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28.左手薬指のアレ

そんなに僕の裸が見たいの?

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 朝、目が覚めたら超絶間近に好みのド・ストライクのお顔があって、

〝――っ!!〟

 私は声に出して悲鳴を上げるのを、寸前のところでかろうじてこらえると、恐る恐るすぐそばにある宗親むねちかさんのお顔を眺めた。

(あーん、寝顔まで綺麗とか……どれだけハンサムなのっ)

 もっとこう、明け方の男性っておひげとかちょっと伸びてきたりしてるものだと思ってたのに、宗親むねちかさんはそんなこともないみたい。

(何? この完璧さ……。やっぱり宗親むねちかさんってば人工物か何かなの!?)

 ってお義父とうさまとお義母かあさまの愛の結晶だから……ある意味人工物か……などと馬鹿なことを考えてから、

(あ、待って待って。その論法でいくと私も人工物!)

 と思い至る。

 だけど当然、私はそこまで綺麗じゃない。

 宗親むねちかさんと私の間には、芸術家が作った一級品と、素人が作ったやっつけ仕事くらいの差がある。

 おひげの気配も感じない宗親むねちかさんと違って、私は寝起き、たまにヨダレの跡とかついてるしっ。

 そこで私はハッとした。

(私、まさか宗親むねちかさんに寝顔見られてません、よ、ね!?)

 自慢じゃないけど宗親むねちかさんみたいに美し~お顔で眠れている気がしない。

 今までは同じベッドで眠っていても、端っこに寄って彼に背中を向けていたから辛うじてセーフだったけど、今日はこんなにも間近で……しかも宗親むねちかさんの腕の中。

 まさか半眼開けて寝ているとは思わないし、思いたくないけれど……。

(いや、まさか、ね)

 絶対ない!って言えないところが怖くなる。

 私は何とか寝起きのダメダメな顔面をそこそこ見られるぐらいに整えるため、そぉっと宗親むねちかさんの腕の中から抜け出した……――かったのに!

 ゆっくりと身体を起こしたところでグッと腰に腕を回されて。

「にゃひっ!?」

 今度こそ変な声を漏らしてしまって、宗親むねちかさんにクスクス笑われてしまった。

 っていうかっ。

 ふと見下ろした先、自分が全裸なことに気が付いて、私は慌てて布団を引っ張った。

春凪はなってば、そんなに僕の裸が見たいの?」

 途端、宗親むねちかさんの身体を覆い隠していた布団を私が奪う形になってしまって、宗親むねちかさんの超絶引き締まった美しいお尻を見てしまった私は真っ赤になった。
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