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41.見る目がないのはどっち?
笹尾さんに言い寄るぐらいなら
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そこで自分へ向けてニコッと微笑みかけてくれる岳斗の方をちらりと見遣った杏子はトクンと心臓が跳ねるのを感じた。
たまたま出会って優しくしてくれるようになった倍相岳斗は、最初のうちこそ大葉とは全く違うタイプのイケメンで……。凄く整った顔の人だなと思いはしたけれど、正直微塵も興味はなかった。
杏子は基本的には軽いノリの男性は好きじゃなかったし、どちらかというと大葉のように口下手で……だけどその実ちゃんと優しさをくれる男性の方が好みなのだ。
ハッキリ言って岳斗の第一印象はヘラヘラした軟派男のイメージで、杏子の好みとは真逆だった。でも、彼の強引さに負ける形で何度か会っている内に、意外にも誠実な人なのかも知れないと認識を改めるようになって。
自分みたいな売れ残りの非モテ女子にも優しくしてくれて、なおかつ自分の美貌をひけらかそうとするような態度も一切にじませない。
絶対にモテるタイプの人だろうに、それを鼻にかけた態度を見せないところにも好感が持てた。
何より、杏子に対して彼はいつもとても紳士的で、すごく優しくて……。恋人や奥さんがいるわけでもないと明言してくれたのも、杏子としては安心して一緒に出掛けることが出来る要素だったのだ。
(笹尾さんに言い寄るくらいなら私、岳斗さんに……)
無意識にそこまで考えて自分の思考回路の愚かさにハッとした杏子は、フルフルと小さく首を振った。
少し親切にされると、相手に好意を抱いてしまうのは自分の悪い癖だ。それで勘違いをして大葉にこっぴどくフラれたことを思い出した杏子は、〝友人〟に過ぎない自分をわざわざ心配して会社まで出向いてくれた岳斗の心遣いに、心の底から感謝をする。
そんな優しい岳斗だ。杏子が足を怪我していることを悟られたりしたら、余計に心配を掛けてしまうだろう。
そう思ってなるべく足を引きずっているのを気取られないように歩いたつもりだったけれど、どうやら上手くいかなかったらしい。
視線の先、岳斗がハッとしたように杏子の方へ歩み寄ってこようとしているが見えて申し訳ない気持ちになった。
そんなことに気を取られていたからかも知れない。
突然立ち上がった木坂にすれ違いざま「あら、ごめんなさーい♪」という意地悪な声掛けとともに無事な方の左足を引っ掻けられた杏子は、咄嗟のことに慌てて痛む右足で踏ん張ろうとしたのだけれど無理で。
たまたま出会って優しくしてくれるようになった倍相岳斗は、最初のうちこそ大葉とは全く違うタイプのイケメンで……。凄く整った顔の人だなと思いはしたけれど、正直微塵も興味はなかった。
杏子は基本的には軽いノリの男性は好きじゃなかったし、どちらかというと大葉のように口下手で……だけどその実ちゃんと優しさをくれる男性の方が好みなのだ。
ハッキリ言って岳斗の第一印象はヘラヘラした軟派男のイメージで、杏子の好みとは真逆だった。でも、彼の強引さに負ける形で何度か会っている内に、意外にも誠実な人なのかも知れないと認識を改めるようになって。
自分みたいな売れ残りの非モテ女子にも優しくしてくれて、なおかつ自分の美貌をひけらかそうとするような態度も一切にじませない。
絶対にモテるタイプの人だろうに、それを鼻にかけた態度を見せないところにも好感が持てた。
何より、杏子に対して彼はいつもとても紳士的で、すごく優しくて……。恋人や奥さんがいるわけでもないと明言してくれたのも、杏子としては安心して一緒に出掛けることが出来る要素だったのだ。
(笹尾さんに言い寄るくらいなら私、岳斗さんに……)
無意識にそこまで考えて自分の思考回路の愚かさにハッとした杏子は、フルフルと小さく首を振った。
少し親切にされると、相手に好意を抱いてしまうのは自分の悪い癖だ。それで勘違いをして大葉にこっぴどくフラれたことを思い出した杏子は、〝友人〟に過ぎない自分をわざわざ心配して会社まで出向いてくれた岳斗の心遣いに、心の底から感謝をする。
そんな優しい岳斗だ。杏子が足を怪我していることを悟られたりしたら、余計に心配を掛けてしまうだろう。
そう思ってなるべく足を引きずっているのを気取られないように歩いたつもりだったけれど、どうやら上手くいかなかったらしい。
視線の先、岳斗がハッとしたように杏子の方へ歩み寄ってこようとしているが見えて申し訳ない気持ちになった。
そんなことに気を取られていたからかも知れない。
突然立ち上がった木坂にすれ違いざま「あら、ごめんなさーい♪」という意地悪な声掛けとともに無事な方の左足を引っ掻けられた杏子は、咄嗟のことに慌てて痛む右足で踏ん張ろうとしたのだけれど無理で。
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