262 / 366
33.彼には彼なりの理由があったわけで
うちの春凪に餌付けするの、やめてもらえますか?
しおりを挟む
「ねぇ柴田さん、もう聞いた? コイツがキミに、引いちゃうくらいご執心だった話」
言われて私はキョトンとする。
「何れすか、しょれ」
ぽやんとつぶやいたらちょいちょいっと手招きされて。
私は「春凪っ!」という宗親さんの静止を無視して、カウンターに手をつくようにして明智さんの方へ身を乗り出した。
明智さんは私の耳元に唇を寄せると、
「今度お友達と飲みに来て? その時たくさん話してあげる」
言ってクスッと笑うの。
「ひゃわっ」
宗親さん以外の男性からこんな風に耳元でささやかれたことのなかった私は、その声にゾワリとして思わず耳を押さえてしまう。
よく考えたら元カレはこう言うこともしない人だった。
「明智っ!」
宗親さんが私の腕をグッと引っ張ってギュッと抱きしめると、低い声音で明智さんを牽制して。
「そんな怒るなよ、織田。お前が俺の努力が足りないって腐すからさー、ちょっと頑張って営業活動しただけだろ?」
明智さんは宗親さんの威嚇なんてちっとも気にしていないみたい。
「ね、柴田さん。次に来てくれる時は予め連絡して? ブリア・サヴァラン用意しとくから。――絶対あのショートカットのお友達と一緒に、だよ⁉︎ そしたら俺、二人にコッソリ持ち帰りのプレゼントも付けちゃう!」
ブリア・サヴァラン!
夏が旬のフレッシュタイプのチーズだっ!
前にマスターからオススメしてもらって、私、フルーツと一緒にスパークリングワインでいただくのが気に入ってるのっ♡
宗親さんの腕の中で目をキラキラさせながら「近いうちに絶対ほたるを連れて来ましゅ! フルーツとシュパークリングワインも用意しといてくらしゃい♡」と言ったら、宗親さんが盛大に溜め息をつきながら「明智、うちの春凪を餌付けするの、やめてもらえますか?」とつぶやいて。
「春凪もっ! チーズやフルーツやスパークリングワインならいくらでも僕が買ってきますから明智に懐かない!」
って怒ってくるの。
「えーっ」
私が不満を口にするのと、
「営業妨害するなら織田にはもう酒もチーズも取り寄せてやんねーぞっ」
と明智さんが言ったのとがほぼ同時で。
宗親さんが家に蓄えている珍しいチーズや美味しいお酒の数々は、Misoka経由だったことを私、初めて知ったの。
通りで。
私の好みを熟知したチーズやお酒のラインナップだなって思ってたんですよぅ!
Misokaのオーナーなら、私の好み、よく知っておられるもの。
というより私が好きなチーズとお酒の組み合わせ、ほぼ八割方Misokaで食べたことがあるもの、だから。
言われて私はキョトンとする。
「何れすか、しょれ」
ぽやんとつぶやいたらちょいちょいっと手招きされて。
私は「春凪っ!」という宗親さんの静止を無視して、カウンターに手をつくようにして明智さんの方へ身を乗り出した。
明智さんは私の耳元に唇を寄せると、
「今度お友達と飲みに来て? その時たくさん話してあげる」
言ってクスッと笑うの。
「ひゃわっ」
宗親さん以外の男性からこんな風に耳元でささやかれたことのなかった私は、その声にゾワリとして思わず耳を押さえてしまう。
よく考えたら元カレはこう言うこともしない人だった。
「明智っ!」
宗親さんが私の腕をグッと引っ張ってギュッと抱きしめると、低い声音で明智さんを牽制して。
「そんな怒るなよ、織田。お前が俺の努力が足りないって腐すからさー、ちょっと頑張って営業活動しただけだろ?」
明智さんは宗親さんの威嚇なんてちっとも気にしていないみたい。
「ね、柴田さん。次に来てくれる時は予め連絡して? ブリア・サヴァラン用意しとくから。――絶対あのショートカットのお友達と一緒に、だよ⁉︎ そしたら俺、二人にコッソリ持ち帰りのプレゼントも付けちゃう!」
ブリア・サヴァラン!
夏が旬のフレッシュタイプのチーズだっ!
前にマスターからオススメしてもらって、私、フルーツと一緒にスパークリングワインでいただくのが気に入ってるのっ♡
宗親さんの腕の中で目をキラキラさせながら「近いうちに絶対ほたるを連れて来ましゅ! フルーツとシュパークリングワインも用意しといてくらしゃい♡」と言ったら、宗親さんが盛大に溜め息をつきながら「明智、うちの春凪を餌付けするの、やめてもらえますか?」とつぶやいて。
「春凪もっ! チーズやフルーツやスパークリングワインならいくらでも僕が買ってきますから明智に懐かない!」
って怒ってくるの。
「えーっ」
私が不満を口にするのと、
「営業妨害するなら織田にはもう酒もチーズも取り寄せてやんねーぞっ」
と明智さんが言ったのとがほぼ同時で。
宗親さんが家に蓄えている珍しいチーズや美味しいお酒の数々は、Misoka経由だったことを私、初めて知ったの。
通りで。
私の好みを熟知したチーズやお酒のラインナップだなって思ってたんですよぅ!
Misokaのオーナーなら、私の好み、よく知っておられるもの。
というより私が好きなチーズとお酒の組み合わせ、ほぼ八割方Misokaで食べたことがあるもの、だから。
0
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
【R18完結】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ただいま冷徹上司を調・教・中!
伊吹美香
恋愛
同期から男を寝取られ棄てられた崖っぷちOL
久瀬千尋(くぜちひろ)28歳
×
容姿端麗で仕事もでき一目置かれる恋愛下手課長
平嶋凱莉(ひらしまかいり)35歳
二人はひょんなことから(仮)恋人になることに。
今まで知らなかった素顔を知るたびに、二人の関係は近くなる。
意地と恥から始まった(仮)恋人は(本)恋人になれるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる