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*梅雨の長雨―恋慕―

僕に足りない部分は菜乃香が補ってくれる?

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「あのっ! たっくんがうまく出来ないところは……わ、私がっ、頑張るんじゃ……ダメ、かな? エッチって一人でするものじゃないと思うし……その、ふ、ふたりで助け合って、き、気持ちよく……なりたいな……?って思うんだけど……」

 こんなこと女の子から言うのはどうなんだろう。

 とてもはしたないことを提案している気がしてしどろもどろになった私を、たっくんがグイッと引き上げて抱き締めてくれた。

 片腕で引き寄せられたのに、いとも簡単に立ち上がらされてたっくんの腕の中。

 脚を怪我していてもこれ。

 今更のようにたっくんは力のある〝男の人なんだ〟って思い知らされて物凄く照れ臭くなる。


菜乃香なのか。さっきの提案、すごく嬉しい。僕ね、セックスって男が頑張るものだって勝手に思い込んでたから……女の子からそんな風に言ってもらえるなんて正直思ってなかったんだ。……ね、菜乃香。僕に足りない部分は菜乃香が補ってくれる?」

 立ったまま。
 ベッドへ腰かけたたっくんに抱き締められた私は、彼を見下ろす格好になっていて。

 たっくんが小首を傾げて私を見上げてくるのが物凄く可愛くて、キュンと胸が締め付けられるようにときめいた。

「うん。もちろんそのつもり、だよ……?」

 無意識。
 たっくんの頬を両手で包み込むようにしてうっとり答えたら、それを合図にしたみたいにたっくんの手が胸へ伸びてきて。

 薄いTシャツの布地越し。
 やんわりと胸の形を確認するみたいに大きな手のひらで包み込まれた私は、思わず「ぁんっ」と声を詰まらせた。

菜乃香なのかの胸、柔らかいね」

 わざわざそんなこと言わなくてもいいのにっ。

 たっくんが私の反応を楽しむみたいに意地悪なことを言ってくるから。

 私は恥ずかしくてたまらないの。

 お風呂上り。
 借り物のTシャツの下、ブラを着けていない無防備な胸は、たっくんの手のぬくもりをダイレクトに伝えてきて。

 彼がギュッと手指に力を込める度に敏感な先端がたっくんの武骨な手のひらに押しつぶされて擦られて……それがじんわりと身体の奥底から快感を掘り起こしてくる。

「乳首、ってきたね。……ツンと布地を押し上げてるの、凄く可愛い」

 言うなりたっくんがカリッと爪先で硬くしこった胸のとんがりを引っ掻くから。私は思わず「ひゃんっ」と子犬みたいにかされてしまう。

 それが恥ずかしくて慌てて口を覆ったら「声、押さえないでもっと聞かせて?」って上目遣いで見上げてくるとか。

 ……ホントずるい!

 たっくんの方が三つ年上のはずなのに。
 今まで十四も離れたなおちゃんと付き合っていたからかな。

 たっくんが合間合間で見せるこんな言動に、私はやたらと庇護欲ひごよくをくすぐられてしまう。
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