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15.甘やかしと言う名のお仕置き*

私、修太郎さんを気持ちよくして差し上げたいのです

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***

 修太郎しゅうたろうの言葉に、日織ひおりがじっと考える様な仕草をして。

 そうしてポン!っと手を打つと、「とかどうかしら……」と、修太郎に聞こえるか聞こえないかの微かな声でつぶやいた。


「あ、あのっ。それは……私が修太郎さんして差し上げたいことでも構いませんか?」

 言って、日織がキラキラした目をして、いざるようにして修太郎の方へ身を乗り出してきて。
 修太郎はその余りの迫力に思わず身を引いて、日織から「、逃げないの!」と叱られてしまう。

「すみませんっ」

 思わず条件反射で謝ってしまってから、自分も時折日織を敢えて呼び捨てで呼ぶことがあるけれど、日織が自分をそうする時ほど効果絶大に思えなくて思わず苦笑してしまう。


 日織はそんな修太郎の顔にそっと手を伸ばすと、掛けたままだった眼鏡を取って宮棚に載せた。


(一体このは何を企んでいるのだろう?)

 日織の小さな手が動くアレコレに成すがままにされながら。彼女からの期待に満ちた視線を受けて、修太郎は内心タジタジだ。


 日織が何を目論んでいるのか分からなくて、彼女の一挙手一投足に注目している修太郎の前で、日織はストン……とベッドから降りると、床の上にぺたんこ座りをしてから修太郎を見上げてくる。

 修太郎しゅうたろうひざに両手をつくようにして、日織ひおりの色素の薄い瞳がすぐそばの自分の様子をじっとうかがってきて。

「あ、あの……日織さん……?」

 自分もベッドから降りるべきだろうかと考えていたら、日織がソワソワした様子で口を開いた。


「修太郎さん……私、修太郎さんを、その……き、気持ちよくして、差し上げたいのです」

 日織が何を言いたいのか分からなくてじっと彼女を見返したら、そっと太ももに触れられて。
 そのまま日織の小さな手がツツツツ……と修太郎の股間の辺りまで這い上ってくる。


「日織、さっ⁉︎」

 修太郎がびっくりして瞳を見開くのを恥ずかしそうに見上げながら、日織が言う。

「い、いつも……その、わ、私ばかりして頂いているので……えっと、今日は… …わ、私も、その修太郎さんのココを、その、お、お口で、し、……してみたいな、って思ったの……です」

 ゴニョゴニョ。
 語尾のあたりを小さく尻すぼみにしながらも、日織が明確にそんな意思表示をしてきたから。


「――っ⁉︎」

 〝ちょっ、本気ですか⁉︎ 日織さん!〟と、修太郎が声にならない雄叫びを上げたのは言うまでもない。
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