【完結】【R18】好みの彼に弱みを握られていますっ!

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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25.初めての*

震えている理由

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 あえて心の底から宗親むねちかさんのことを好きになってしまったという本心はひた隠しにして。いつものように軽い調子で「好みのド・ストライク」なのだから、というところを強調したら、宗親むねちかさんが肩の力をふっと抜いていらした。


「じゃあ震えているのは何故?」

 納得してくださったのかと思いきや、宗親むねちかさんったらどこまでも食い下がっていらっしゃいますね?
 もういっそのこと「そっか。だったら遠慮なくいただきますね」で良いじゃないですか。

 聞かれれば聞かれるほど私、惨めになっちゃうんですよ?

 好きな人に自分のことを好きだと言われて身も心も愛されたい。
 それが無理だから、せめて身体だけでも……。
 でも肝心な身体にも自信が持てないから怖くて震えてしまうんです。


 そんな風に思ってしまって……でもそういう変なところでやたら真面目で理詰めなところがある宗親むねちかさんだからこそ、私は彼に惹かれたんだと思い至った。

 宗親むねちかさんは基本腹黒ドSのくせに、いつだってここぞと言う時には私と真摯しんしに向き合ってくださるの。
 だから「愛されているのかも?」ってさせられるし、その錯覚のせいでどんどん貴方のことを好きになってしまう。

 お願いだからこれ以上馬鹿な私に勘違いさせないで?


「こっ、この震えは……そう、あれっ! む、武者震いですっ」

 場違いなセリフだというのは十分承知しているつもり。

 だけど「全てをさらけ出して、貴方に嫌われるかもって思うと不安で震えてしまうんです」、「好きになってくれない貴方を身体を使ってでも繋ぎ止めたくてこんなことをしているのが卑怯だと十二分に理解しているから……。そんな躊躇ためらいが手元を狂わせています」だなんて本音、口が裂けても言えるわけない。

 それでも宗親むねちかさんは、私の〝覚悟〟だけはしっかりと受け止めて下さったみたい。

「正直、まだ少し納得がいかない面も多々ありますが――」

 そう前置きをしてから、宗親むねちかさんは私の頭を優しく撫でていらした。


春凪はな、自分で脱ぐのがそんなに恥ずかしいなら、僕に脱がさせてもらえないかな?」

 問いかけるようにそう言って、そっと優しい口付けを落とすと、私の頬へご自分の頬を擦り寄せるようしてそうささやいていらした。

 その温かく包み込むような低音ボイスに、私は小さく頷いた。

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