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40.記憶と結びつくもの

勝手な仲間意識

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 そこまで言ってから、「お伝えしました」と言い切って話を終わりにしなかったことを軽く後悔してしまう。

 だって。
 これを言うのは凄く恥ずかしいって気付いちゃったんだもん。

「それから――?」

「……あ、あの、彼はお声も……お顔も……その、何もかもすっごくセクシーな人なので……大人の男性の色香を感じさせるような香りも詰め込んで欲しいって……お願いしました」

 言いながら、結構な無茶ぶりだったな!?と自分でも思ってしまったけれど、そこも外せない宗親むねちかさんのイメージだったから仕方ない。

 宗親さんがそんな私の盛大な好き好き暴露に何もおっしゃらずただただ、私の腰に回した腕に力を込めてくるから。その事が何だか物凄く照れ臭くなってしまった。
 いつもみたいに「春凪はなはそんなに僕のことが好きなんですね」とか意地悪く揶揄からかってもらえた方が、「そんなことありません!」って誤魔化せるのに。
 最近の宗親さんは本当に読めなくて困ります……。


 エバリュエーターさんは私の無茶なお願いにも嫌な顔ひとつせず、私が宗親さんのどんなところが好きなのか、とか色々聞いていらして。
 私は彼女に聞かれるがまま、基本的には腹黒策士だけれど根っこの部分はすっごく優しいことや、家に帰ると会社での鬼上司ぶりが嘘みたいに私を甘やかして下さることなどをぽつりぽつりと話した。

 話しながら途中、ハッと我に返って(これって盛大な惚気のろけなんじゃないの!?)って思ったけれど、「こう言う聞き取りもイメージを掴むために必要な事ですからどんどん話してくださいね」って微笑まれて。
 私、結局聞き上手なエバリュエーターさんにそそのかされて(?)、宗親むねちかさんへの〝好き〟が溢れて止まらなくなってしまった。

 あの熱弁ぶりは、冷静になって思い出すとすっごく恥ずかしかったと思う。……私の馬鹿っ!


 ちなみに同じ頃、別室ではほたるも同じように明智あけちさんへの思いを別のエバリュエーターさんに話していたんだけど。
 私、さんざん宗親さんの魅力について語りまくってしまったから……絶対ほたるを待たせてると思ったのに、全部終わって出てきてみたら終わったタイミングがほぼ同じで。
 これはほたるの方も相当惚気のろけたな?と勝手に仲間意識を持ってしまった。
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