくまじめな質問なんだけど」
これに関しては割とガチ。いやらしい気持ちは二割しかない。
「あるにはあるけど、私たちは深夜じゃないと使えないよ。貴族と鉢合わせないように使える時間が決まってるから」
「お嬢様にラッキースケベはできないのか……無念」
「それ、発言だけでも不敬罪だから気を付けたほうがいいよ」
「承知」
というか、お金あるんだろうから平民用の大浴場くらい作ればいいのに。まぁ、そのお金も多分貴族からのお金だから貴族に使うのが当たり前なんだけどさ。
「というか、いい加減受付済まして寮に入ろうよ。なんだかんだ言って疲れたし」
「それはそうなんだけど……その……」
いや、現実から目を背けるにも限界があることはわかっているよ? でもさ、もう少し気持ちを落ち着かせる時間というか……ねぇ?
「私、コミュニケーション障害という重い障害を抱えてるんだよ」
「さ、いくよー」
「待って担ぎ上げないで力強いな! アンリはゴリラだった!?」
「受付に一人置き去りにしようか?」
「待ってやめて一人にしないでお願いぃ」
なんて言いながらも担がれた拍子に私の手が不可抗力でぽよんぽよんしたので、いうほどいやな気持にはなっていない私であった、まる。
「いやしかし、いくらなんでも遠くない? 10分は歩いたような……」
「士官学校だからね」
「制服がそんなにかわいくないのも?」
「士官学校だからね」
「アンリの乳袋が大きいのも?」
「それは神様の贈り物」
「神様の贈り物は神聖なので触るとご利益が」
「神罰の前に私刑が味わいたいのかな?」
「……」
とまぁ、こんな感じで軽口を言い合える程度には仲良くなった。
ちなみに、胸を触りたいというのは軽口なんかじゃない。まぎれもない私の本音だ。
「それにしても、大きいなぁ」
「ん? なにが?」
「胸……じゃなくて寮が。こんなに大きな建物が必要なほどに女子生徒がいるの? 士官学校なのに?」
高さはない。せいぜい2,3階建てといったところだろう。ただ、広さが途方もない。これが校舎だといわれても信じられるほどに大きい。
「まぁ、貴族の人も使うからね。一応みんな四人部屋なんだけど、平民の部屋と貴族の部屋では倍じゃきかないくらいの広さらしいよ」
「それってメイドとかを入れるために?」
よく言うもんね。お嬢様は着替えも一人では満足にこなせないって。入浴なんてもってのほかって。
「ところで大浴場はあるの? すごくまじめな質問なんだけど」
これに関しては割とガチ。いやらしい気持ちは二割しかない。
「あるにはあるけど、私たちは深夜じゃないと使えないよ。貴族と鉢合わせないように使える時間が決まってるから」
「お嬢様にラッキースケベはできないのか……無念」
「それ、発言だけでも不敬罪だから気を付けたほうがいいよ」
「承知」
というか、お金あるんだろうから平民用の大浴場くらい作ればいいのに。まぁ、そのお金も多分貴族からのお金だから貴族に使うのが当たり前なんだけどさ。
「というか、いい加減受付済まして寮に入ろうよ。なんだかんだ言って疲れたし」
「それはそうなんだけど……その……」
いや、現実から目を背けるにも限界があることはわかっているよ? でもさ、もう少し気持ちを落ち着かせる時間というか……ねぇ?
「私、コミュニケーション障害という重い障害を抱えてるんだよ」
「さ、いくよー」
「待って担ぎ上げないで力強いな! アンリはゴリラだった!?」
「受付に一人置き去りにしようか?」
「待ってやめて一人にしないでお願いぃ」
なんて言いながらも担がれた拍子に私の手が不可抗力でぽよんぽよんしたので、いうほどいやな気持にはなっていない私であった、まる。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
騎士団宿舎に住む黒猫
teeto
ファンタジー
会社に遅れそうになり、近道の公園を通り過ぎたら、黒い大きな穴に落ちてしまった。落ちた先は、何故か男の上。
慌ててドアから逃げたら何故か知らない森の中。そして迷ってしまった。
突然現れる恐怖に立ち向かい、此処が異世界だと知る。
見た目で魔族と勘違いされる女主人公と、主人公を保護した"黒い獣"と呼ばれる名の知れた騎士との異世界ファンタジー。
言葉の通じない異世界で"魔族"やら"黒猫"と呼ばれ、子供扱いされる25歳の社会人が頑張って生きる物語です。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。
双子獣人と不思議な魔導書
夜色シアン
ファンタジー
〈注:現在は小説家になろう、マグネット!にて連載中です〉
著:狼狐
表紙:暗黒魔界大帝国王リク@UNKnown_P
ユグドラシルーーそこは貴重な魔導書が存在する大陸。しかし貴重が故に謎が多い魔導書の使用、そして一部の魔法が一部地域で禁忌とされている。
また人々から恐れ、疎まれ、憎まれと人からは嫌われている種族、人狼ーーその人狼として生まれ育ったハティとスコルの双子は、他界した母親が所持していた魔導書『零の魔導書』を完成させるため、人狼と人の仲を和解すべく、旅立つのだがーー
「ハティ〜ハティ養分が不足してるよ〜」
「私の養分ってなんですか!スコルさん!?」
登場人物全員が一癖二癖ある双子達の旅路が、今始まる!
ーー第二幕「牙を穿て」開幕!ーー
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる