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*直太朗
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***
お迎えするにあたって、私はフェレットを診られる動物病院をあちこち探して。
予防接種なら出来ますよ、と言ってくれた市内の小さな動物病院を、とりあえずの主治医に定めることにした。
それとは別に、副腎腫瘍の罹患率が高いことを知っていたから、もしもに備えて手術をしてもらえる病院を県外に見つけて。
「なおちゃん、この病院まで私でもたどり着けるかな?」
その病院のホームページをスマホで見せたら、なおちゃんが「今度一緒に行ってみようか」って言ってくれた。
診てくれる病院を確保してから、私は目星をつけていたセーブルカラーのパスバレイファームのフェレットの男の子を、空輸でお迎えした。
フェレ飼いの間ではパスっ子と呼ばれているファームの子。
フェレットを専門に扱っている小さなお店のホームページで見つけたその子に、一目惚れしていたの。
準備が整うまでよその子にならないでいてくれたことを、私、心の底から感謝した。
***
「名前は何にするの?」
空輸でやってきたその子を指定の場所までなおちゃんと一緒にお迎えに行って、アパートまで連れ帰ったらなおちゃんがそう聞いてきて。
手のひらより少し長いくらいの小さな赤ちゃんフェレットを、今まさに用意していたケージに移したばかり。
今日は疲れているだろうから、休ませてあげなくちゃ。
そう思いながらケージに布を被せて、「直太朗」って答えたら、なおちゃんがキョトンとした。
「なおちゃんの名前から一文字もらったの。――ダメ?」
なおちゃんの名前の「直行」から「直」の字をもらって「直太朗」。
「私たち、いつも一緒にいられるわけじゃないから、この子の名前になおちゃんの名前を1文字入れて……いつもそばにいられるような気分になれたらなって」
そう付け加えたら、なおちゃんにギュッと抱きしめられた。
「ごめん、菜乃香。寂しい思いをさせてるよな。直太朗、いいと思うよ」
強く抱きしめられながら、なおちゃんは私のことを妻にしてくれる気はないんだ、ってその言葉から改めて実感させられて……すごくすごく切なくなった。
お迎えするにあたって、私はフェレットを診られる動物病院をあちこち探して。
予防接種なら出来ますよ、と言ってくれた市内の小さな動物病院を、とりあえずの主治医に定めることにした。
それとは別に、副腎腫瘍の罹患率が高いことを知っていたから、もしもに備えて手術をしてもらえる病院を県外に見つけて。
「なおちゃん、この病院まで私でもたどり着けるかな?」
その病院のホームページをスマホで見せたら、なおちゃんが「今度一緒に行ってみようか」って言ってくれた。
診てくれる病院を確保してから、私は目星をつけていたセーブルカラーのパスバレイファームのフェレットの男の子を、空輸でお迎えした。
フェレ飼いの間ではパスっ子と呼ばれているファームの子。
フェレットを専門に扱っている小さなお店のホームページで見つけたその子に、一目惚れしていたの。
準備が整うまでよその子にならないでいてくれたことを、私、心の底から感謝した。
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「名前は何にするの?」
空輸でやってきたその子を指定の場所までなおちゃんと一緒にお迎えに行って、アパートまで連れ帰ったらなおちゃんがそう聞いてきて。
手のひらより少し長いくらいの小さな赤ちゃんフェレットを、今まさに用意していたケージに移したばかり。
今日は疲れているだろうから、休ませてあげなくちゃ。
そう思いながらケージに布を被せて、「直太朗」って答えたら、なおちゃんがキョトンとした。
「なおちゃんの名前から一文字もらったの。――ダメ?」
なおちゃんの名前の「直行」から「直」の字をもらって「直太朗」。
「私たち、いつも一緒にいられるわけじゃないから、この子の名前になおちゃんの名前を1文字入れて……いつもそばにいられるような気分になれたらなって」
そう付け加えたら、なおちゃんにギュッと抱きしめられた。
「ごめん、菜乃香。寂しい思いをさせてるよな。直太朗、いいと思うよ」
強く抱きしめられながら、なおちゃんは私のことを妻にしてくれる気はないんだ、ってその言葉から改めて実感させられて……すごくすごく切なくなった。
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