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(17)声を聴かせて?*
仕事絡み?
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なのに尽はそのことには一切言及しないで涼しい顔のままなのだ。
それが、天莉には何だか悔しくてたまらない。
「きっと天莉が敏感なだけだよ」
「んんっ」
耳朶をほんの少し甘噛みされて「可愛い」と付け加えられた天莉は、唇を噛みしめて漏れ出そうになる嬌声を懸命に押し殺した。
「さて、泡に包まれて見えなくなったし、タオル、もう要らないよね?」
「やっ、待って。下がまだ……!」
タオルをグイッと手から奪われた恥じらいから、思わず言わなくてもいいことを自己申告してしまった天莉だ。
遠ざかるタオルを絶望的な気持ちで鏡越しに目で追いながら、胸と下腹部を手で懸命に覆い隠したのだけれど。
「天莉。せっかくタオルをのけても手があったら洗うのに邪魔だよ?」
そんな言葉とともに、「……けど、そうだね。下のこと、すっかり忘れてたのは俺のミスだ。ごめんね、すぐに泡で隠してあげるから許して?」と、それはそれは非常にわざとらしく眉根を寄せた尽から、追加で手のひらに乗せたフワフワの泡で天莉の手ごと包み込むように下腹部に触れられたからたまらない。
「やぁっ」
別に自分の手が尽の大きな掌に包み込まれただけ。
直に急所へ触られたわけではないのに、秘所がキュンと切なく疼いて、そのことが天莉には恥ずかしくて仕方がなかった。
「確か……女性のここへはあんまり石鹸を塗り込まない方がいいんだよね?」
秘部にデリケートゾーン用以外の石鹸を付けて擦ると、皮膚が薄く、剥き出しの粘膜に近い場所だからだろうか。早く洗い流さないと、じわじわと沁みて痛みを感じてしまうことを天莉は経験から知っている。
だからいつもそこは最後に洗って、一番最初にお湯で丁寧に洗い流すのだけれど。
「な、んでっ」
――貴方がそんなことを知っているの?と聞きそうになって、尽が付き合ってきた沢山の女性の影を垣間見た気がした天莉は、胸がズキンと痛んで思わず口をつぐんだ。
「……ああ、それは仕事上、ね」
なのに尽は何故か仕事でその知識を得たのだと言ってから、「……あ、けど。こういうのを男から言われるの、女性は余り好まなかったね。申し訳ないことをした。つい実地の検証データが欲しくなってしまうのは俺の悪い癖なんだ」と続ける。
その口ぶりからするに、どうも仕事絡みと言うのは嘘ではない気がした天莉だ。
医薬品などを中心に扱う天莉の勤め先『株式会社ミライ』は、確かに敏感肌の人に特化した化粧品や石鹸など……そんなものも取り扱っている。
(けど……うちの会社、別に開発部門とかあるわけじゃないのにどうして……?)
常務ともなると、平社員の預かり知らない仕事内容も、業務のうちなのだろうか?
とはいえ、確かに男性からこんな話題を振られるのはちょっと引いてしまうな、と思って。
(あ、でも……)
天莉はそれを現状を打開するチャンスかも⁉︎と思ってしまった。
それが、天莉には何だか悔しくてたまらない。
「きっと天莉が敏感なだけだよ」
「んんっ」
耳朶をほんの少し甘噛みされて「可愛い」と付け加えられた天莉は、唇を噛みしめて漏れ出そうになる嬌声を懸命に押し殺した。
「さて、泡に包まれて見えなくなったし、タオル、もう要らないよね?」
「やっ、待って。下がまだ……!」
タオルをグイッと手から奪われた恥じらいから、思わず言わなくてもいいことを自己申告してしまった天莉だ。
遠ざかるタオルを絶望的な気持ちで鏡越しに目で追いながら、胸と下腹部を手で懸命に覆い隠したのだけれど。
「天莉。せっかくタオルをのけても手があったら洗うのに邪魔だよ?」
そんな言葉とともに、「……けど、そうだね。下のこと、すっかり忘れてたのは俺のミスだ。ごめんね、すぐに泡で隠してあげるから許して?」と、それはそれは非常にわざとらしく眉根を寄せた尽から、追加で手のひらに乗せたフワフワの泡で天莉の手ごと包み込むように下腹部に触れられたからたまらない。
「やぁっ」
別に自分の手が尽の大きな掌に包み込まれただけ。
直に急所へ触られたわけではないのに、秘所がキュンと切なく疼いて、そのことが天莉には恥ずかしくて仕方がなかった。
「確か……女性のここへはあんまり石鹸を塗り込まない方がいいんだよね?」
秘部にデリケートゾーン用以外の石鹸を付けて擦ると、皮膚が薄く、剥き出しの粘膜に近い場所だからだろうか。早く洗い流さないと、じわじわと沁みて痛みを感じてしまうことを天莉は経験から知っている。
だからいつもそこは最後に洗って、一番最初にお湯で丁寧に洗い流すのだけれど。
「な、んでっ」
――貴方がそんなことを知っているの?と聞きそうになって、尽が付き合ってきた沢山の女性の影を垣間見た気がした天莉は、胸がズキンと痛んで思わず口をつぐんだ。
「……ああ、それは仕事上、ね」
なのに尽は何故か仕事でその知識を得たのだと言ってから、「……あ、けど。こういうのを男から言われるの、女性は余り好まなかったね。申し訳ないことをした。つい実地の検証データが欲しくなってしまうのは俺の悪い癖なんだ」と続ける。
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常務ともなると、平社員の預かり知らない仕事内容も、業務のうちなのだろうか?
とはいえ、確かに男性からこんな話題を振られるのはちょっと引いてしまうな、と思って。
(あ、でも……)
天莉はそれを現状を打開するチャンスかも⁉︎と思ってしまった。
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