16 / 105
3.今の男は誰ですか?
随分お待たせしてしまったのです
しおりを挟む
今日の同窓会もそうだけど、小学生の頃、羽住がやたらめったら日織にちょっかいを出していたのは、案外クラスで孤立しがちだった日織のことを気にしてくれていたのかも知れない。
「あの……もしかして今回の同窓会の幹事、羽住くんも……?」
ふとそう思って問い掛けたら「まぁな」とどこか含みを持った感じで笑われた。
そこで日織はハッとしたのだ。
「私にお知らせの葉書を寄越して下さったのは……」
――ひょっとして羽住くんなのですか?
そう続けようとしたけれど、「ハスミーン、アンタもこっち来て」と玉田の声が掛かって、返事は聞けず終いだった。
だけど多分きっと。
羽住は日織が来るから参加したような事を言っていたけれど、きっと来るようなきっかけを与えてくれたのもまた、彼なんだろう。
会が始まってすぐ、幹事のはずの羽住が、ずっと日織を気にしてそばを離れずにいてくれていたのも、恐らくは自分を気遣ってくれていたのだ。
そう思い至って、日織は父に連れられて行った羽住酒造で、兄の一斗と共に自分と一緒にいてくれた、ちょっぴり意地悪な男の子のことを、ほんの少しだけ懐かしく思い出した。
***
さすがに1クラスだけではなく、中学生当時8クラスあった同級生みんなの集まりだったので、玉田や羽住の他にも、7~8人の世話役がいたみたいだ。
受け付けをしてくれていた男女や、会を仕切ってくれていたらしい面々が、入り口付近に集まるのを見るとはなしにぼんやり眺めていた日織は、ふと思い出して鞄の中からスマートフォンを取り出した。
『同窓会、終わられたらお迎えにあがりますので連絡してくださいね?』
会場入りする前に修太郎から告げられた言葉を、愛しい気持ちとともに思い出した日織だ。
今日は土曜日。
修太郎も公休日で、実は18時前に会場まで日織を連れて来たのも彼だった。
あれから2時間ちょっと。
腕時計にふと視線を落とすと、20時半になろうかという頃で。
日織は、(大好きな修太郎さんのことを随分お待たせしてしまったのですっ)と思った。
「あの……もしかして今回の同窓会の幹事、羽住くんも……?」
ふとそう思って問い掛けたら「まぁな」とどこか含みを持った感じで笑われた。
そこで日織はハッとしたのだ。
「私にお知らせの葉書を寄越して下さったのは……」
――ひょっとして羽住くんなのですか?
そう続けようとしたけれど、「ハスミーン、アンタもこっち来て」と玉田の声が掛かって、返事は聞けず終いだった。
だけど多分きっと。
羽住は日織が来るから参加したような事を言っていたけれど、きっと来るようなきっかけを与えてくれたのもまた、彼なんだろう。
会が始まってすぐ、幹事のはずの羽住が、ずっと日織を気にしてそばを離れずにいてくれていたのも、恐らくは自分を気遣ってくれていたのだ。
そう思い至って、日織は父に連れられて行った羽住酒造で、兄の一斗と共に自分と一緒にいてくれた、ちょっぴり意地悪な男の子のことを、ほんの少しだけ懐かしく思い出した。
***
さすがに1クラスだけではなく、中学生当時8クラスあった同級生みんなの集まりだったので、玉田や羽住の他にも、7~8人の世話役がいたみたいだ。
受け付けをしてくれていた男女や、会を仕切ってくれていたらしい面々が、入り口付近に集まるのを見るとはなしにぼんやり眺めていた日織は、ふと思い出して鞄の中からスマートフォンを取り出した。
『同窓会、終わられたらお迎えにあがりますので連絡してくださいね?』
会場入りする前に修太郎から告げられた言葉を、愛しい気持ちとともに思い出した日織だ。
今日は土曜日。
修太郎も公休日で、実は18時前に会場まで日織を連れて来たのも彼だった。
あれから2時間ちょっと。
腕時計にふと視線を落とすと、20時半になろうかという頃で。
日織は、(大好きな修太郎さんのことを随分お待たせしてしまったのですっ)と思った。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
【完結】【R18】オトメは温和に愛されたい
鷹槻れん
恋愛
鳥飼 音芽(とりかいおとめ)は隣に住む幼なじみの霧島 温和(きりしまはるまさ)が大好き。
でも温和は小さい頃からとても意地悪でつれなくて。
どんなに冷たくあしらっても懲りない音芽に温和は…?
表紙絵は雪様に依頼しました。(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
雪様;
(エブリスタ)https://estar.jp/users/117421755
(ポイピク)https://poipiku.com/202968/
※エブリスタでもお読みいただけます。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【完結】【R18短編】その腕の中でいっそ窒息したい
夏琳トウ(明石唯加)
恋愛
私立大学の三年生である辻 朱夏《つじ あやか》は大層な美女である。
しかし、彼女はどんな美形に言い寄られてもなびかない。そんなこともあり、男子学生たちは朱夏のことを『難攻不落』と呼んだ。
だけど、朱夏は実は――ただの初恋拗らせ女子だったのだ。
体育会系ストーカー予備軍男子×筋肉フェチの絶世の美女。両片想いなのにモダモダする二人が成り行きで結ばれるお話。
◇hotランキング入りありがとうございます……!
――
◇初の現代作品です。お手柔らかにお願いします。
◇5~10話で完結する短いお話。
◇掲載先→ムーンライトノベルズ、アルファポリス、エブリスタ
冷徹上司の、甘い秘密。
青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。
「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」
「別に誰も気にしませんよ?」
「いや俺が気にする」
ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。
※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。
【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜
湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」
30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。
一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。
「ねぇ。酔っちゃったの………
………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」
一夜のアバンチュールの筈だった。
運命とは時に残酷で甘い………
羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。
覗いて行きませんか?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・R18の話には※をつけます。
・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。
・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。
【R18】優しい嘘と甘い枷~もう一度あなたと~
イチニ
恋愛
高校三年生の冬。『お嬢様』だった波奈の日常は、両親の死により一変する。
幼なじみで婚約者の彩人と別れなければならなくなった波奈は、どうしても別れる前に、一度だけ想い出が欲しくて、嘘を吐き、彼を騙して一夜をともにする。
六年後、波奈は彩人と再会するのだが……。
※別サイトに投稿していたものに性描写を入れ、ストーリーを少し改変したものになります。性描写のある話には◆マークをつけてます。
若妻シリーズ
笹椰かな
恋愛
とある事情により中年男性・飛龍(ひりゅう)の妻となった18歳の愛実(めぐみ)。
気の進まない結婚だったが、優しく接してくれる夫に愛実の気持ちは傾いていく。これはそんな二人の夜(または昼)の営みの話。
乳首責め/クリ責め/潮吹き
※表紙の作成/かんたん表紙メーカー様
※使用画像/SplitShire様
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる