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*梅雨の長雨―恋慕―

閨事の駆け引き

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 たっくんの屹立きつりつを両の手でそっと包み込んだ。

 男性器というのは見た目のグロテスクさの割に、とても繊細な触り心地の、きめ細かい肌をした器官だと思う。

 きっとこの手触りのまんま、すごく敏感な部分だと思うから。

 私はたっくんの様子をうかがうように下から彼の顔を見上げた。

 私が触れてもたっくんが嫌そうじゃないのを確認すると、先走りの滲んだ先端部分にゆっくりと唇を寄せてやんわりと口付ける。

 途端、たっくんが抑え切れないみたいに吐息を漏らして。

 頭に載せられたままの彼の手に微かに力がこもった。

 私はそれがたまらなく嬉しくて、もっともっとたっくんを悦ばせてあげたいって思って。

「痛かったら、……言ってね?」

 告げて、そっと鈴口を割り開くように舌先を押し当てた。
 尿道口に添って丹念に舌を這わせて、ちょっぴり塩辛いうるみを丁寧に舐め取ると、そのまま根元に向かって一直線に舌を下ろしていった。

 根元までたどり着いたら同じ軌跡をたどって上まで戻って、くびれたところを舌全体で優しく愛撫する。

「……なの、かっ」

 早くくわえて?とでも言いたいみたいにたっくんが吐息交じりに私の名を呼んで、頭に載せられた手にグッと力を込めてきて。

 私はそんなたっくんのことを心底『カワイイ』と思って、もっとあえがせてみたくなる。

 うまくおねだり出来ないたっくんが悪いんだよ?と言わんばかりに、わざとくびれの外周を何度も何度も舌を使って行き来しては時折鈴口に舌先を這わせてらす。

 口の中一杯にカレを頬張るのはちゃんとして欲しいって伝えてもらってから。

 こういう閨事ねやごとの駆け引きは、あれもこれもみんな……なおちゃんが私に仕込んだことばかり。

 それを他の男性にするのはどうなの?と頭の片隅で警鐘を鳴らしつつ、だけど私はこの愛し方しか知らないから。

 余りに積極的に責めたら、引かれてしまうかも知れない。

 たっくんは私のことをまだ幼いままの〝なのちゃん〟として見ている可能性だって十二分じゅうにぶんにあるのだから。

 なのにおろかなことに一度点火された劣情れつじょうの炎は、私の判断能力を鈍らせるの。

 そうして、幸いなことにそれはたっくんも同じだったみたいで――。
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