85 / 366
11.だったら試してみればいい
春凪以外には無理
しおりを挟む
「リンク先からアプリをダウンロードしていただいて、アプリの言うように顔を登録してください」
言ってから、「おっとその前に……。春凪のスマホ、少しお借りしていいですか?」と手を差し出される。
条件反射のように宗親さんにスマートフォンを手渡したら、
「うちのWi-Fi、拾えるようにしますね。えっと、ロックを解除していただいても?」
真っ暗な画面のスマートフォンを返されて、請われるままにスマホのロックを解除すると、宗親さんが手慣れた様子でWi-Fiの設定を開くのが見えた。
そうしてあっという間にこの部屋に飛んでいるWi-Fi波を受信できるようにしてくださる。
「もし繋がらなくなったら……ここにパスワードが書いてありますので、これ、入れてくださいね」
黒い機械に貼られたシールの、数字や記号を指差して、宗親さんが言って。
「あ、はい」
アパートでも一応Wi-Fiは使っているので、何となく彼の言わんとしていることが分かった私は、差し出されたスマホを受け取りながら首肯する。
画面には、Wi-Fiに繋がっている旨を表すマークが増えていた。
「で、さっきの続きなんですが……リンク先からアプリ、拾ってもらっていいですか?」
再度促されて、先程のメッセージ内に書かれたURLから、アプリをスマホに取り込む。
新しく追加されたそのアプリを開いて、指示されるままに顔認証登録を済ませると、宗親さんが、「それで僕が権限を与えた期間、春凪の顔でもあちこちのロックが解除されるようになりました」とニッコリ微笑んだ。
「正式にここへ移り住むことになったら、ちゃんと正規の住民登録をしましょうね」
言われて、宗親さんが本気で私をここへ迎え入れようてしてくださっているんだと実感した私は、今更ながらにソワソワする。
「私で……宗親さんの妻役がちゃんと務まりますかね?」
不安になって眉根を寄せたら、「春凪以外には無理だと思います」と何故か自信満々に返された。
「何でそんな風に言い切れるんですか?」
余りにも当然と言った様相で返された私は、逆に唇がとんがってしまう。
葉月さんにだって認められていないのに、そんな簡単に太鼓判を押さないで欲しい。
言ってから、「おっとその前に……。春凪のスマホ、少しお借りしていいですか?」と手を差し出される。
条件反射のように宗親さんにスマートフォンを手渡したら、
「うちのWi-Fi、拾えるようにしますね。えっと、ロックを解除していただいても?」
真っ暗な画面のスマートフォンを返されて、請われるままにスマホのロックを解除すると、宗親さんが手慣れた様子でWi-Fiの設定を開くのが見えた。
そうしてあっという間にこの部屋に飛んでいるWi-Fi波を受信できるようにしてくださる。
「もし繋がらなくなったら……ここにパスワードが書いてありますので、これ、入れてくださいね」
黒い機械に貼られたシールの、数字や記号を指差して、宗親さんが言って。
「あ、はい」
アパートでも一応Wi-Fiは使っているので、何となく彼の言わんとしていることが分かった私は、差し出されたスマホを受け取りながら首肯する。
画面には、Wi-Fiに繋がっている旨を表すマークが増えていた。
「で、さっきの続きなんですが……リンク先からアプリ、拾ってもらっていいですか?」
再度促されて、先程のメッセージ内に書かれたURLから、アプリをスマホに取り込む。
新しく追加されたそのアプリを開いて、指示されるままに顔認証登録を済ませると、宗親さんが、「それで僕が権限を与えた期間、春凪の顔でもあちこちのロックが解除されるようになりました」とニッコリ微笑んだ。
「正式にここへ移り住むことになったら、ちゃんと正規の住民登録をしましょうね」
言われて、宗親さんが本気で私をここへ迎え入れようてしてくださっているんだと実感した私は、今更ながらにソワソワする。
「私で……宗親さんの妻役がちゃんと務まりますかね?」
不安になって眉根を寄せたら、「春凪以外には無理だと思います」と何故か自信満々に返された。
「何でそんな風に言い切れるんですか?」
余りにも当然と言った様相で返された私は、逆に唇がとんがってしまう。
葉月さんにだって認められていないのに、そんな簡単に太鼓判を押さないで欲しい。
0
お気に入りに追加
129
あなたにおすすめの小説

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

禁断溺愛
流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる