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21.マリッジブルー対策?
大安か友引
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「でも、……あの、いつの間に?」
まさか郵送で送りつけたとは思えない。
でも宗親さんはずっと私と一緒にいらしたし……。
そわそわと眉根を寄せて宗親さんを見上げたら、「先日母が春凪の地元の方へ行った後にね、父にもあちらへ出向いて貰ったんです」とか。
そう言えばお母さん、電話で葉月さんがお父さんと何か話したって言ってた。
きっとお父さんの方へは嵩峰さんが会いに行きます、とかそう言う話だったんだ。
何て抜かりがないのですか。
嵩峰さんが直々に出向いて取り出した婚姻届を見て、あの見栄っ張りの父が、署名せずにいられるわけがない。
それでもちゃんとお父さん自らの意思で署名捺印してくれたんだ、と思ったら少しだけホッとしたの。
「春凪のお母様からも色々と言われておられたらしくて……父が出向いた折には拍子抜けするくらいあっさりと書いて下さったらしいですよ? あ。そう言えば春凪のおじいさまからも『孫をよろしくお願いします』って頭を下げられたって」
私の心を読んだみたいに、宗親さんが「――女性が本気になったらね、男は案外敵わないものなんですよ? 知ってましたか?」と付け加えていらっしゃるの。
そうして私の手をギュッと握るなり「だからこそ、僕は春凪の気持ちが変わらないうちにこの書類を早く出してしまいたいんです。――キミはお日柄とか気にしますか?」と畳みかけられた。
私はその話術に、いつもの宗親さんらしくない必死さを垣間見た気がして驚いてしまう。
その雰囲気に呑まれて「特には」と思わず答えてしまってから、すぐに思い直して言葉を紡ぎ直した。
「あ、あのっ。やっぱりせっかくだから大安か友引がいいです」
何となく――。
言ったら「分かりました。善処しましょう」と微笑まれて。
あ。これはいつもの腹黒スマイルだ、とホッとする。
さっき、やけに一生懸命に見えたのは、きっと私の気のせいだよね?
何となくそっちの方がいつも通り落ち着くな?とか思っている私は、大概宗親さんに毒されているんだろうな。
まさか郵送で送りつけたとは思えない。
でも宗親さんはずっと私と一緒にいらしたし……。
そわそわと眉根を寄せて宗親さんを見上げたら、「先日母が春凪の地元の方へ行った後にね、父にもあちらへ出向いて貰ったんです」とか。
そう言えばお母さん、電話で葉月さんがお父さんと何か話したって言ってた。
きっとお父さんの方へは嵩峰さんが会いに行きます、とかそう言う話だったんだ。
何て抜かりがないのですか。
嵩峰さんが直々に出向いて取り出した婚姻届を見て、あの見栄っ張りの父が、署名せずにいられるわけがない。
それでもちゃんとお父さん自らの意思で署名捺印してくれたんだ、と思ったら少しだけホッとしたの。
「春凪のお母様からも色々と言われておられたらしくて……父が出向いた折には拍子抜けするくらいあっさりと書いて下さったらしいですよ? あ。そう言えば春凪のおじいさまからも『孫をよろしくお願いします』って頭を下げられたって」
私の心を読んだみたいに、宗親さんが「――女性が本気になったらね、男は案外敵わないものなんですよ? 知ってましたか?」と付け加えていらっしゃるの。
そうして私の手をギュッと握るなり「だからこそ、僕は春凪の気持ちが変わらないうちにこの書類を早く出してしまいたいんです。――キミはお日柄とか気にしますか?」と畳みかけられた。
私はその話術に、いつもの宗親さんらしくない必死さを垣間見た気がして驚いてしまう。
その雰囲気に呑まれて「特には」と思わず答えてしまってから、すぐに思い直して言葉を紡ぎ直した。
「あ、あのっ。やっぱりせっかくだから大安か友引がいいです」
何となく――。
言ったら「分かりました。善処しましょう」と微笑まれて。
あ。これはいつもの腹黒スマイルだ、とホッとする。
さっき、やけに一生懸命に見えたのは、きっと私の気のせいだよね?
何となくそっちの方がいつも通り落ち着くな?とか思っている私は、大概宗親さんに毒されているんだろうな。
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