【完結】【R18】好みの彼に弱みを握られていますっ!

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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17.わけも分からないままトントン拍子?

振り回されているていで

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 それでも宗親むねちかさんは仕事の出来る男性ひとだから、きっと偽装とは言えいざ結婚したとなれば、婚姻相手の私に「愛されているという」を与えてくれるはずだ。

 先の夜がそうだったみたいに。

 現に私、宗親むねちかさんの腕の中で元カレこうちゃん相手では得られなかった快感と幸福感に包まれた。

 ちゃんと最後まで抱かれたわけでもないのにアレ。

 本当の意味で一線を越えてしまったら私、どうなってしまうんだろう。


 どんなに深く愛されているように感じさせられても、彼にとっての私はあくまでも利用すべき相手であって、恋愛対象じゃそれ以上でも以下でもない。

 それをしっかり自覚しておかないと、私ひとり気持ちが暴走しちゃいそうで怖い。


 だからこそ私、自分の気持ちにふたをする決心を鈍らせたくなくて、引っ越しの際、背水の陣でこの同居に臨んだの。

 私だってあんなにたくさんのものを手放すことに不安がなかったわけじゃない。

 だけど――。

 ああでもしないと宗親むねちかさんと一緒にいる理由を〝彼のことを愛してしまったから〟以外の理由で、自分の中にこじつけられなくなりそうで怖かったんだもの。

 何もかもを手放した私は、ここを追い出されたら露頭に迷ってしまう。
 困るそうなるように自分で自分を追い詰めた。

 、彼の元にしがみ付く言い訳にできるように。


 結婚すれば妻以外を抱くつもりはないと言ってくださった宗親むねちかさんの言葉に、恐らく嘘偽りはない。

 けど、宗親むねちかさんが契約上の妻として、私に操立みさおだてをしてくださっているだけなのを、自分への愛情だと錯覚することがないようにしないと、きっと宗親むねちかさんに呆れられてしまうと思うの。

 それを忘れてしまったら、私、夢から醒めた時、絶対に惨めになるから。

 ――宗親むねちかさんのお芝居にすがってしまいたいと思う気持ちをどれだけ制御出来るか。

 それこそが、この偽装結婚での〝きも〟なんだと思う。

 ――私は偽装夫の織田おりた宗親むねちかさんを本心から愛していながらも、そんな事はないと宗親むねちかさんを騙しながら偽装妻を演じなければいけない。

 本気になってしまったと悟られたら、多分全てがご破産になってしまう。

 そう思うから――。

 私は渋々宗親むねちかさんに振り回されているていで、今日も彼に付き従っています。
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