【完結】【R18】好みの彼に弱みを握られていますっ!

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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11.だったら試してみればいい

ワンタイム登録

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「ななななっ、何するんですかっ」

 唇を軽く拭いながら睨みつけたら、「その反応、結構傷付くんですけど」と苦笑されて。


「わっ、私っ、恋人以外とはこんなことしない主義なんです!」

 傷付くも何も、いきなり唇を奪われた私の身にもなってください。

 涙目で宗親むねちかさんを睨んだら、「でしたら何の問題もないんじゃないですか?」とか。

 えっと……この人、もしかして宇宙人か何かですか?

 言葉が通じなさすぎて口をパクパクさせる私に、「だって僕と春凪はなは婚約者でしょう?」って……。〝役〟を付け忘れたさっきと言い、今と言い、「〝偽装の〟が抜けてます!」と言いたくなったのも仕方ないよね?


「世の中にはね、嘘から出たまことという言葉もあるんですよ、春凪はな

 意味深に言われて、「どういう……」って言い募ろうとしたら、「さて、じゃあコンビニに行きましょうか」と話をすげ替えられた。


***


「今夜は鶏肉のクリームパスタで構いませんか?」

 聞かれて、お財布とスマホを手に取る宗親むねちかさんをぼんやり眺めながら、私はよく分からないままに小さくうなずいた。


春凪はな、ひとりにして悪いんですけど、そのカードで下着と……今夜の泊まりに必要だと思うものを揃えて部屋で待っていてもらえますか? 僕は近くのスーパーに食材の買い出しに行ってきます。ついでに寄りたいところも出来ましたし」

 宗親むねちかさんの話によると、あのカフェのプリペイドカードは、どうやらこのマンションに隣接したコンビニでも使えるらしい。

 またしても残高を減らすことに罪悪感を覚えつつ。

 でも、そもそも宗親むねちかさんが私にアルコールを盛られなければこんなことにはならなかったのだから、とそこは開き直ることにする。

 だけど――。

 リビングで、振り返りざま別行動になるようなことを言われた私は、にわかに不安になった。

 そのせいで、さり気なく付け加えられた〝寄りたいところ〟について聞きそびれたことを、後悔することになるのはもう少し後の話。


「でっ、でもっ。このマンションは――」

「顔認証の件でしたら、ゲストの形で春凪はなにも一時的にこのマンションに出入りできる権限を今からお渡しします。――スマホ、出してもらっていいですか?」

 宗親むねちかさんがご自身のスマートフォンを操作なさるのを見ながら、うながされるままに自分のものを鞄から取り出したら、彼から〝ワンタイム登録〟というメッセージを受信した旨の通知が出る。
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