285 / 366
35.やり直そう
僕もなるべく早く切り上げますので、春凪は出来るだけのんびり支度して?
しおりを挟む
***
「私、先にMisokaに行ってますね?」
週末。
宗親さんが「ほたるさんも交えてMisokaに飲みに行きましょう」と提案して下さって。
私は二つ返事でオーケーをして、ほたるに打診した。
当初の予定では宗親さんとふたりで先にMisokaに行って、お店でほたると合流!のはずだったのだけれど。
さあそろそろ退社という頃になって、宗親さんが社長室に呼ばれてしまった。
Misokaは十八時から営業していて、お酒やおつまみの他に明智さん手作りの軽食が食べられたりする。
特にパスタが絶品なのだと宗親さんに教えて頂いた私は、朝からすっかりパスタのお口。
ほたると合流する前に、軽くお腹に何かを入れながら明智さんを焚き付ける計画だったので、ほたるとの待ち合わせより一時間早く行く予定にしていて。
明智さんには「開店直後に伺います」とカウンター席を三つ確保して頂いていた。
「明智なら少々待たせても構わないと思うんですがね」
私が一人でMisokaに行くことになるのが気に入らないらしく、宗親さんがとんでもない事をおっしゃる。
「お友達だからって邪険に扱っちゃダメです!」
社長室に向かう宗親さんと並んで歩きながら。
退社準備をすっかり整えた私はそのまま一旦帰宅予定。
廊下に自分達以外に人影がないのを良い事に、エレベーター待ちをする宗親さんに向けて、私はぷぅっと頬を膨らませて見せた。
「春凪、その可愛い顔は反則です」
途端宗親さんがはぁ~っと大きく溜め息をついて、私から視線を逸らす。
「僕もなるべく早く切り上げますので、春凪は出来るだけのんびり支度してMisokaへ向かって下さい」
サラリと「こら!」と叱りたくなるような言葉を私に投げて、宗親さんがエレベーターの中に吸い込まれていく。
私は一人その場に取り残されて……。
「階段で降りよ……」
何だか会社では基本鬼上司の宗親さんが、垣間見せた甘えん坊な所がツボに入って、じわじわと顔がにやけてくるのを止められなくて困ってしまった。
(宗親さん、可愛いのはそっちですよぅ)
そんなことを面と向かって言ったら、どんな仕返しが待っているか分からないから、絶対に本人には内緒。
***
宗親さんにはゆっくり準備するように言われたけれど、やっぱり約束しておいて連絡もなしに人を待たせるのは良くない。
Misokaの店の電話番号を知らないわけじゃなかったけれど、間に合いそうなら掛ける必要もないよね、と思っていそいそと家を出る。
「私、先にMisokaに行ってますね?」
週末。
宗親さんが「ほたるさんも交えてMisokaに飲みに行きましょう」と提案して下さって。
私は二つ返事でオーケーをして、ほたるに打診した。
当初の予定では宗親さんとふたりで先にMisokaに行って、お店でほたると合流!のはずだったのだけれど。
さあそろそろ退社という頃になって、宗親さんが社長室に呼ばれてしまった。
Misokaは十八時から営業していて、お酒やおつまみの他に明智さん手作りの軽食が食べられたりする。
特にパスタが絶品なのだと宗親さんに教えて頂いた私は、朝からすっかりパスタのお口。
ほたると合流する前に、軽くお腹に何かを入れながら明智さんを焚き付ける計画だったので、ほたるとの待ち合わせより一時間早く行く予定にしていて。
明智さんには「開店直後に伺います」とカウンター席を三つ確保して頂いていた。
「明智なら少々待たせても構わないと思うんですがね」
私が一人でMisokaに行くことになるのが気に入らないらしく、宗親さんがとんでもない事をおっしゃる。
「お友達だからって邪険に扱っちゃダメです!」
社長室に向かう宗親さんと並んで歩きながら。
退社準備をすっかり整えた私はそのまま一旦帰宅予定。
廊下に自分達以外に人影がないのを良い事に、エレベーター待ちをする宗親さんに向けて、私はぷぅっと頬を膨らませて見せた。
「春凪、その可愛い顔は反則です」
途端宗親さんがはぁ~っと大きく溜め息をついて、私から視線を逸らす。
「僕もなるべく早く切り上げますので、春凪は出来るだけのんびり支度してMisokaへ向かって下さい」
サラリと「こら!」と叱りたくなるような言葉を私に投げて、宗親さんがエレベーターの中に吸い込まれていく。
私は一人その場に取り残されて……。
「階段で降りよ……」
何だか会社では基本鬼上司の宗親さんが、垣間見せた甘えん坊な所がツボに入って、じわじわと顔がにやけてくるのを止められなくて困ってしまった。
(宗親さん、可愛いのはそっちですよぅ)
そんなことを面と向かって言ったら、どんな仕返しが待っているか分からないから、絶対に本人には内緒。
***
宗親さんにはゆっくり準備するように言われたけれど、やっぱり約束しておいて連絡もなしに人を待たせるのは良くない。
Misokaの店の電話番号を知らないわけじゃなかったけれど、間に合いそうなら掛ける必要もないよね、と思っていそいそと家を出る。
0
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
【R18完結】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ただいま冷徹上司を調・教・中!
伊吹美香
恋愛
同期から男を寝取られ棄てられた崖っぷちOL
久瀬千尋(くぜちひろ)28歳
×
容姿端麗で仕事もでき一目置かれる恋愛下手課長
平嶋凱莉(ひらしまかいり)35歳
二人はひょんなことから(仮)恋人になることに。
今まで知らなかった素顔を知るたびに、二人の関係は近くなる。
意地と恥から始まった(仮)恋人は(本)恋人になれるのか?
【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~
蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。
なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?!
アイドル顔負けのルックス
庶務課 蜂谷あすか(24)
×
社内人気NO.1のイケメンエリート
企画部エース 天野翔(31)
「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」
女子社員から妬まれるのは面倒。
イケメンには関わりたくないのに。
「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」
イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって
人を思いやれる優しい人。
そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。
「私、…役に立ちました?」
それなら…もっと……。
「褒めて下さい」
もっともっと、彼に認められたい。
「もっと、褒めて下さ…っん!」
首の後ろを掬いあげられるように掴まれて
重ねた唇は煙草の匂いがした。
「なぁ。褒めて欲しい?」
それは甘いキスの誘惑…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる