51 / 120
*母からの留守電
胸騒ぎ
しおりを挟む
「――こんな風に菜乃香を朝も昼も夜も考えずに抱くことが出来るなんてすごく贅沢だと思わない?」
いつもなら、どんなに激しく求め合って気怠く疲れ果てたとしても、なおちゃんは奥さんとお子さんが待つ家に帰らなければならない。
それを考えなくていいというのは、制約の中でしかお互いを愛することのできない私たちにとって、確かにとても贅沢な時間に思えた。
「私も――」
同じ気持ちだよ、って答えようとしたら、まるでそのタイミングを見計らったみたいに、なおちゃんが赤くぷっくり膨らんだ私の陰核と、ずっと勃ち上がりっぱなしの乳首を指の腹で優しく押しつぶすように可愛がってきて。
「やぁ、んっ。ダメぇっ。いま、そ……んなことされたら、私またっ――」
「何度でもイけよ」
なおちゃんの甘く掠れた声に唆されるように、私の身体はビクッと跳ねて、目の前が真っ白に染まった。
何度もイかされた身体は、ほんの少しの刺激で、いとも簡単に昇り詰めてしまえるんだって思って。
「なおちゃ、もぉ、ホントに……」
無理ぃっ……と言いながら、私はビクビクと身体を震わせた。
***
家に帰る車中で、そんな博多でのあれこれを思い出した私は、それだけで下腹部がトロリと濡れてくるのを感じた。
私はなおちゃんとの情事に、どれだけ毒されているんだろう。
後部シートにケージごとシートベルトを掛けて乗せている直太朗が、ミラー越し、そんな私をつぶらな瞳でじっと見つめてきて。その視線が物凄く非難めいて感じられた私は、慌ててミラーから視線を逸らした。
***
『なのちゃん、仕事が終わったらうちに来なさい。いいわね?』
翌日、気怠い身体に鞭打って仕事を終えて、ロッカーから携帯を取り出してみると、お母さんから留守電が入っていた。
どこか有無を言わせぬ雰囲気をまとった固い口調のその声音に、私は嫌な予感を覚える。
(何だろう)
思いながらも、お母さんに「何の用?」と折り返す勇気もないままに、ギュッと電話を握りしめて――。
「あ、なおちゃんに――」
夕方実家に行かないといけないとなると、今日はなおちゃんに会えない。
ちゃんと連絡しないとって思って、なおちゃんに電話をかけたらすぐに応答してくれた。
『どうしたの?』
なおちゃんの優しい声音に、今すぐ会いたいという気持ちが込み上げる。
でも今日は――。
「ごめん。なおちゃん。お母さんから呼び出しがかかっちゃって。今日は会えそうにないの」
言ったら、少し沈黙があった後、『……そっか』と少し残念そうな声が返った。
『ねぇ菜乃香。昨日、旅行から帰った後、実家に寄らなかったの?』
当然のように聞かれて、私は見えないと分かっていながらも、フルフルと首を横に振りながら「行ったよ。お土産もちゃんと渡して直太朗も連れて帰ってきた」と答えた。
なおちゃんと話しながら、心の中、昨日顔を見せたばかりなのにホント何の用だろう?って、胸騒ぎが止められなかった。
いつもなら、どんなに激しく求め合って気怠く疲れ果てたとしても、なおちゃんは奥さんとお子さんが待つ家に帰らなければならない。
それを考えなくていいというのは、制約の中でしかお互いを愛することのできない私たちにとって、確かにとても贅沢な時間に思えた。
「私も――」
同じ気持ちだよ、って答えようとしたら、まるでそのタイミングを見計らったみたいに、なおちゃんが赤くぷっくり膨らんだ私の陰核と、ずっと勃ち上がりっぱなしの乳首を指の腹で優しく押しつぶすように可愛がってきて。
「やぁ、んっ。ダメぇっ。いま、そ……んなことされたら、私またっ――」
「何度でもイけよ」
なおちゃんの甘く掠れた声に唆されるように、私の身体はビクッと跳ねて、目の前が真っ白に染まった。
何度もイかされた身体は、ほんの少しの刺激で、いとも簡単に昇り詰めてしまえるんだって思って。
「なおちゃ、もぉ、ホントに……」
無理ぃっ……と言いながら、私はビクビクと身体を震わせた。
***
家に帰る車中で、そんな博多でのあれこれを思い出した私は、それだけで下腹部がトロリと濡れてくるのを感じた。
私はなおちゃんとの情事に、どれだけ毒されているんだろう。
後部シートにケージごとシートベルトを掛けて乗せている直太朗が、ミラー越し、そんな私をつぶらな瞳でじっと見つめてきて。その視線が物凄く非難めいて感じられた私は、慌ててミラーから視線を逸らした。
***
『なのちゃん、仕事が終わったらうちに来なさい。いいわね?』
翌日、気怠い身体に鞭打って仕事を終えて、ロッカーから携帯を取り出してみると、お母さんから留守電が入っていた。
どこか有無を言わせぬ雰囲気をまとった固い口調のその声音に、私は嫌な予感を覚える。
(何だろう)
思いながらも、お母さんに「何の用?」と折り返す勇気もないままに、ギュッと電話を握りしめて――。
「あ、なおちゃんに――」
夕方実家に行かないといけないとなると、今日はなおちゃんに会えない。
ちゃんと連絡しないとって思って、なおちゃんに電話をかけたらすぐに応答してくれた。
『どうしたの?』
なおちゃんの優しい声音に、今すぐ会いたいという気持ちが込み上げる。
でも今日は――。
「ごめん。なおちゃん。お母さんから呼び出しがかかっちゃって。今日は会えそうにないの」
言ったら、少し沈黙があった後、『……そっか』と少し残念そうな声が返った。
『ねぇ菜乃香。昨日、旅行から帰った後、実家に寄らなかったの?』
当然のように聞かれて、私は見えないと分かっていながらも、フルフルと首を横に振りながら「行ったよ。お土産もちゃんと渡して直太朗も連れて帰ってきた」と答えた。
なおちゃんと話しながら、心の中、昨日顔を見せたばかりなのにホント何の用だろう?って、胸騒ぎが止められなかった。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~
けいこ
恋愛
人生に疲れ、自暴自棄になり、私はいろんなことから逃げていた。
してはいけないことをしてしまった自分を恥ながらも、この関係を断ち切れないままでいた。
そんな私に、ひょんなことから同居生活を始めた個性的なイケメン男子達が、それぞれに甘く優しく、大人の女の恋心をくすぐるような言葉をかけてくる…
ピアノが得意で大企業の御曹司、山崎祥太君、24歳。
有名大学に通い医師を目指してる、神田文都君、23歳。
美大生で画家志望の、望月颯君、21歳。
真っ直ぐで素直なみんなとの関わりの中で、ひどく冷め切った心が、ゆっくり溶けていくのがわかった。
家族、同居の女子達ともいろいろあって、大きく揺れ動く気持ちに戸惑いを隠せない。
こんな私でもやり直せるの?
幸せを願っても…いいの?
動き出す私の未来には、いったい何が待ち受けているの?

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。


包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる