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おともだち

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 入学式は無事に終わった。それはいいのだが、王女の親衛隊という謎のイベントが……いや、現実として起こっていることをイベントと表現するのはよくないか。まぁでも出来事という表現に変えても違和感があるし、やっぱりオタクとしてはイベントと表現したいところだが。
 と、そんな意味のない思考に陥るほどには私は混乱していた。確かにゲームのシナリオ通りにすべてが進むとは思っていなかったけれど、それにしたってシナリオ崩壊が早すぎるだろうと思わずにはいられない。
「いや、そもそもモブとして登場していたかどうか怪しい私の存在が最初のイレギュラーなのか……?」
 ゲームで操作するのはもちろん主人公の勇者。男として転生してヒロインの一人と結ばれるという物語ならば、まぁ見ないこともない。けど、ヒロイン側って婚約破棄されたり悪女に仕立て上げられて国外追放だとか出家だとかという破滅エンドになることが大半で、つまりそれって今の私ってそれなりにピンチなのでは?

「あれ、もしかして新入生? こんなところで何してるの?」

 残念ながら気配を読むだとか感じるだとかに長けていない私は、他人の接近に気づけなかった。ちなみに、空気は読まない。そう、決して読めないわけじゃない。読まないだけなのだ!

「聞こえてる? 他の人はもう寮に向かったよ?」

「あ、すみません。すこし考え事をしていて」

 目を向けると長身の女性がこちらを伺っていた。黒髪ロングな丸メガネのお姉さんだ! しかもスタイルがいい! ぐへへ。

「良かったら寮まで案内しようか? 結構遠いからもしかしたら迷子になっちゃうかもしれないからね」

「あ、本当ですか! ぜひお願いします!」

 お姉さんは学校指定の男女共用制服、いわゆるブレザータイプの制服を着ているから先輩なのだろう。ブレザーなのに乳袋ができていたりそのくせ腰がほっそりしているのは納得いかないけど。コルセットであってほしい。コルセットであれ。そもそもブレザーで乳袋はファンタジーなんよ。あ、ファンタジーの世界なのか。

 ちなみに、私もブレザータイプだ。乳袋? 聞くなよ。

「準備できた? そろそろ行くよ?」

「あ、了解です」

 入学早々こんなに優しい先輩に出会えたことに感謝。いずれはあの乳袋の謎を解き、ついでにぽよんぽよんしたいものだ。

「ちなみに、私も新入生だからよろしくね?」

「えっ、先輩じゃないんですか!?」

ま、まぁまだ年上の可能性もあるから。私も乳袋に希望はあるはずだから。

とまぁ、そんな感じで新入生の友達を一人ゲットしたのだった。

……というか、私の前世の性別どっちだっけ?

「えっ、15歳? その乳……もとい、その背で? 同い年?!」

「待って乳ってなに乳って」
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