【完結】【R18】好みの彼に弱みを握られていますっ!

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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8.それって絶対計画的犯行ですよね?

だってこの人、腹黒ドS男だもん

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「あの、もしかして織田おりた課長がお飲みになっているのにも……」

 責任をとって織田おりた課長に送っていただくと言う手もあるじゃないって思った私だったけれど、もしやと思って恐る恐る尋ねてみたら、

「もちろん、こちらのにもたっぷり入ってますよ? 下手したら春凪はなのより多いくらい。僕のは嗅いでもいないのに分かるとかさすがですね。バーで良い飲みっぷりだっただけのことはあります」

 とか、わざとらしく目の前で飲んでみせながら言うの。

 もう、それ! 絶対「送る気なんてないですよ?」の意思表示ですよね?

 さっき、ロビーでコンシェルジュかんりにんのお姉さんに、私の車を一泊させると話していた段階で、既にそういうのを目論んでいた気がするんですけど……。


「とりあえずご覧の通り部屋だけは余っていますので、今夜は泊まるといいですよ」

 ニコッと微笑まれて、私はグッと言葉に詰まった。

「た、タクシーを呼んでいただければっ」

 それでもなんとか絞り出すようにそう言ったら、
「でもそれでしたらまた車を取りにここまで戻ってこないといけなくなりますよ? タクシー代が無駄にかかりませんか?」
 とか。

 この人、もしかして私の財布の中身や通帳の残高を把握してらっしゃるわけじゃないです……よ、ね?


「車も一泊にしてありますし、泊まりの方が絶対いいと思います。――ね?」

 ついでのように続けられて、全て計算ずくだったくせに!と心の中で悪態をついたけれど、まるでそんなことは思ってもいませんでした、と言わんばかりの爽やかな笑顔で見つめ返されて、私の方が邪推をしているような錯覚におちいりそうになる。


「あ、あの……織田おりた課長。一応確認なんですけど。計画的犯行とかじゃないです、よね?」

 無駄とは知りながら聞いてみたら、クスッと笑われて。

 その笑みは肯定ですか、否定ですか?

「まぁ、もうどのみち飲んでしまったわけですし、飲みきっちゃいましょう?」

 「はい」とも「いいえ」とも言わないで、私のカップを見つめてそううながすと、織田おりた課長がふと思いついたように付け加えていらっしゃる。

「ねぇ春凪はな。今はお互いプライベートなわけですし、僕のことは宗親むねちかって呼んでください。家でまで役職で呼ばれたら何だか落ち着きませんから」

 そんなことしたら、私の方が落ち着かなくなるのですが!という結論には達しないところがこの人らしいなと思ってしまった。
 いや、気付いていてもあえてスルーされているだけな気がします。

 だってこの人、腹黒ドS男だもん。
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