76 / 105
15.甘やかしと言う名のお仕置き*
弟夫婦に見せびらかしたい
しおりを挟む
これ、先日佳穂とカフェで話したことで、彼女に対する対抗心が修太郎のなかでメラメラ燃え上がってしまったから、というのも大きかったりする。
(どう考えても佳穂よりうちの日織さんの方がドレス、似合いますからね)
要は出来上がった写真を健二と佳穂に見せびらかしたいのだ。
何せあちらは和装はしていないらしいし、その意味でも勝てる気しかしない修太郎だ。
実際のところそんなの張り合うことではないというのは分かっているけれど、〝ボンキュッボン〟の恨みは根深い。
日織は最初、突然洋装も……などと言い出した修太郎に、「もったいないのですっ」と大変恐縮していた様子だったけれど、「どうしても譲れません。何より僕が日織さんのドレス姿が見たいんです!」と力説して何とか納得してもらった。
そんな感じで、始めこそ予算的なことなどを考えて気後れしまくりだった日織だったが、そこはやはり女の子だ。
綺麗な衣装を見ているうちにどんどんテンションが上がってきて。
気が付けば色とりどりのドレスの間を、花畑を舞い飛ぶ蝶のようにひらひらと動き回っていた。
そうして、結局サーモンピンクのハイウエストになったドレスを選んだ日織だ。
腰元左サイドに大きめのリボンがあしらわれていて、そこから両脇を流れるように飾るフリルのお陰で、まるでスイートピーの花を連想させる可愛らしいドレスだった。 レース使いがとても上品で、お嬢様然とした日織の雰囲気に良く似合っていて。
「僕も日織さんのドレス姿が見られて物凄く幸せです」
本当は純白のウエディングドレスも着て欲しかった修太郎だが、「和装二着に加えて、ドレスまでそれはさすがに多すぎるのですっ」と、そこだけは固辞されてしまった。
余りしつこく勧めると、選んだはずのカラードレスもやめると言い出すかもしれないと思った修太郎は、純白はとりあえず白無垢だけで我慢することにした。
結婚後にも何だかんだ理由を付けて機会を設けられないわけじゃない。
いざとなればいくらだってやりようはあると思っていたりするのだが、修太郎がそんなことを目論んでいるだなんて露ほども思っていない日織だ。
着られないと思っていたドレスまで着せてもらえると分かって、それだけでただただルンルンで。
その様を見ているだけで目尻が下がりまくりの修太郎だった。
もちろん日織の洋装に合わせて自分もタキシードを着る羽目になったのだが、それはこの際どうでもいいとか思っている。
あくまでも〝修太郎にとっての主役は日織〟なので、自分は彼女の横に立って浮かなければそれで十分。
もっと言えば日織だけ単独で撮るんだって構わなかったくらいだ。
ワクワクルンルンの日織が言うままに適当に黒のタキシードを着ることになった修太郎だったけれど、日織の方はそうは思わなかったらしい。
「修太郎さんのタキシード姿! 本当にかっこよくて……私、どうにかなってしまいそうでしたっ!」
もじもじしながら自分を見上げてくる日織に、「貴女のその視線に僕の方がどうにかなってしまいそうです!」と修太郎は心の中で叫んだ。
(どう考えても佳穂よりうちの日織さんの方がドレス、似合いますからね)
要は出来上がった写真を健二と佳穂に見せびらかしたいのだ。
何せあちらは和装はしていないらしいし、その意味でも勝てる気しかしない修太郎だ。
実際のところそんなの張り合うことではないというのは分かっているけれど、〝ボンキュッボン〟の恨みは根深い。
日織は最初、突然洋装も……などと言い出した修太郎に、「もったいないのですっ」と大変恐縮していた様子だったけれど、「どうしても譲れません。何より僕が日織さんのドレス姿が見たいんです!」と力説して何とか納得してもらった。
そんな感じで、始めこそ予算的なことなどを考えて気後れしまくりだった日織だったが、そこはやはり女の子だ。
綺麗な衣装を見ているうちにどんどんテンションが上がってきて。
気が付けば色とりどりのドレスの間を、花畑を舞い飛ぶ蝶のようにひらひらと動き回っていた。
そうして、結局サーモンピンクのハイウエストになったドレスを選んだ日織だ。
腰元左サイドに大きめのリボンがあしらわれていて、そこから両脇を流れるように飾るフリルのお陰で、まるでスイートピーの花を連想させる可愛らしいドレスだった。 レース使いがとても上品で、お嬢様然とした日織の雰囲気に良く似合っていて。
「僕も日織さんのドレス姿が見られて物凄く幸せです」
本当は純白のウエディングドレスも着て欲しかった修太郎だが、「和装二着に加えて、ドレスまでそれはさすがに多すぎるのですっ」と、そこだけは固辞されてしまった。
余りしつこく勧めると、選んだはずのカラードレスもやめると言い出すかもしれないと思った修太郎は、純白はとりあえず白無垢だけで我慢することにした。
結婚後にも何だかんだ理由を付けて機会を設けられないわけじゃない。
いざとなればいくらだってやりようはあると思っていたりするのだが、修太郎がそんなことを目論んでいるだなんて露ほども思っていない日織だ。
着られないと思っていたドレスまで着せてもらえると分かって、それだけでただただルンルンで。
その様を見ているだけで目尻が下がりまくりの修太郎だった。
もちろん日織の洋装に合わせて自分もタキシードを着る羽目になったのだが、それはこの際どうでもいいとか思っている。
あくまでも〝修太郎にとっての主役は日織〟なので、自分は彼女の横に立って浮かなければそれで十分。
もっと言えば日織だけ単独で撮るんだって構わなかったくらいだ。
ワクワクルンルンの日織が言うままに適当に黒のタキシードを着ることになった修太郎だったけれど、日織の方はそうは思わなかったらしい。
「修太郎さんのタキシード姿! 本当にかっこよくて……私、どうにかなってしまいそうでしたっ!」
もじもじしながら自分を見上げてくる日織に、「貴女のその視線に僕の方がどうにかなってしまいそうです!」と修太郎は心の中で叫んだ。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語
小さな恋のトライアングル
葉月 まい
恋愛
OL × 課長 × 保育園児
わちゃわちゃ・ラブラブ・バチバチの三角関係
人づき合いが苦手な真美は ある日近所の保育園から 男の子と手を繋いで現れた課長を見かけ 親子だと勘違いする 小さな男の子、岳を中心に 三人のちょっと不思議で ほんわか温かい 恋の三角関係が始まった
*✻:::✻*✻:::✻* 登場人物 *✻:::✻*✻:::✻*
望月 真美(25歳)… ITソリューション課 OL
五十嵐 潤(29歳)… ITソリューション課 課長
五十嵐 岳(4歳)… 潤の甥
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
禁断溺愛
流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる