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17.わけも分からないままトントン拍子?
父の豹変
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でも――。
それでも……私はやっぱり宗親さんが好きで……。
どんな形でも彼のそばに居たいし、偽りでも構わないから……彼の温もりを独り占めしたいと強く欲していることにも気が付いた。
愛されたいなんて贅沢は言いません。
見せかけだけの偽装夫婦でも構わない。
だからお願い、宗親さん。
こんな私だけど……貴方のそばにいる事を許して……?
そんな私の気持ちなんて、お父さんには分かりっこないんだろうな。
家を存続させるための手駒としてアレコレ言い聞かせながら育てたはずの娘が、まさか自分の言いなりになる傀儡のままでいることを嫌うだなんて、きっと想定の範囲外だったよね?
それは今この場にはいないおじいちゃんにしても同じだと思うけど。
ねえ、お父さん。後生だから私の大好きな人を値踏みするみたいな目で見ないで?
父親の、宗親さんを見る眼差しが凄く嫌で……。
なのに宗親さんはまるでそんなの些末なことででもあるかのように凛としていらして、全然気にしていらっしゃるようには見えないの。
どうしてこの人は、いついかなる時もこんなに自分に自信を持って存在していられるんだろう?
その答えを私、呆れの対象として見ていた眼前の父とともに知ることになった――。
***
父は、宗親さんのことを田舎の小さな街の、中小企業の課長程度と侮っていたように思う。
それが一変したのは、宗親さんがご自身の出自と、ご両親のこと、それからゆくゆくは自分が歩むはずの道を話されて、一葉の名刺をお出しになった後。
ドキュメンタリー番組やニュースなんかでもよく取り上げられるような、大きな会社の名前が書かれた名刺に、課長や部長どころか、副社長織田宗親の文字。
宗親さんが、そこの会社の代表取締役社長の息子で、妹さんはいるけれど跡取りとして期待されているのは彼の方だと知った後の、手のひらを返したような父の態度。
元より女性である夏凪さんの存在なんて、きっと父の目には入ってもいない。
宗親さんの血統を知った途端の父の豹変ぶりに寒気がして、私は彼に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
それでも……私はやっぱり宗親さんが好きで……。
どんな形でも彼のそばに居たいし、偽りでも構わないから……彼の温もりを独り占めしたいと強く欲していることにも気が付いた。
愛されたいなんて贅沢は言いません。
見せかけだけの偽装夫婦でも構わない。
だからお願い、宗親さん。
こんな私だけど……貴方のそばにいる事を許して……?
そんな私の気持ちなんて、お父さんには分かりっこないんだろうな。
家を存続させるための手駒としてアレコレ言い聞かせながら育てたはずの娘が、まさか自分の言いなりになる傀儡のままでいることを嫌うだなんて、きっと想定の範囲外だったよね?
それは今この場にはいないおじいちゃんにしても同じだと思うけど。
ねえ、お父さん。後生だから私の大好きな人を値踏みするみたいな目で見ないで?
父親の、宗親さんを見る眼差しが凄く嫌で……。
なのに宗親さんはまるでそんなの些末なことででもあるかのように凛としていらして、全然気にしていらっしゃるようには見えないの。
どうしてこの人は、いついかなる時もこんなに自分に自信を持って存在していられるんだろう?
その答えを私、呆れの対象として見ていた眼前の父とともに知ることになった――。
***
父は、宗親さんのことを田舎の小さな街の、中小企業の課長程度と侮っていたように思う。
それが一変したのは、宗親さんがご自身の出自と、ご両親のこと、それからゆくゆくは自分が歩むはずの道を話されて、一葉の名刺をお出しになった後。
ドキュメンタリー番組やニュースなんかでもよく取り上げられるような、大きな会社の名前が書かれた名刺に、課長や部長どころか、副社長織田宗親の文字。
宗親さんが、そこの会社の代表取締役社長の息子で、妹さんはいるけれど跡取りとして期待されているのは彼の方だと知った後の、手のひらを返したような父の態度。
元より女性である夏凪さんの存在なんて、きっと父の目には入ってもいない。
宗親さんの血統を知った途端の父の豹変ぶりに寒気がして、私は彼に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
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