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34.カフェで内緒話

なんで急に打ち明けてくれる気になったの?

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(そっか、そっか。三年かぁ~)

 ふわりと頭の中でそこまで考えて、私は(ん⁉︎ もしかして)と思って。


「ねぇ、ほたる。違ってたらごめんね」

 一応そう断りを入れて、恐る恐る聞いてみた。

「もしかして三年くらい片想いしてるほたるの好きな人って……。えっと、その……Misokaミソカのオーナーさんだったり……する?」

 嘘の三八サンパチって言葉があるけれど、この年はそういうのじゃない気がする。

 私は手元のカフェラテをゴクッと飲み込むのと一緒に、生唾を飲み込んだ。

「……うん」

 存外何でもないことみたいにあっさり認められて、私は瞳を見開いた。

 だから、私が宗親むねちかさんとのことでバタバタしていて行けなかった間も、ほたるは〝私を探す〟という大義名分でMisokaミソカに顔を出してたんだって今更のように気が付いた。

 もちろん、私のことを気にしてくれたって言葉は嘘じゃないと思う。

 だけど、そのためだけならもっと別のところ――例えば私の勤め先とか――に顔を出す方が効率がいいはずだもん。

 ほたるとは、私がコウちゃんにフラれて傷心だったのを慰めてもらうのと一緒に、お互いの就職祝いも兼ねてMisokaミソカで飲んだんだもの。

 私、ほたるの就職先を知っているし、ほたるだってそう。

 なのにそこじゃなくてMisokaミソカに出向くことを選んだ理由は、きっと単純にマスターの顔を見たかったからなんだろうな。

(もぉ、ほたるってば可愛い♡)

 そう思うのと同時。
 私はどうしても聞かずにはいられない。

「でも……な、んで急に、打ち明けてくれる気になったの?」

 と。

 今まで三年間。
 ほたるは私は愚か、他の誰にもその恋心を秘密にしてきたんだもん。

 何でいきなり話してくれる気になったのかな?ってソワソワしてしまったの。

 ほたるは、すっかり氷の溶けてしまったアイスコーヒーをゆっくりひとくち飲み込むと、「――織田おりたさんと明智あけちさん、お友達なんだよね?」とつぶやいた。

 私はほたるのその言葉を聞いて、ほたるもいい加減動きのないその片想いに、何らかの動きを求めているんだ、って思って。

 でもそれは、明智あけちさんも一緒だから……ちょっとどちらかの背中を押せば済む話だよね?って心の中でニンマリする。

「もぉ~。ほたるってば水臭ぁ~い! 何で話してくれなかったのよぅ。言ってくれたら私、めちゃめちゃ協力しまくったのにぃー!」

 チュチューッとカフェラテを一気に吸い込んで喉に流し込むと、私は息巻いた。

「だって春凪はな、掴まらなかったじゃない」

「うっ」

 それを言われると言い訳のしようもございません。

 私はぐぬぬ……と言葉に詰まりながらも考える。

 どうにかしてほたると明智あけちさんの現状を打開出来ないかしら?って。
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