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12.条件、ご存知ですよね?
1分以内
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「――ですが、1分以内です」
寝室の扉に手を掛けた私に、宗親さんの低い声がかかる。
「それ以上は待ちませんので、そのつもりで」
おかしいです。
いつの間にか物凄くガッツリと、イニシアチブを握られている気がします!
私が握られているのは、どうやら〝弱み〟だけではないようです!
***
「1分以内って……即席麺も出来ないじゃないですか~!」
そんなどうでもいいことを引き合いに出して振り返りざま、宗親さんをキッと睨んで抗議したら、彼が一瞬だけ瞳を見開いてから楽しそうにククッと笑った。
その笑顔はいつもの嘘くさい腹黒スマイルではなくて、本心からの笑顔に見えてドキッとする。
何なんですか、今の可愛い笑顔。
反則過ぎますっ。
と思ったのも束の間。
「下着をひとつふたつ脱ぐぐらいで3分も待たされたら堪りません。1分過ぎたらお迎えにあがりますので、そのつもりで」
にこやかにそう返されて、私は絶句する。
「では、カウントダウンスタートです」
言われて「60、59、58……」とわざとらしく数字を数えられ始めた私は、慌てて脱衣所にダッシュした。
いずれにしても、宗親さんは私を食べることを諦めるつもりはないみたいで。
私みたいな小娘相手に「待てない」とか信じられませんし、何だか揶揄われているだけな気がしてきましたが如何でしょう?
案外覚悟を決めて戻ってきたら、スヤスヤとお休みになられているとか……そんなこともある気がしてきました。
っていうかそれを期待してしまってから、1分で寝てたらあの国民的アニメの、猫型ロボットと同居している眼鏡の彼と一緒だよ、と思って、「さすがにそれはないな」と溜め息をつく。
脱衣所でカップ付きのタンクトップを脱いでから、宗親さんにお借りした彼シャツを羽織り直すと、胸のあたりがすごく心許なくてソワソワして。
生地が胸の先端に触れることなんて、家にいれば入浴後には日常茶飯事のはずなのに、着ているのが自分の服じゃないからかな。
すごく意識してしまう。
しかも私の胸は先端が陥没しているから……きっと一般的な女性たちより受ける刺激は少ないはずで。
――普通のお胸だったら、ここで先端がチョンと服を突き上げたりする……のかな。
自分には有り得ないことだけど、想像すると何だかエッチで、ビジュアル的にそそられるの、うらやましいなって思ってしまった。
結果、とんがりがないというのが逆に恥ずかしく感じられて、ギュッと胸元を掴むようにして浮かせたら、それはそれで不自然で。
「う~」
洗面所の鏡の前で、ひとり唸り声を上げていたら、1分経っちゃう!?ってハッとして。
急いでトランクスも脱いで、脱ぎたてのタンクトップと一緒に半ば丸めるみたいに手にすると、急いで寝室へと戻った。
寝室の扉に手を掛けた私に、宗親さんの低い声がかかる。
「それ以上は待ちませんので、そのつもりで」
おかしいです。
いつの間にか物凄くガッツリと、イニシアチブを握られている気がします!
私が握られているのは、どうやら〝弱み〟だけではないようです!
***
「1分以内って……即席麺も出来ないじゃないですか~!」
そんなどうでもいいことを引き合いに出して振り返りざま、宗親さんをキッと睨んで抗議したら、彼が一瞬だけ瞳を見開いてから楽しそうにククッと笑った。
その笑顔はいつもの嘘くさい腹黒スマイルではなくて、本心からの笑顔に見えてドキッとする。
何なんですか、今の可愛い笑顔。
反則過ぎますっ。
と思ったのも束の間。
「下着をひとつふたつ脱ぐぐらいで3分も待たされたら堪りません。1分過ぎたらお迎えにあがりますので、そのつもりで」
にこやかにそう返されて、私は絶句する。
「では、カウントダウンスタートです」
言われて「60、59、58……」とわざとらしく数字を数えられ始めた私は、慌てて脱衣所にダッシュした。
いずれにしても、宗親さんは私を食べることを諦めるつもりはないみたいで。
私みたいな小娘相手に「待てない」とか信じられませんし、何だか揶揄われているだけな気がしてきましたが如何でしょう?
案外覚悟を決めて戻ってきたら、スヤスヤとお休みになられているとか……そんなこともある気がしてきました。
っていうかそれを期待してしまってから、1分で寝てたらあの国民的アニメの、猫型ロボットと同居している眼鏡の彼と一緒だよ、と思って、「さすがにそれはないな」と溜め息をつく。
脱衣所でカップ付きのタンクトップを脱いでから、宗親さんにお借りした彼シャツを羽織り直すと、胸のあたりがすごく心許なくてソワソワして。
生地が胸の先端に触れることなんて、家にいれば入浴後には日常茶飯事のはずなのに、着ているのが自分の服じゃないからかな。
すごく意識してしまう。
しかも私の胸は先端が陥没しているから……きっと一般的な女性たちより受ける刺激は少ないはずで。
――普通のお胸だったら、ここで先端がチョンと服を突き上げたりする……のかな。
自分には有り得ないことだけど、想像すると何だかエッチで、ビジュアル的にそそられるの、うらやましいなって思ってしまった。
結果、とんがりがないというのが逆に恥ずかしく感じられて、ギュッと胸元を掴むようにして浮かせたら、それはそれで不自然で。
「う~」
洗面所の鏡の前で、ひとり唸り声を上げていたら、1分経っちゃう!?ってハッとして。
急いでトランクスも脱いで、脱ぎたてのタンクトップと一緒に半ば丸めるみたいに手にすると、急いで寝室へと戻った。
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