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39.女子会・男子会的な
宗親サイド①
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***
【side宗親】
女性陣二人がボックス席に移動して何やらコソコソやっているのを尻目に、僕は仕方なく取り残された明智と二人、よく冷えた黒ビールで仕切り直す。
「――とりあえず恋愛成就おめでとう、でいいのかな?」
言ってグラスを掲げて見せたら明智のやつ、「そこは素直におめでとうって言い切れよ」と苦笑しつつも、「けど……まぁ。背中押してくれてサンキューな」とやけに素直な反応。
「真っ直ぐ過ぎて何か気持ち悪いんだけど」
その態度に思わず本音を漏らした僕に、「織田。お前最近口調が砕けてきてだいぶ話しやすくなったけどさ……嫁さん以外には塩対応なトコとかは嫌んなるくらい全然変わんねぇよな」と苦笑される。
そんなの当たり前じゃないか。
「だったら聞くけど……明智は僕に甘々対応されたいの?」
ククッと笑いながらビールを口に含んだら、「ご冗談を」と肩をすくめられる。
「――あ、そういやぁ織田こそ結婚おめでとうな?」
もちろん明智は式にも来てくれたけど、バタバタしてゆっくり話せなかったから、こんな風に改まって祝いの言葉を言われるのは初めてだった。
「有難う」
Misokaで大学生の頃の春凪を見かけて以来、僕は明智にだけは彼女への恋心を隠さずに打ち明けた。
当時彼氏がいた春凪に、好きとも何とも言い出せないくせに、彼女の支払いを肩代わりすると申し出た僕に、「じゃ、あの子の友達の分は俺が持つわ」と、明智がついでみたいに自分の恋心を打ち明けてくれたのはいつだったっけ。
確か僕が春凪への気持ちを白状するみたいに支払いのことを打診した時にすかさずそんなことを言われた覚えがある。
僕たちは長いこと片思いを続けた、いわゆる戦友みたいなものだったから、お互いの恋が実って本当に良かったと思う。
明智と坂本さんが付き合い始めた頃に入籍を済ませた僕たちだったけれど、もともと言葉巧みに春凪を騙して同棲はしていたからか、思いのほか生活自体に変化はなくて。
もちろん先月式を挙げたことで、僕自身に関して言えば、いよいよ本格的に『オリタ建設』の方へ戻る時期が決まったりと、公の部分では動きがありはするのだけれど。
正直プライベートと仕事はまた別の話だとも思っているからね。
「お前も来年にゃあ家業の方へ戻るんだろ? ――で、嫁さんはどうするつもりだよ?」
ついでのように聞かれて、僕は小さく吐息を落とした。
「ま、聞くまでもねぇか。お前のことだからどうせ彼女も今の会社から引き抜いて、自分トコへ連れて行く気なんだろ?」
現行の会社、『神代組』でも、春凪は僕にとってなくてはならない存在だった。
春凪が入社する前はどんな風に仕事をこなしていたのか思い出せなくなりそうなほど、僕は春凪に助けられているし、彼女のことを必要だと感じている。
けど――。
【side宗親】
女性陣二人がボックス席に移動して何やらコソコソやっているのを尻目に、僕は仕方なく取り残された明智と二人、よく冷えた黒ビールで仕切り直す。
「――とりあえず恋愛成就おめでとう、でいいのかな?」
言ってグラスを掲げて見せたら明智のやつ、「そこは素直におめでとうって言い切れよ」と苦笑しつつも、「けど……まぁ。背中押してくれてサンキューな」とやけに素直な反応。
「真っ直ぐ過ぎて何か気持ち悪いんだけど」
その態度に思わず本音を漏らした僕に、「織田。お前最近口調が砕けてきてだいぶ話しやすくなったけどさ……嫁さん以外には塩対応なトコとかは嫌んなるくらい全然変わんねぇよな」と苦笑される。
そんなの当たり前じゃないか。
「だったら聞くけど……明智は僕に甘々対応されたいの?」
ククッと笑いながらビールを口に含んだら、「ご冗談を」と肩をすくめられる。
「――あ、そういやぁ織田こそ結婚おめでとうな?」
もちろん明智は式にも来てくれたけど、バタバタしてゆっくり話せなかったから、こんな風に改まって祝いの言葉を言われるのは初めてだった。
「有難う」
Misokaで大学生の頃の春凪を見かけて以来、僕は明智にだけは彼女への恋心を隠さずに打ち明けた。
当時彼氏がいた春凪に、好きとも何とも言い出せないくせに、彼女の支払いを肩代わりすると申し出た僕に、「じゃ、あの子の友達の分は俺が持つわ」と、明智がついでみたいに自分の恋心を打ち明けてくれたのはいつだったっけ。
確か僕が春凪への気持ちを白状するみたいに支払いのことを打診した時にすかさずそんなことを言われた覚えがある。
僕たちは長いこと片思いを続けた、いわゆる戦友みたいなものだったから、お互いの恋が実って本当に良かったと思う。
明智と坂本さんが付き合い始めた頃に入籍を済ませた僕たちだったけれど、もともと言葉巧みに春凪を騙して同棲はしていたからか、思いのほか生活自体に変化はなくて。
もちろん先月式を挙げたことで、僕自身に関して言えば、いよいよ本格的に『オリタ建設』の方へ戻る時期が決まったりと、公の部分では動きがありはするのだけれど。
正直プライベートと仕事はまた別の話だとも思っているからね。
「お前も来年にゃあ家業の方へ戻るんだろ? ――で、嫁さんはどうするつもりだよ?」
ついでのように聞かれて、僕は小さく吐息を落とした。
「ま、聞くまでもねぇか。お前のことだからどうせ彼女も今の会社から引き抜いて、自分トコへ連れて行く気なんだろ?」
現行の会社、『神代組』でも、春凪は僕にとってなくてはならない存在だった。
春凪が入社する前はどんな風に仕事をこなしていたのか思い出せなくなりそうなほど、僕は春凪に助けられているし、彼女のことを必要だと感じている。
けど――。
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