【完結】【R18】あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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47.采配

その話なら先日ついたはず

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 岳斗がくと大葉たいようと連れ立って社長室へ入るなり、社長の土井恵介が秘書に目配せをして、「悪いけど財務経理課の荒木あらき羽理うりさんも呼んでくれるかな?」と指示を出した。

「社長っ、何で……、荒木さんまで!?」

 それは大葉たいようにとっても想定外だったらしい。

 自分のすぐ横で社長に物申す大葉たいようの背中を見詰めながら、岳斗がくとは(荒木さんまでこっちに来たら、経理うちの課、法忍ほうにんさんだけになっちゃうな)と思って。(なるべく早めに戻らなきゃ仕事に支障が出ちゃうかな?)とか、でアレコレ考えていることに気が付いて、思わず苦笑した。

 今から土恵ここを去ろうという人間が、何を烏滸おこがましいことを考えているんだ、と思ったからだ。

 そうこうしていたらノックの音がして、荒木羽理が社長室へ現れた。それを見届けるなり土井恵介は「とりあえずあっちで話そうか」と、三人を社長室の真ん中へ配置された応接セットへとうながした。


***


 いきなり倍相ばいしょう課長と大葉たいようが向かったはずの社長室へ呼ばれた羽理うりは、仁子じんこに不安そうな目で見送られながら、自身もソワソワとした心持ちで社長室へ向かった。

 社長室に入るなり大葉たいようと目が合って、〝どういうことですか?〟と縋りつきたい衝動に駆られたけれど、そこは仕事中ということでグッと我慢したのだけれど。

 そんな自分たちを応接セットへ座らせるなり、土井社長が大葉たいようへ向けて言うのだ。

屋久蓑やくみの部長、キミにはやはり再来月から予定通り副社長に就任しゅうにんしてもらうから」

 その話なら先日土井社長の家で〝見送り〟という形で話が付いたはずだったのに。

 そう思った羽理がオロオロと大葉たいようを見上げたら、彼も同じことを思ったらしい。

「社長。その話なら先日すでについたはずじゃないですか」

 大葉たいようの言葉に彼のすぐ隣でコクコクとうなずく羽理を見て、土井社長がフッとかすかに微笑む。

「それでね、荒木さん。キミには今月いっぱいで一旦うちの社を離れてもらおうと思う」

 土井恵介の言葉に、その場にいた全員が一瞬にして固まった。

「ちょっ、社長、それはっ」

 すぐさま大葉たいようが抗議しようと立ち上がり掛けたのだけれど、土井社長にスッと手を挙げられて言動をさえぎられてしまう。


***
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