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8.それって絶対計画的犯行ですよね?
で、どういうワケだったんですか?
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「子供じゃないので迷子にはなりません!」
織田課長から6~7歩分は遅れを取っていたので、思いっきり見栄を張ってそう言いながらも慌てて早歩きをして距離を詰める。
ここに至るまでのあちこちで、織田課長の顔認証システムのお世話になってきたことを思い出したからだ。
私ひとりになってしまったら、途端セキュリティに弾かれたりしそうで怖い。
実際には中から外へ、はそんなに心配しなくてもいいのかもしれないけれど、どうしても不慣れゆえに最悪の事態を想定してしまう。
「緊張がほぐれたみたいで何よりです」
私の減らず口を受けて、織田課長がこちらを振り返るなりクスリと笑って。
その笑顔が何かを企んでいるようにしか見えなくて、ヒィッ!と思う。
そういえばこの人、さっき駐車時間のことで不穏なことを言ってた!と思い出した私は、ゾクリと走った悪寒に織田課長から数歩分距離をあけるように後ずさった。
と、同時に足がキュッ!と床に捕まって、バランスを崩して転びそうになって。
――あーん、さっき気をつけなきゃって思ったのに私のバカ!
思わず「イヤァッ!」と「キャッ!」が混ざって、「いにゃぁっ!」とかいう変な声を上げて踏ん張ったら、織田課長にめちゃくちゃ笑われてしまった。
――もう! こうなったのは誰のせいだと!
声にならない抗議を心の中で発しながら、つくづく思った。
本当、織田課長ってば、腹黒くて意地悪です!
***
「――で、どういう理由だったんですか?」
まるでモデルルームのような整然とした部屋の中。
ソファも床も、壁一面を覆う、造り付けらしき棚も、何もかもがダークブラウンか、もしくは黒を基調とした色合いで統一されていて。
これで天井まで黒っぽかったりしたら重苦しいこと極まりないところだけれど、そこはさすがにクリームがかった白に、電球色のLEDライトでホッとする。
アイランドキッチンの向こうでは、織田課長がこちらに背中を向ける格好でコーヒーメーカーをセットしていらして。
私はそれを落ち着かない気持ちで、「ここで待つように」と言われたソファに座って眺めながら、「何かお手伝いしましょうか?」と言う言葉を何度も口に出しかけては飲み込んで、を繰り返している。
このお洒落な空間で、私が何か出来るようには思えない。
かと言って、言われるがままボーッと座っていられるほど神経が図太くもないの。
織田課長から6~7歩分は遅れを取っていたので、思いっきり見栄を張ってそう言いながらも慌てて早歩きをして距離を詰める。
ここに至るまでのあちこちで、織田課長の顔認証システムのお世話になってきたことを思い出したからだ。
私ひとりになってしまったら、途端セキュリティに弾かれたりしそうで怖い。
実際には中から外へ、はそんなに心配しなくてもいいのかもしれないけれど、どうしても不慣れゆえに最悪の事態を想定してしまう。
「緊張がほぐれたみたいで何よりです」
私の減らず口を受けて、織田課長がこちらを振り返るなりクスリと笑って。
その笑顔が何かを企んでいるようにしか見えなくて、ヒィッ!と思う。
そういえばこの人、さっき駐車時間のことで不穏なことを言ってた!と思い出した私は、ゾクリと走った悪寒に織田課長から数歩分距離をあけるように後ずさった。
と、同時に足がキュッ!と床に捕まって、バランスを崩して転びそうになって。
――あーん、さっき気をつけなきゃって思ったのに私のバカ!
思わず「イヤァッ!」と「キャッ!」が混ざって、「いにゃぁっ!」とかいう変な声を上げて踏ん張ったら、織田課長にめちゃくちゃ笑われてしまった。
――もう! こうなったのは誰のせいだと!
声にならない抗議を心の中で発しながら、つくづく思った。
本当、織田課長ってば、腹黒くて意地悪です!
***
「――で、どういう理由だったんですか?」
まるでモデルルームのような整然とした部屋の中。
ソファも床も、壁一面を覆う、造り付けらしき棚も、何もかもがダークブラウンか、もしくは黒を基調とした色合いで統一されていて。
これで天井まで黒っぽかったりしたら重苦しいこと極まりないところだけれど、そこはさすがにクリームがかった白に、電球色のLEDライトでホッとする。
アイランドキッチンの向こうでは、織田課長がこちらに背中を向ける格好でコーヒーメーカーをセットしていらして。
私はそれを落ち着かない気持ちで、「ここで待つように」と言われたソファに座って眺めながら、「何かお手伝いしましょうか?」と言う言葉を何度も口に出しかけては飲み込んで、を繰り返している。
このお洒落な空間で、私が何か出来るようには思えない。
かと言って、言われるがままボーッと座っていられるほど神経が図太くもないの。
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