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【スタ特11】そういう目で見ています②満員電車編
泥中の蓮
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満員電車なんて大嫌い!
そう思っていたのだけれど――。
***
いつもなら空いているはずの時間帯の電車が、悪天候でダイヤが乱れまくったせいで、びっくりするぐらいの満員電車に仕上がっていた。
幸いにして始発駅から乗っていた私は、シートの端っこ……スタンションポールのすぐそばの席に小ぢんまりと座れていたのだけれど。
大事を取って荷物を膝の上に抱えて身体をガードしている真っ最中。
ともすると、こんな枯れ女に対してでさえ揺れに乗じて胸や太ももに触れてくる不届き者がいないとも限らないのがこういう満員電車の中だ。
私、美少年や美青年同士の絡みは大好きだけど、むさくるしいエッチなおじさんは大嫌いな現役女子大生。
自他ともに認める腐女子沼にどっぷりの、どこにでもいる(?)普通の女の子。〝妄想癖フジョ子(仮名)〟二十二歳。
先日大好きな推しカップルの一人に異性の彼女がいる(涙)と判明してちょっぴり傷心の身。
でも……だからって懲りない私は、あれはきっと〝攻〟くんの世間を欺くためのカモフラージュではないかという路線も捨てていないの。
この殺伐とした日々の中で、あそこまで萌えられる対象はそうそう居ないもの。
簡単に推し活を奪われてなるものですかっ!
腐女子のバイタリティを舐めないでっ!?
***
大学の一コマ目に間に合うこの電車は、いつもならスカスカ。
私はこの時間を優雅にお気に入りのBL小説を電子書籍で読んだり、シチュエーションボイスを堪能しながら、妄想をインプットするための時間として使うことを日課としているのに。
こんなに混み合っていてはそれもままならないじゃないの。
はぁーっと大きく溜め息を吐きながら、電車に揺られること五駅。
大学の最寄駅まであと三駅と言う段になって、しょぼくれていた私へのご褒美かしら!?
同じ薬学部に在籍する同級生・伊藤直樹くんと高嶺尽くんの麗しコンビが乗り込んできた。
ドアが閉まるなりすぐ、直樹くんが尽くんを私のすぐ横のスタンションポールに捕まらせて。
「尽。そこの棒にしっかり捕まってろ。転ばれたら面倒臭い」
言って、まるで尽くんを周りの人混みから守るみたいに自分が盾になるとか。
きゃー、これってどう見ても壁ドンじゃない、か・べ・ど・ん!
いつもは運転手付きの車で通学……の二人なのに、今日はどうしたんだろう?
運転手さんが病気にでもなったのかしら? それとも車の故障かしらね?
いや、でも……それはそれで「へーい、タクシー!」になりそうよね。
もしかして、社会勉強のためかしら?
何にせよ、きっと二人にとっては慣れない電車通学。
それが、よりによってこんなダイヤの乱れた日に当たっちゃうとか。
災難以外の何物でもないよね、と思わざるを得ない。
だけど……。
私にとっては掃き溜めに鶴。もしくは泥中の蓮。
(神様、私に格好の妄想ネタを有難うございます!)
立ち位置的にはすぐ真横のこの席より、向かい側のポールに移動してくれた方が観察し易そうでいいんだけど、これはこれで二人の会話が丸聞こえなのが美味しいです。
(それに……。こんなに混んでたら向かい側の席は見えないか……)
やっぱりコレは幸運以外の何物でもないわね……と、私は密かにほくそ笑んだ。
そう思っていたのだけれど――。
***
いつもなら空いているはずの時間帯の電車が、悪天候でダイヤが乱れまくったせいで、びっくりするぐらいの満員電車に仕上がっていた。
幸いにして始発駅から乗っていた私は、シートの端っこ……スタンションポールのすぐそばの席に小ぢんまりと座れていたのだけれど。
大事を取って荷物を膝の上に抱えて身体をガードしている真っ最中。
ともすると、こんな枯れ女に対してでさえ揺れに乗じて胸や太ももに触れてくる不届き者がいないとも限らないのがこういう満員電車の中だ。
私、美少年や美青年同士の絡みは大好きだけど、むさくるしいエッチなおじさんは大嫌いな現役女子大生。
自他ともに認める腐女子沼にどっぷりの、どこにでもいる(?)普通の女の子。〝妄想癖フジョ子(仮名)〟二十二歳。
先日大好きな推しカップルの一人に異性の彼女がいる(涙)と判明してちょっぴり傷心の身。
でも……だからって懲りない私は、あれはきっと〝攻〟くんの世間を欺くためのカモフラージュではないかという路線も捨てていないの。
この殺伐とした日々の中で、あそこまで萌えられる対象はそうそう居ないもの。
簡単に推し活を奪われてなるものですかっ!
腐女子のバイタリティを舐めないでっ!?
***
大学の一コマ目に間に合うこの電車は、いつもならスカスカ。
私はこの時間を優雅にお気に入りのBL小説を電子書籍で読んだり、シチュエーションボイスを堪能しながら、妄想をインプットするための時間として使うことを日課としているのに。
こんなに混み合っていてはそれもままならないじゃないの。
はぁーっと大きく溜め息を吐きながら、電車に揺られること五駅。
大学の最寄駅まであと三駅と言う段になって、しょぼくれていた私へのご褒美かしら!?
同じ薬学部に在籍する同級生・伊藤直樹くんと高嶺尽くんの麗しコンビが乗り込んできた。
ドアが閉まるなりすぐ、直樹くんが尽くんを私のすぐ横のスタンションポールに捕まらせて。
「尽。そこの棒にしっかり捕まってろ。転ばれたら面倒臭い」
言って、まるで尽くんを周りの人混みから守るみたいに自分が盾になるとか。
きゃー、これってどう見ても壁ドンじゃない、か・べ・ど・ん!
いつもは運転手付きの車で通学……の二人なのに、今日はどうしたんだろう?
運転手さんが病気にでもなったのかしら? それとも車の故障かしらね?
いや、でも……それはそれで「へーい、タクシー!」になりそうよね。
もしかして、社会勉強のためかしら?
何にせよ、きっと二人にとっては慣れない電車通学。
それが、よりによってこんなダイヤの乱れた日に当たっちゃうとか。
災難以外の何物でもないよね、と思わざるを得ない。
だけど……。
私にとっては掃き溜めに鶴。もしくは泥中の蓮。
(神様、私に格好の妄想ネタを有難うございます!)
立ち位置的にはすぐ真横のこの席より、向かい側のポールに移動してくれた方が観察し易そうでいいんだけど、これはこれで二人の会話が丸聞こえなのが美味しいです。
(それに……。こんなに混んでたら向かい側の席は見えないか……)
やっぱりコレは幸運以外の何物でもないわね……と、私は密かにほくそ笑んだ。
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