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*嫌がることはしないから
キミの裸が見たい
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ホテルに入るとすぐ、緒川さんに着ていたコートを脱がされた。
部屋は程よく空調が効いていて、外の寒さが嘘みたいに暖かくて。
ホテル独特の香りというのかな。
決して嫌なにおいではないけれど、私が今まで嗅いだことのない不思議な香りのする空間だなって思った。
もしかしたら部屋が使われるたび、何らかの消毒が施されていて、それが残り香のように染み付いているのかもしれない。
緒川さんは自分の着ていたコートと、私のコートを入り口入ってすぐのハンガーに吊り下げると、優しく私の手を引いてベッドに座らせてくれる。
ラブホテル、とか言うからもっとピンク色の照明に満たされた、全面鏡ばりとかのエッチな雰囲気の部屋かと思っていた。
でも実際は思っていたよりシックな色合いで、そのことに少なからず安堵する。
と、見るとはなしに視線を転じた先、1m四方くらいの小さなボックスが置かれていて、その中に目を凝らした私は慌ててうつむいた。
あれってきっと、世に言う〝大人のおもちゃ〟とやらの自販機だっ!
あれさえなければ普通のホテルみたいなのにっ。
緒川さんには、あれに気付いたことを悟られたくない。
なるべく不自然に見えないよう、身体の向きを自販機からほんの少し逸らしたところで、緒川さんが冷蔵庫から冷たい水のペットボトルを持ってきてくれた。
備え付けのグラスにそれを注いで手渡してくれながら、「平気?」と聞かれてコクコクとうなずいた。
ホッとしたようにそんな私の頭を優しく撫でてくれながら、緒川さんがポツンとつぶやく。
「――ねぇ菜乃香。キミの裸が見たいって言ったら……怒る? 菜乃香が嫌がることは絶対にしないって誓うから……。お願い。見せてくれないか?」
いきなりとんでもないことを要求された私はビクッとした拍子に手にしていたグラスを落っことしかけて。
「きゃっ」
服の上に盛大に水をぶちまけてしまった。
冷たさに思わず身をすくませたら、すぐさま緒川さんがバスルームからタオルを手に戻ってきてくれて、何も言わずに濡れたスカートに押し当ててくれる。
水気を拭き取るためにタオルが動かされるたび、布越しに太ももがこすられて意識してはいけないと思うのにゾクッとしてしまう。
部屋は程よく空調が効いていて、外の寒さが嘘みたいに暖かくて。
ホテル独特の香りというのかな。
決して嫌なにおいではないけれど、私が今まで嗅いだことのない不思議な香りのする空間だなって思った。
もしかしたら部屋が使われるたび、何らかの消毒が施されていて、それが残り香のように染み付いているのかもしれない。
緒川さんは自分の着ていたコートと、私のコートを入り口入ってすぐのハンガーに吊り下げると、優しく私の手を引いてベッドに座らせてくれる。
ラブホテル、とか言うからもっとピンク色の照明に満たされた、全面鏡ばりとかのエッチな雰囲気の部屋かと思っていた。
でも実際は思っていたよりシックな色合いで、そのことに少なからず安堵する。
と、見るとはなしに視線を転じた先、1m四方くらいの小さなボックスが置かれていて、その中に目を凝らした私は慌ててうつむいた。
あれってきっと、世に言う〝大人のおもちゃ〟とやらの自販機だっ!
あれさえなければ普通のホテルみたいなのにっ。
緒川さんには、あれに気付いたことを悟られたくない。
なるべく不自然に見えないよう、身体の向きを自販機からほんの少し逸らしたところで、緒川さんが冷蔵庫から冷たい水のペットボトルを持ってきてくれた。
備え付けのグラスにそれを注いで手渡してくれながら、「平気?」と聞かれてコクコクとうなずいた。
ホッとしたようにそんな私の頭を優しく撫でてくれながら、緒川さんがポツンとつぶやく。
「――ねぇ菜乃香。キミの裸が見たいって言ったら……怒る? 菜乃香が嫌がることは絶対にしないって誓うから……。お願い。見せてくれないか?」
いきなりとんでもないことを要求された私はビクッとした拍子に手にしていたグラスを落っことしかけて。
「きゃっ」
服の上に盛大に水をぶちまけてしまった。
冷たさに思わず身をすくませたら、すぐさま緒川さんがバスルームからタオルを手に戻ってきてくれて、何も言わずに濡れたスカートに押し当ててくれる。
水気を拭き取るためにタオルが動かされるたび、布越しに太ももがこすられて意識してはいけないと思うのにゾクッとしてしまう。
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