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13.最低男と一緒にしないで?*
聞き分けのいい子は大好きです
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――そ、そんなことを言われても困りますっ。
即座にそう言って宗親さんの要求を跳ね除けたいのに、何故かそれを出来ない雰囲気があって。
「あ、あのっ……」
モニョモニョと煮えきらない態度で瞳を揺らせたら、宗親さんの距離がグッと近くなった。
そうして私の耳元、まるで意図的に耳の中へ吐息を吹き込むようにして、宗親さんがささやくの。
「もしかして自分で脱ぐのは恥ずかしいですか? だったら……僕が脱がせてあげましょう」
宗親さん、お顔だけじゃなくて声までイケボとか、本当ズルすぎますっ!
彼が近づいてきた瞬間、顔を見てはいけないというのはちゃんと思っていて、私、見ないように頑張ったのに……。
ひどい。
声までは防ぎきれないじゃない!
「――ね?」
畳みかけてくる宗親さんの声に思わずゾクリと首筋から背中に快感の波が流れて、私は「んっ」と小さく声を上げて打ち震えながら悶えた。
わけも分からないままに涙目でコクコクとうなずきながら、きっと、さっき〝中〟を探られて高みへ昇らされた時の余韻が、まだ身体の奥底に残ってるんだ。
そう気付いたけれど、だからってどうにもならないじゃないっ。
私、今また、身体がすっごく熱くなってきてる。
絶対まずいっ。
そんなことを思いつつ。
それできっと、宗親さんからの恐ろしい申し出への返答を間違えてしまったことにも気付けなかったの。
「春凪、一旦身体を起こしましょうか。そうそう、上手。……それで、そのままばんざーい」
優しく宗親さんに促されて、熱に浮かされて判断能力を失った役立たずな脳ミソのまま、私はよく考えもせずその声に従って半身を起こすと、素直に諸手を上げた。
「聞き分けのいい子は大好きです」
ご機嫌な様子の宗親さんに「ヨシヨシ」と褒められて、さらに一層気持ちが舞い上がる。
飼い主に褒められて尻尾をブンブン振るワンコの気持ちが、今だけは痛いくらいに分かる気がする。
そんな私からスポッとダボダボなシャツが抜き取られるのはいとも簡単なことだった。
急にヒヤッとした空気に素肌がさらされて「……え?」って思った時には後の祭り。
再度トン、と肩を押されるようにしてベッドに寝そべった私は、背中に直接触れる滑らかなシーツの感触に瞳を見開く。
宗親さんに、「春凪、キミは思った通りすごく綺麗な身体をしていますね」って涼やかな目で見下ろされて初めて、私は自分が下だけ履いた、すっごく恥ずかしい格好にされてしまったことを強く自覚した。
即座にそう言って宗親さんの要求を跳ね除けたいのに、何故かそれを出来ない雰囲気があって。
「あ、あのっ……」
モニョモニョと煮えきらない態度で瞳を揺らせたら、宗親さんの距離がグッと近くなった。
そうして私の耳元、まるで意図的に耳の中へ吐息を吹き込むようにして、宗親さんがささやくの。
「もしかして自分で脱ぐのは恥ずかしいですか? だったら……僕が脱がせてあげましょう」
宗親さん、お顔だけじゃなくて声までイケボとか、本当ズルすぎますっ!
彼が近づいてきた瞬間、顔を見てはいけないというのはちゃんと思っていて、私、見ないように頑張ったのに……。
ひどい。
声までは防ぎきれないじゃない!
「――ね?」
畳みかけてくる宗親さんの声に思わずゾクリと首筋から背中に快感の波が流れて、私は「んっ」と小さく声を上げて打ち震えながら悶えた。
わけも分からないままに涙目でコクコクとうなずきながら、きっと、さっき〝中〟を探られて高みへ昇らされた時の余韻が、まだ身体の奥底に残ってるんだ。
そう気付いたけれど、だからってどうにもならないじゃないっ。
私、今また、身体がすっごく熱くなってきてる。
絶対まずいっ。
そんなことを思いつつ。
それできっと、宗親さんからの恐ろしい申し出への返答を間違えてしまったことにも気付けなかったの。
「春凪、一旦身体を起こしましょうか。そうそう、上手。……それで、そのままばんざーい」
優しく宗親さんに促されて、熱に浮かされて判断能力を失った役立たずな脳ミソのまま、私はよく考えもせずその声に従って半身を起こすと、素直に諸手を上げた。
「聞き分けのいい子は大好きです」
ご機嫌な様子の宗親さんに「ヨシヨシ」と褒められて、さらに一層気持ちが舞い上がる。
飼い主に褒められて尻尾をブンブン振るワンコの気持ちが、今だけは痛いくらいに分かる気がする。
そんな私からスポッとダボダボなシャツが抜き取られるのはいとも簡単なことだった。
急にヒヤッとした空気に素肌がさらされて「……え?」って思った時には後の祭り。
再度トン、と肩を押されるようにしてベッドに寝そべった私は、背中に直接触れる滑らかなシーツの感触に瞳を見開く。
宗親さんに、「春凪、キミは思った通りすごく綺麗な身体をしていますね」って涼やかな目で見下ろされて初めて、私は自分が下だけ履いた、すっごく恥ずかしい格好にされてしまったことを強く自覚した。
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