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母との別れと、なおちゃんからのSOS
度重なる着信
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私はもうなおちゃんとお付き合いしていた頃のようにフリーではない。
私だけを見てくれて、私だけを愛してくれる、建興くんという素敵な旦那様がいる。
たっくんは、なおちゃんが私に不誠実なことをして落ち込んでいた頃に、私の前へ現れた救世主のような人。
そればかりか、大好きなお母さんが亡くなった時、ずっと私のそばにいて、折れそうな心を支えてくれた大切な人だ。
今更なおちゃんなんかに惑わされたりしない。
私はそんな決意を込めて、「なおちゃん。私ね、先月結婚したの。だからもうなおちゃんとは会わない。申し訳ないけど二度と連絡してこないで?」と告げて通話を切った。
なおちゃんから連絡がないのをいいことに、ずっと未練がましく着信拒否出来ずにいたなおちゃんの電話番号を、すぐさま拒否リストに加えると、ほぅっとひとつ吐息を落とした。
そのせいであんなことになるなんて――。
そうなると分かっていたら、私はもう少し上手く立ち回れたのかな?
***
なおちゃんから電話が掛かってきた翌日。
仕事から帰って来たたっくん二人、夕飯を済ませて隣り合わせ。
座布団に座って愛フェレットの直太朗と遊んでいたら、テーブルの上に放置していた私のスマートフォンがブブブ……ブブブ……と振動しているのに気が付いた。
ぴょんぴょんと斜め横っ飛びをしながら楽しそうにククククッと声を上げる直太朗から視線を逸らすと、私は机上からスマホを取り上げる。
「あ……」
そうして明るくなった画面を見て、思わず声を漏らした。
「どうしたの?」
その声に、たっくんが反応する。
「別に大したことじゃないの。ただ……今日この番号からの着信、四回目だなって思って……」
私は番号のみが表示された画面を見せながらたっくんに事情を説明した。
直太朗が「遊んで?」と飛び掛かってくるのを軽くいなしながら、私はスマートフォンの画面を見詰めて吐息を落とす。
着信履歴に表示されたその番号は携帯電話からのもので。
どうやら電話帳に未登録の番号らしく、名前などの表示はされていなかった。
「けど、知らない番号からなの」
私だけを見てくれて、私だけを愛してくれる、建興くんという素敵な旦那様がいる。
たっくんは、なおちゃんが私に不誠実なことをして落ち込んでいた頃に、私の前へ現れた救世主のような人。
そればかりか、大好きなお母さんが亡くなった時、ずっと私のそばにいて、折れそうな心を支えてくれた大切な人だ。
今更なおちゃんなんかに惑わされたりしない。
私はそんな決意を込めて、「なおちゃん。私ね、先月結婚したの。だからもうなおちゃんとは会わない。申し訳ないけど二度と連絡してこないで?」と告げて通話を切った。
なおちゃんから連絡がないのをいいことに、ずっと未練がましく着信拒否出来ずにいたなおちゃんの電話番号を、すぐさま拒否リストに加えると、ほぅっとひとつ吐息を落とした。
そのせいであんなことになるなんて――。
そうなると分かっていたら、私はもう少し上手く立ち回れたのかな?
***
なおちゃんから電話が掛かってきた翌日。
仕事から帰って来たたっくん二人、夕飯を済ませて隣り合わせ。
座布団に座って愛フェレットの直太朗と遊んでいたら、テーブルの上に放置していた私のスマートフォンがブブブ……ブブブ……と振動しているのに気が付いた。
ぴょんぴょんと斜め横っ飛びをしながら楽しそうにククククッと声を上げる直太朗から視線を逸らすと、私は机上からスマホを取り上げる。
「あ……」
そうして明るくなった画面を見て、思わず声を漏らした。
「どうしたの?」
その声に、たっくんが反応する。
「別に大したことじゃないの。ただ……今日この番号からの着信、四回目だなって思って……」
私は番号のみが表示された画面を見せながらたっくんに事情を説明した。
直太朗が「遊んで?」と飛び掛かってくるのを軽くいなしながら、私はスマートフォンの画面を見詰めて吐息を落とす。
着信履歴に表示されたその番号は携帯電話からのもので。
どうやら電話帳に未登録の番号らしく、名前などの表示はされていなかった。
「けど、知らない番号からなの」
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