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次元の穴
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仮に神がいるとして。
果たして神が世界の運営をしているだろうか。
否、神はそのシステムを構築こそすれども、週五で働くような殊勝な輩では決してないだろう。月一でも怪しいところだ。
何故、そんなことを思うのかって?
自称女神が目の前で土下座してきたら誰だってこんな現実逃避をしたくなるってものだろう?
もっと言うなら、現実では僕はすでに死んでいるらしいんだけど。
まったくもって救いようのない話だ。
「あの、そろそろ話を戻しても?」
「戻すも何も、僕は次元の穴に落ちて体がバラバラになって魂だけの存在になったんだろう?」
痛みというものを感じることなく死んだ……これって死んだことになるのか? まぁとにかく痛みがなかったという点は不幸中の幸いというものだろうか。
「ええと、肉体的には死を迎えたということになります」
「となると、残った精神あるいは魂の処遇を決める必要があるわけか」
「話が早くて助かります。一応あなたの予想をきいても?」
「輪廻転生の輪にそのまま戻すか、天使として君の眷属になるか、チートをもらって異世界転生をするか。大穴としては新しい神として生きるというものがあるけれど」
「次元の穴に落ちたことで魂に変質が発生しているので元の世界に戻すのは不可能です。天使というものは神の意志を受ける機械人形なのでこれも不可能です。新たな神として迎え入れるのは禁足事項に触れるのでこれも不可能です」
「つまり、チートで俺tueeeができるようになると」
「魂そのものを消滅させるという案もありますけど?」
「土下座してる状況で何を言っているんだか」
加害者と被害者という意味では、こちらの方が立場が上なんだが。
「いえ、人生に飽きたとか絶望したとか、要は来世に期待を持てない人間は魂の消滅を選ぶと聞いたことがあります」
「だとしても三十路にもなってない人間が、チートをもらえるとわかっていて希望を持てないわけがないだろうに」
「まぁ、十人十色な人生ですから」
「うるせえよ」
「ところで、はやくチート決めてくれません? これでも私結構忙しいんですよ?」
「この状況って君の失態からくるものだよね? どうして偉そうにできるの?」
「それは……女神ですし」
「土下座してるけどね」
ともあれ、チートである。
ここで重要なのは、どんなに過酷な世界であろうとも現地の人はチートなしで生きている、ということにある。
そも、ファンタジーな世界なのかどうかすら怪しいものなのだ。
銃が強力な世界で剣術スキルだとか剣聖スキルだとかを持っていても役に立たないし、逆に銃のない世界で銃に関するスキルを持っていても宝の持ち腐れである。
また、魔法に関するスキルに関しても、その世界に魔素だとかMPだとか概念が存在しなければ意味がない。
そういった意味では、一口にチートと言っても千差万別だということがわかる。
だからこそ、僕の選ぶスキル……いや、作ってもらうスキルは決まっていた。
「ふたなりスキル。女神の御業で対象を一時的にふたなりにすることができる効果を持つ。たまは女神の気まぐれ」
「いや、鑑定さんみたいな口調で説明されても困るんですが。大体どうしてそんな……」
「人間の三大欲求は食欲睡眠欲性欲の三つだ。セックスは性欲を満たし、ついでに質の高い睡眠を提供してくれる。実に理のかなった選択だと僕は思うけどね」
「……まぁいいですけどね。クーリングオフは受け付けませんのでよろしく」
「君、意外というかなんというか、世俗に詳しいよね?」
「いきまーす」
結局最後まで女神は土下座したまま、転生の手続きは終わりを迎えたのだった。
果たして神が世界の運営をしているだろうか。
否、神はそのシステムを構築こそすれども、週五で働くような殊勝な輩では決してないだろう。月一でも怪しいところだ。
何故、そんなことを思うのかって?
自称女神が目の前で土下座してきたら誰だってこんな現実逃避をしたくなるってものだろう?
もっと言うなら、現実では僕はすでに死んでいるらしいんだけど。
まったくもって救いようのない話だ。
「あの、そろそろ話を戻しても?」
「戻すも何も、僕は次元の穴に落ちて体がバラバラになって魂だけの存在になったんだろう?」
痛みというものを感じることなく死んだ……これって死んだことになるのか? まぁとにかく痛みがなかったという点は不幸中の幸いというものだろうか。
「ええと、肉体的には死を迎えたということになります」
「となると、残った精神あるいは魂の処遇を決める必要があるわけか」
「話が早くて助かります。一応あなたの予想をきいても?」
「輪廻転生の輪にそのまま戻すか、天使として君の眷属になるか、チートをもらって異世界転生をするか。大穴としては新しい神として生きるというものがあるけれど」
「次元の穴に落ちたことで魂に変質が発生しているので元の世界に戻すのは不可能です。天使というものは神の意志を受ける機械人形なのでこれも不可能です。新たな神として迎え入れるのは禁足事項に触れるのでこれも不可能です」
「つまり、チートで俺tueeeができるようになると」
「魂そのものを消滅させるという案もありますけど?」
「土下座してる状況で何を言っているんだか」
加害者と被害者という意味では、こちらの方が立場が上なんだが。
「いえ、人生に飽きたとか絶望したとか、要は来世に期待を持てない人間は魂の消滅を選ぶと聞いたことがあります」
「だとしても三十路にもなってない人間が、チートをもらえるとわかっていて希望を持てないわけがないだろうに」
「まぁ、十人十色な人生ですから」
「うるせえよ」
「ところで、はやくチート決めてくれません? これでも私結構忙しいんですよ?」
「この状況って君の失態からくるものだよね? どうして偉そうにできるの?」
「それは……女神ですし」
「土下座してるけどね」
ともあれ、チートである。
ここで重要なのは、どんなに過酷な世界であろうとも現地の人はチートなしで生きている、ということにある。
そも、ファンタジーな世界なのかどうかすら怪しいものなのだ。
銃が強力な世界で剣術スキルだとか剣聖スキルだとかを持っていても役に立たないし、逆に銃のない世界で銃に関するスキルを持っていても宝の持ち腐れである。
また、魔法に関するスキルに関しても、その世界に魔素だとかMPだとか概念が存在しなければ意味がない。
そういった意味では、一口にチートと言っても千差万別だということがわかる。
だからこそ、僕の選ぶスキル……いや、作ってもらうスキルは決まっていた。
「ふたなりスキル。女神の御業で対象を一時的にふたなりにすることができる効果を持つ。たまは女神の気まぐれ」
「いや、鑑定さんみたいな口調で説明されても困るんですが。大体どうしてそんな……」
「人間の三大欲求は食欲睡眠欲性欲の三つだ。セックスは性欲を満たし、ついでに質の高い睡眠を提供してくれる。実に理のかなった選択だと僕は思うけどね」
「……まぁいいですけどね。クーリングオフは受け付けませんのでよろしく」
「君、意外というかなんというか、世俗に詳しいよね?」
「いきまーす」
結局最後まで女神は土下座したまま、転生の手続きは終わりを迎えたのだった。
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