【R18?】あのっ、とりあえず服着ませんか！？〜私と部長のはずかしいヒミツ〜

33．痛いことはしないから

大葉の意地悪！

「羽理うり？」

　何も答えずにいたからだろう。大葉たいようが羽理の頬に手を添えて、自分の方を向くよう仕向けてきた。

「ひゃい！　らいじょぶ、れす！」
　――はい！　大丈夫です！

　そう答えたつもりが噛みまくりになって、それがさらに恥ずかしさに拍車をかける。
　羽理は生れて初めての恋人との入浴にドギマギしまくりなのだ。それを理解して欲しい。


「あ、あのっ、……それより……」

　お湯の中にいても自分を横抱きにしている大葉たいようからは丸見えな気がして、懸命に両手で胸を覆い隠しながらきゅぅっと縮こまったら「心配しなくていい。ちゃんと身体はシャワーでサッと流して湯船に浸かったから」とか。

（いや、それも大事ですが、いま私が気にしているのはそこではなく、この現状そのものについてなのですがっ!?）
　と思ってしまった羽理である。

「え、えっと……違ちが……くて。その……大葉たいようと一緒に……お風呂……とか、恥ずかしすぎる、ん……です、けど……」

「今まで風呂上り、さんざん素っ裸で対面しまくったのに？」
　大葉たいようが言うとおり、何度も風呂上がりに一糸いっしまとわぬ姿をお披露目し合っている二人だ。

「今更だろ。第一俺たちはセックスもした仲だ」
　――お前の身体は隅々まで見てるぞ？と付け加えてきかねない大葉たいようの物言いに、羽理はお湯の中でバシャバシャと慌てまくった。

「きゃー！　大葉たいようの馬鹿！　そういうことをサラリと言わないで下さいっ！」

　正直ビッグマグナムがどうのこうの騒いでいるときは大葉たいようを性的な意味で意識していなかったから割と平気だった羽理うりだけれど、肉体関係を持ってしまった今は、逆にあんなことやこんなことが脳内をめちゃくちゃ具体的に駆け巡って、冷静ではいられないのだ。

「変なやつだな。初っ端なんてすっげぇ大胆で俺の方が恥ずかしかったくらいなのに」

　大葉たいようも同じことを思ったのか、チュッと羽理のうなじに口付けを落としてクスクス笑う。

「ひゃぅ！　けど……ダメです、ダメです、とにかくダメなんですっ」

　湯船に浸かっているからだけではない火照ほてりから全身を真っ赤にして首筋を押さえた羽理に、「おや羽理さん、お胸のガードが手薄になっていますよ？」と、大葉たいようが無防備になった羽理の胸へ触れてきた。

「ぁんっ」

　途端、胸から突き抜けるような快感が走って、思わず甘い声を漏らしてしまった羽理だったのだけれど……これ以上大葉たいようがエッチな気持ちになってしまったら正直身が持たないと警戒する。

　今まで意識していなかったから気付けなかったけれど、ずっと羽理の腰元にあったらしい大葉たいようの〝ご立派さん〟がビクンッと羽理の声音に反応したのが分かったから余計。
　焦りまくった羽理は、「の、逆上のぼせちゃいそうなのでお先に失礼します！」と深く考えもせずにザバリと湯船から立ち上がった。

　だけど。

「あらあら羽理さん、可愛いお尻が丸見えですよ！　すっげぇ大胆っ！」

　ククッと大葉たいようが笑う声を背中で受け止めた羽理は、「大葉たいようの意地悪っ！」と真っ赤になって、油の切れたロボットみたいにぎこちない動きで風呂場をあとにした。