【完結】【R18】好みの彼に弱みを握られていますっ!

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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12.条件、ご存知ですよね?

1分以内

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「――ですが、1分以内です」

 寝室の扉に手を掛けた私に、宗親むねちかさんの低い声がかかる。

「それ以上は待ちませんので、そのつもりで」


 おかしいです。

 いつの間にか物凄くガッツリと、イニシアチブを握られている気がします!

 私が握られているのは、どうやら〝弱み〟だけではないようです!



***


「1分以内って……即席カップ麺も出来ないじゃないですか~!」

 そんなどうでもいいことを引き合いに出して振り返りざま、宗親むねちかさんをキッと睨んで抗議したら、彼が一瞬だけ瞳を見開いてから楽しそうにククッと笑った。

 その笑顔はいつもの嘘くさい腹黒スマイルではなくて、本心からの笑顔に見えてドキッとする。

 何なんですか、今の可愛い笑顔。
 反則過ぎますっ。

 と思ったのも束の間。


「下着をひとつふたつ脱ぐぐらいで3分も待たされたら堪りません。1分過ぎたらお迎えにあがりますので、そのつもりで」

 にこやかにそう返されて、私は絶句する。

「では、カウントダウンスタートです」

 言われて「60、59、58……」とわざとらしく数字を数えられ始めた私は、慌てて脱衣所にダッシュした。


 いずれにしても、宗親むねちかさんは私を食べることを諦めるつもりはないみたいで。

 私みたいな小娘相手に「待てない」とか信じられませんし、何だか揶揄からかわれているだけな気がしてきましたが如何でしょう?

 案外覚悟を決めて戻ってきたら、スヤスヤとお休みになられているとか……そんなこともある気がしてきました。

 っていうかそれを期待してしまってから、1分で寝てたらあの国民的アニメの、猫型ロボットと同居している眼鏡の彼と一緒だよ、と思って、「さすがにそれはないな」と溜め息をつく。


 脱衣所でカップ付きのタンクトップを脱いでから、宗親むねちかさんにお借りした彼シャツを羽織り直すと、胸のあたりがすごく心許こころもとなくてソワソワして。

 生地が胸の先端に触れることなんて、家にいれば入浴後には日常茶飯事のはずなのに、着ているのが自分の服じゃないからかな。
 すごく意識してしまう。


 しかも私の胸は先端が陥没しているから……きっと一般的な女性たちより受ける刺激は少ないはずで。

 ――普通のお胸だったら、ここで先端がチョンと服を突き上げたりする……のかな。

 自分には有り得ないことだけど、想像すると何だかエッチで、ビジュアル的にそそられるの、うらやましいなって思ってしまった。

 結果、とんがりがないというのが逆に恥ずかしく感じられて、ギュッと胸元を掴むようにして浮かせたら、それはそれで不自然で。

「う~」

 洗面所の鏡の前で、ひとりうなり声を上げていたら、1分経っちゃう!?ってハッとして。

 急いでトランクスも脱いで、脱ぎたてのタンクトップと一緒に半ば丸めるみたいに手にすると、急いで寝室へと戻った。


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